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【パーマカルチャーデザイナーvol.60】Hiromi Takahashi

これはパーマカルチャーデザインコース(以下、PDC)を修了したパーマカルチャーデザイナーたちのリレーコラムです。

※パーマカルチャーとは
"Permaculture is a dance with nature, in which nature leads."
パーマカルチャーとは自然に導かれる自然とのダンスのようなもの。
Bill Mollison

ビル・モリソン

#60 Hiromi Takahashi

移住して牧場をはじめるなんていう家族の大きな人生の決断を「楽しそう!」と軽やかに実行しちゃう裕美ちゃん。
いつもはははーって笑って、何が起きようともまるっと受けとめてくれる懐の深い人。

Q1.あなたについておしえてください

高橋裕美(たかはしひろみ)です。
千葉県の外房・いすみ市でジャージー牛を3頭を飼いながら、保育園の園庭や小中高の校庭などのランドスケープデザインをしています。

東京に20年暮らした後のコロナ禍と子どもたちの不登校。
そんな中、建築設計を生業にしている夫から牧場をやりたいという声が上がり、「面白そうだね」と3年前に移住しました。

まさか自分が牛を飼う人生になるなんて思いもしなかった。

今まで都会でモノや場をデザインして暮らしてきて、移住して里山の森や耕作放棄地を開拓しながら牛と過ごしはじめたら、田舎こそが生産地だったという事に衝撃を受けました。

養蜂をする友人の蜂の生態の偏愛トークを聞いていたら、命から恵みを頂いている事実に今まで無知だったあまり生き物愛が高まりました。

自然も、水も、そこに生きる動物も人もエネルギーも田舎で生み出されて、都会はそれらが集まり売り買いするマーケットの場なんだ、って。

それから「房総の自然や命に感謝する」をテーマに、地産地消のファーマーズマーケットを主催しています。

当たり前だけど牛だって子牛を産まないと乳がでない。

飼っている牛たちはまだ子牛なので何か資源になるものがないかなと思っていたところで、牛糞の可能性に気づいてお香を作って販売しています。

インドではお祈りにも使うほど浄化力もあるという話。
草しか食べない腸内環境がよい糞はぜんぜん臭くなく、ほぼ繊維質でもぐさみたいな良い香りがします。

思い起こしてみると、オーストラリアのメルボルンで働いたり、ベトナムのハノイで子育てしていた時に市場が身近だったのも影響しているのかも。

オーストラリアは移民のカルチャーを活かしながら地元産スパイスミックスや美しい石鹸を手作りしていて、ベトナムでは香り高いワイルドなハーブが山積みで、豚肉や鳥肉も解体しながら売っていて。

牛乳を搾れるようになったらフローズンヨーグルト屋さんをやりながら、美味しくて楽しい里山を作りたいです。

Hiromi & Go

Q2.パーマカルチャー デザインコースを通して

パーマカルチャーに興味を持ったのは、ランドスケープデザインという近い分野で設計に15年以上携わり自分の設計に飽きてきていた頃。

考え方の道筋がもうルーティン化して、一直線に考えているように感じてしょうがなかった。

海君・フィル・カイルのPDCを受けようと思ったのは、パーマカルチャーに関わる人たちから凄くハッピーでリラックスした安心なエネルギーを感じたから。

そのエネルギーの秘密を知りたかったのです。

実際にPDCを受けたらパーマカルチャーのデザインを学ぶプロセスそのものが、豊かで多様性があって多機能性がありつながりをもたらすものでした。

朝のチェックインのお祝いと嘆きの喜びにあふれた時間
工夫と愛に満ちた美しいベジごはん
火を燃やし身体を動かす実践の時間
チームで設計すること

パーマカルチャーの基本原則を体感し、土や微生物・気候それぞれのつながりを学ぶことが、自分の凝り固まった考え方と暮らしをほぐして、再構築していくのを味わえたのは、ほんとうに豊かで貴重な経験でした。

全国から集まった仲間たちはとてもユニークで静かな情熱を胸に秘めていて、種やスキル・知恵といったお互いの豊かさを惜しみなく分け合い、素敵な発見や交流がそこここで生まれていました。

私がシェアしたのは牛達の牛糞。
牛糞を使ってパーマカルチャーと平和道場の土壁やアースオーブンを塗りなおしたのは嬉しい新体験で、家畜を飼う事の環境負荷のマイナスな面を危惧していた中でパーマカルチャーを通して牛や鶏といった家畜の可能性を学べたのも世界が広がりました。

Q3.あなたにとってパーマカルチャー って

「暮らし」自体が自然の豊かさや多様性、つながりを生み出す事。

パーマカルチャーを学ぶ前は生きているだけで人は自然を壊す存在だと常に霞のような罪悪感があったけど、人が生きる事で豊かさが作れるんだって知った事は凄く希望でした。

まだまだ自分の実践は追いついていないけど、沢山の人の小さな行動があつまれば、大きな変化も起こし得ると信じています。

Q4.PDCの中で次にバトンをつなぎたい人

かぶもとみほちゃん。
いつもご機嫌でふふふって笑う笑顔が印象的なみほちゃん。

同じ年頃の子育て中だったり、お子さんが牧場をやりたいと共通点が沢山で前向きで好奇心旺盛なみほちゃんの活動から刺激をもらっています。

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高橋裕美
Hiromi Takahashi
@romitt.picnic
@utaufarm.isumi
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2023/9/8 白露