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HQPlayer 専用PCを自作した

HQPlayer とは

HQPlayerって何?
この記事に関心をお持ちの方には説明の必要はないとは思いますが、簡単に触れておきます。

HQPlayerは高音質を追求したオーディオプレーヤーソフトとして知られています。ただし、情報、とりわけ日本語の情報は少ないのが現状です(海外ではRoonのコミュニティーサイトで多くの情報がやりとりされています)。

情報が少ない=ユーザー数が少ないということになると思いますが、

・価格が高い
・HQPlayer単体では使い勝手が悪い(Roonと併せて使うケースが多い)
・PCに高いスペックが求められる

等の理由により、ユーザーは熱心な一部のオーディオマニアに限られているのではないでしょうか。
開発元(Signalyst)のサイトを見ても実に簡素な作りで、PCオーディオ初心者には近寄り難いオーラが漂っています。

下記はHQPlayerの特徴を、他のメジャーなオーディオプレーヤーソフトと比較したものです(ChatGPTに丸投げ!)

?と思う点もありますが…………..

Corei3 では役不足?

これまではHQPlayerをMiniPCにインストールして運用してきました。
ハイスペックなPCは物理的なスペースや発熱による騒音の問題があり、敢えてスペックを抑えていたというわけです。

Skynew ミニPC ファンレス Intel i3-8145U
Winndows 10 Pro

HQPlayerには多種の高機能フィルター(アップサンプリングやノイズシェービング)が搭載されているのですが、選択するフィルターによっては2コアのCorei3(Intel i3-8145U)ではCPU使用率が飽和していまい、再生が途切れる、そもそも再生できないという課題がありました。

HQPlayerはPCMからDSDへのリアルタイム変換も可能なのですが、現PCでは完全にスペック不足でした。PCMの再生音にそれほど不満があったわけではないのですが、ソフトの能力を使い切っていないというフラストレーションからPCの置き換えを決定したという次第です。

手持ちのケースでPCの自作

未使用の自作PCをHQPlayer専用PCとして再利用することにしました。

未使用の自作PC
Mini-ITXケース NCASE M1
サイズ:D307×W157×H237mm

コンパクトPCケースなので、パーツ選定には制約が多く悩みどころです。

パーツ選定のポイントは、

・消費電力を抑える
 (既存の電源:450W を再利用する為)
・静かでよく冷える
・グラボはNvidia一択 (*)
・コスパ重視

(*) HQPlayerはNvidiaのCUDA(グラフィック処理に利用されるGPUを一般的な並列演算用途に使用できる技術)を使用して、アップサンプリングやデジタルフィルタリングを高速に処理できます。CUDAによるGPU処理により、CPUの負荷を軽減することにつながります。

尚、GPUの計算能力(
Compute Capability)は5.2以上が必要になりますので、グラボの導入を検討する場合は要注意です。

新たに導入したPCパーツ

最終的に新規導入したパーツは以下の通りとなりました。

・マザーボード     :  ASRock acA520M-ITX/ac
・CPU                    :  AMD Ryzen 5 5600G / 6コア TDP65w
・CPUクーラー    :  Noctua NH-C14S
・グラボ(中古): GeForce RTX 3050 Dual / CUDAコア数2560 130W

グラボがあるのにRyzen 5 5600G(GPU搭載チップ)は無駄なのですが、6コアでTDP65WクラスのCPUとしては最安値だったので選択しました。

CPUクーラーは140mmファン搭載の大型クーラーです。大きなFANをゆっくりと廻すことで冷却能力と静音性の両立を図る狙いです。

Noctua NH-C14S
140mmファンをヒートシンクの下部に設置すると全高115mmでぎりぎりケースに収まる

グラボはTDPが低くCUDAコア数の多いRTX3050を選定。先に述べたCompute Capabilityは8.6になりますので、基準値はクリヤーしています。

GPU仕様一覧表

製品としてはDual Fan仕様のPalit GeForce RTX 3050 Dual 8GBを中古で購入しました。グラボの中古品にはリスクが多いとされますが、大手販売店サイトに美品(中古品ランクA)があったので販売店を信じて購入に至りました。

Palit GeForce RTX 3050 Dual 8GB 120mmファン×2
FANは停止することも可能で動作音も静か

パーツの組込

PCケース自体は再利用ということで勝手はわかっていましたが、電源(SFX規格)を本来の位置に取り付けると、大型のCPUクーラーと干渉してCPUクーラーが入りません。

PCケース付属のATX電源用のブラケットを使って電源を縦置きに縦横に設置することで対応いたしました。

サイズの小さいSFX規格の電源ユニットをATXケースに取り付けるための変換プレート
なかなかの凝縮感

新PCのパフォーマンスチェック

新しく組んだPCのパフォーマンスをモニタリングしました。


・アイドル時(GPUファン停止)

・アイドル時(GPUファン作動)

GPUの温度が7°C低下

・PCM再生(アップサンプリング無)

(Filter : なし Shaper : なし)

・PCM再生(→352.8kHz)

(Filter : Closed-from-M Shaper : shaped)

CPU使用率が上昇(+0.5%)

PCM再生は余裕です。
続いてCUDAを有効にしてPCM→DSDリアルタイム変換による再生を検証

HQPlayerの設定でDefault Output Modeの「SDM(DSD)」を選択
「CUDA offload」を有効にする

・DSD再生(→DSD256 CUDA有効)

Filter : sinc-M Shaper : ASDM7)

CPU使用率 +4% GPU使用率 +30%
温度、使用電力とも上昇しますが冷却能力は十分機能しているようです

Filter : poly-sinc-long-ip Shaper : ASDM7EC)

PCの負荷が爆上がり!

DSD256再生も問題ないようです。
使用するフィルター・シェイパーによっては負荷が増大しますが、温度は安全な範囲内にとどまっているようです。
FAN音も個人的には許容範囲内。
FANの回転数を調整すればもっと温度を下げることができますが、FAN音ととのトレードオフになりますので、もう少し設定を追い込む必要があるかもしれません。


DSD再生音の印象

HQPlayerでアップサンプリングされたPCMの音は、Roon単体で聴くよりキレがあり、立体感の増した音場になりますが、DSDアップサンプリングした音は一味違う印象です。

各楽器の分離と定位がより向上し、埋もれがちな繊細な音が聞き取り易くなりました。
反面、音が飛んでくるようなエネルギー感は少し削がれるような気もしますが、柔らかく聞き疲れのしない音で、個人的には好みです。
ライブ音源の拍手の音を聞くと、ライブ会場の空気感が伝わってくるようで楽しくなります。

HQPlayerのアップサンプリングはPCM1,536kHz、DSD1024まで対応しています。
所有しているDACのスペックはPCM384kHz、DSD256までとなりますので、DACのスペック以上のアップサンプリングは望めません。

現在のネットワークオーディオ構成

DACの置き換えによる伸び代を試してみたくなりました。もっとも、DSD1024ともなるとモンスターPCが必要になりそうです。



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