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CHIPをクローズします。

はじめに

この度、2018年8月より運営してきました ファンクラブ作成アプリ「CHIP」を2019年5月25日(*1) をもってクローズすることに致しました。これまで様々な形でご協力くださった皆様には、このような形でのご報告となってしまったことをお詫びいたします。


CHIPについて

僕たちは昨年の3月に株式会社RINACITAを創業しました。この社名は、ルネサンスの語源であり「再生・復活」を意味するイタリア語の「rinascita」からきています。ルネサンスの最盛期、パトロンの支援によって多くのアーティストが活躍したように、僕たちはテクノロジーの力を使って、あらゆる個人が自分の夢に向かって挑戦できる世界を作りたいと考えました。これが僕たちの挑戦のはじまりでした。

5月末に出した事前登録では1000人を超える方々が興味を持ってくださり、そこから約2ヶ月ほどの開発期間を経て、8月にCHIPをリリースしました。
口コミのみでユーザー数は5万人を超え、1000万円を超える金額をアーティストに支援することができました。


なぜクローズするのか

1. 課題設定が甘かった
CHIPは、クリエイター側の抱える「好きなことでマネタイズしたい」「自分だけのコミュニティが欲しい」などの課題は解決していたものの、利用者(ファン)側の課題を十分に理解せず、最適なソリューションの検証が不十分な状態でリリースしたプロダクトでした。「解決すべき課題」が不明瞭であることが、後々までネックとなり意思決定のブレに繋がっていました。

2. 本来の目的とズレてしまった
沢山の支援を得られていたクリエイターのほとんどが、他のSNSでも既に人気のある方達でした。僕らの目指していた「あらゆる人が夢に向かって挑戦できる」サービスではなく、どちらかというと「人気のあるひとが簡単に自分のコミュニティを作る」ためのサービスになってしまいました。

3. 軌道修正 ≒ 新規だった
「解決すべき課題」が変わるということは、ソリューションや提供価値など他のほぼ全てを変更することを意味します。今回、検証が不十分だった「課題」を再定義した場合、おそらくその課題は「CHIP」というプロダクトでは解決できないもので、尚且つ大きな変更が伴うものになります。よって今回の場合は、軌道修正ではなく新規でやり直すという判断をしました。


反省

1. 課題の質をあげる
スタートアップにおいて、課題の質を向上させることは何より重要なことだと思います。失敗したスタートアップの約8割が、初期段階で「課題の検証」ではなく「プロダクトの検証」に時間を割いてしまっているそうです。(*2)
プロダクトを作るのは楽しいですが、課題の検証を疎かにすると軸がぶれて適切な仮説検証を行えないことを実感しました。

2. Must-haveなプロダクトを作る
「あったらいいもの」は無くてもいいものでした。CHIPでも多くの時間を無くてもいいものに割いてしまいました。リソースが足りないスタートアップだからこそ、あったらいいもの(Nice-to-have)ではなく、なくてはならないもの(Must-have)に一点集中するべきでした。

3. なにをしないか決める
Steve Jobsも言っていますが、
「なにをするかではなく、なにをしないかを決める」
ことが重要です。今回、最終的に

①CHIPを残しつつ、別の新規事業を作る。
②CHIPはクローズし、新規事業に全リソースを使う。

という二つの選択肢がありました。CHIPを気に入って毎日のように使ってくださっている方がいたこともあり、この選択には本当に悩みましたが、最終的にはクローズすることを決めました。
もし仮に中途半端に残したとしても、そのまま使い続けてくれているユーザーに対して不誠実であり、むしろ新規事業でまた新たな価値を生み出すことこそが、僕らのやるべきことだと感じました。


まとめ

ここまで僕たちが頑張れたのも、今まで様々な形でご協力くださったメンバーや株主、関係者、そして何よりもユーザーの皆様のおかげです。本当にありがとうございます。

CHIPをリリースしてから今日まで、本当にたくさんの出会いがり、たくさんの方から応援やご協力をいただきました。CHIPを新たな居場所のように感じ、新たな繋がりを生み出している方々を目にしたときは、本当に感動しました。

CHIPはクローズしてしまいますが、僕たちはこれからもこの会社でサービスを作り続けます!



小澤 昂大


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*1 : 詳しいクローズの流れや売上金の支払いに関する内容は別途こちらのnoteに記載しております。
https://note.mu/ozwio/n/nc5bf6d5d6cec

*2 : 「起業の科学 スタートアップサイエンス」(著:田所 雅之 )より

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