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おシゴトのハナシ

何でもやってるワタシですが、本職はピアノ調律師なわけです。ホテルや結婚式場を取引先としていて、個人宅の仕事はツテで頼まれた時だけ。

日曜21:00電話が鳴る。
取引先都内ホテルの婚礼営業部の方。
グランドピアノの鍵盤、低音側が何鍵か下がったままになっているというご相談。

この症状、知ってる。

あー、またやったな…
というのが、最初に思ったこと。

ホテルや結婚式場などピアノの移動を伴う場所では、ピアノ専用の運搬台車を使います。
重いピアノを移動するのに運搬台車を使うと、とても安全に数人の力で移動できて便利です。

「適切に使用すれば」

たぶん、またやってますよ。
と、担当の方に伝えつつ、とりあえず見に行きますねと日程調整。

そして本日、早朝に見てきました。

はい、予想通り

グランドピアノの真ん中のペダルの動きを、中に伝える役割をしている鋳物パーツを折ってます。鋳物ですよ。そう簡単に折れるものじゃありません。

ピアノ運搬台車を使用する際に正しい場所にセットせず、この鋳物パーツ挟み込んだままピアノを持ち上げると、ピアノの重量がココにかかり折れます。

ソステヌートロッドを曲げてます

その際に、内部のソステヌートブラケットが変形し、その影響でソステヌートロッドを曲げてしまいます。
このソステヌートロッドがピアノハンマーに触れてしまい「鍵盤が下がったままになる」という見た目の症状に繋がるわけです。

見事に破断

実は、このホテルで同じ破損は3回目。
このピアノは2回目。
素人がピアノ運搬台車を使うからとはいえ、多過ぎます。

しかも、もう一台あるグランドピアノも同じ所を壊していて、コロナ禍もあり修理が先延ばしになったまま、応急処置状態になってます。

サイボーグみたいな応急処置

この応急処置、以前横浜のホテルさんで同じ破損をした際に、「すぐに使えるようにして欲しい」と無理難題を言われまして…。普通は、交換部品が届くまでは対処のしようがないものですが、お盆と重なっていて交換品が届くのがだいぶ先になる状況でしたので、何とか要望に応える為に作ったモノです。

交換品が届いたあと取り外して、そのまま持っていたので、同じトラブルが発生した時に応急処置用で使いまわしてます。

ただ今回、応急処置用の部材はすでに使っていて、更にもう1台も破損という悲しい状況😭
応急処置部材を新たに作るか、交換品が届くまで真ん中のペダルは使えないと言うことで運用するか…ホテル側に判断してもらいましょうかね。

ミスらないようにマークしてるのに…

それにしても、他のホテルさん含めてこの10年で4回目のこの破損。その前20年で1度も経験しなかったのに、この高頻度はなんだ。調律師で、この破損を経験する人だって少ないはずなのにね。

今日は、婚礼営業部はお休み。
担当窓口の方は明日もお休み。
前任の窓口の方は明日は出勤らしいので、
おふたり宛に写真付で報告メールを送りました。

もう2台とも直しちゃいましょうね。
修理予算確保して!

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