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[ベトナム1024日目] ベトナム税関総局の新政策「On the spot」の見直しとその影響

「On the spot」取引の法令改正

2023年5月29日、税関総局は、「On the spot」取引の税関手続きに関する「08/2015/ND-CP」第35条の補足・修正草案についての見解を説明する「2588/TCHQ-GSQL」を発行しました。

On the spot」取引とは、海外輸送が不要となり、物流コスト削減と納期の短縮につながる、ベトナム国内で輸出入手続きを完結させる取引です。この取引は、多くの企業に利用されてきました。しかし、この取引の手続きと通常の国内販売取引における税関手続きの扱いが法令上不一致であることから、税関総局は以下の提案をしています。

提案① 「On the spot」取引の手続き全廃

「08/2015/ND-CP」第35条に規定されている「On the spot」取引に関する税関手続きをすべて廃止するという提案があります。これに伴い、以下の物品に対する税関手続きが廃止される予定です。

① 外国企業がベトナムの企業に加工を依頼し、その商品がそのままベトナムの企業に販売される場合

② ベトナム企業と輸出加工企業(「EPE / Export Processing Enterprise」)、または非関税区企業との間で取引される商品

③ ベトナム企業がベトナムに拠点のない外国企業に商品を販売した後、その商品が別のベトナム企業に販売されるが、その物流はベトナムの企業間で完結する商品

提案② 法令の改正

税関総局は、次に提案された改正案を支持しています。具体的には、「08/2015/ND-CP」第35条第1項から項目bを削除し、その代わりに「38/2015/TT-BTC」の該当条項に追加するというものです。また、「39/2018/TT-BTC」にて補足・修正します。つまり、項目bの取引は引き続き可能です。

提案③ 新たな税関手続きの導入

また、「On the spot」輸出入物品の税関手続きを置き換える政策が提案されています。税関総局は、税務局がこの活動に対する税金の徴収・管理責任を負うべきだと提案しています。

提案内容の詳細

具体的には以下のとおりです。

① 物品が外国企業向けに加工されるが、外国企業によってベトナム企業に対して販売される場合、この取引は国内企業 2 社間の売買のように実行されます。 加工担当者は、加工品の使用目的を変更し、外国から輸入する物品と同様に輸入税等を納付する必要があります。

② 物品が輸入税免税の輸出生産用の原料から生産されたが、ベトナム国内に配送すると指定される場合、輸出生産企業は、免税の輸入原料・材料の使用目的を変更し、規定に従って税金を納付します。

上記(1)・(2)において、管轄機関はベトナムでの収益に対する法人税(CIT)を徴収します。ベトナムに拠点を持たない外国企業は、ベトナムの代理店と契約を締結する必要があります。

③ 通常の商業ビジネスの場合、ベトナムに拠点を持たない外国企業は、代理店契約を締結するか、またはVATインボイスを使用し、VAT インボイスに当該外国企業の名称・税コード・ベトナムで物品を受け取るベトナム企業の名称・税コードを明記する必要があります。

今後の影響と課題

税関総局の提案により、加工・生産企業がベトナム国内の他の企業に物品を納入する前に税金を支払う必要が生じたり、輸入原材料・部品の税金還付や外国企業の申告・納税が発生したりと、いくつかの問題が生じます。 現在、政府・関連機関は内容を検討中であり、新しい文書が発行され次第に情報更新する予定です。

さいごに

「On the spot」のは意志ではなく、法令の改正や適切な税制の見直しを行えばよいのでは?と感じるニュースです。日本では「インボイス制度の導入」にメリットがあまりなく、誰が得するの?といったような雰囲気や、「奨学金」、「失業保険」に所得税をかけるなど、デモや暴動が起きてもおかしくないニュースがでています。

せめてベトナムでは外国企業による税収は自国内のものに比べて大きいと考えられるため、外国企業が関わる税収は納税者から批判が大きくならないように設計して欲しいですね。

ではまた。
ありがとうございました。

参照


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