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【パーマカルチャーデザイナーvol.63】 Taichi Inoue

これはパーマカルチャーデザインコース(以下、PDC)を修了したパーマカルチャーデザイナーたちのリレーコラムです。

※パーマカルチャーとは
"Permaculture is a dance with nature, in which nature leads."
パーマカルチャーとは自然に導かれる自然とのダンスのようなもの。
Bill Mollison

ビル・モリソン


#63 Taichi Inoue

思慮深さと軽やかさを兼ね備えた人。
発する言葉は必要最低限だけど心の内は情熱が燃えたぎっていて、掘り下げたらたくさんの想いを語ってくれるんだろうなぁと今回の記事を楽しみにしていました。
いわゆる「理系」の人なのだけど、詩的な美しさをもつ言葉の数々に彼の心を感じています。
ありがとうの感謝を込めて。

Q1.あなたについておしえてください

Permaculture Design Course 2022

人が好き。

幼少期は工作が好きで、
「この空き箱は何になるかな?」
そんなことをいつも考えていた。

友達と遊ばなくても一人で工作のアイディアを妄想したり、何も考えずにぼ〜っと過ごしているだけで自分の世界を楽しめる子どもだったように思う。

4才か5才の頃にブドウの木の間から届く木漏れ日を受けながら、

「気持ちがいいな」
「ずっとこうしていたいな」

と思った時のあの暖かくてキラキラと太陽の光が届く感じを覚えている。

からだの表面がぽかぽかじわじわしてきて、光の中に溶け込んでいく自然と一体になる感覚だ。

そういう自分の心地よさをのがさずに、僕はこころとからだの感覚を自分のものにしてきたんだと思う。

一人の時間を好んで過ごした幼少期から少しづつ自分の世界が広がっていったのは、一緒にいてくれた仲間や関わってくれた大人の存在が大きかった。

そうした中で、自分も「子どもの育ち」に関わりたいと思うようになった。

今の僕の活躍の場は「学校」だ。
教育というフィールドで未来につながる種を蒔きたい。

軽井沢風越学園

Q2.パーマカルチャー デザインコースを通して

PDCはその世界観を肌で感じさせてくれる場所。

Permaculture Design Course 2022

「パーマカルチャーに関わる人たちは、なぜかみんな幸せそう!」
「なぜなんだ?」

それがパーマカルチャーに対する僕の第一印象。

とはいえ、自分の主なフィールドは「家庭」と「学校」。

畑は庭の小さなスペース。森のようなフィールドはない。
そもそもこれは、今学ぶべきことなのか?それが僕の最初の問い。

それでもパーマカルチャーを学びたいという気持ちは冷めなかった。

理由はわからないけれど、知れば知るほど、もっと知りたくなってしまう。

日々の生活から少し離れて自分自身が「今」何を感じるのか知りたい気持ちも湧いてきた。

僕はきっと深い体験を欲していたのだ。

そうして飛び込んだPDC。

ここで待っていたのは、温かくて・熱くて・超個性的な人たちとの共同生活だった。

PDCで改めて考えたことは「パーマカルチャー」=「農」という狭い捉えではなく(もちろん大きな要素ではあるけど。)つながりや関係性をより良くするデザインであるということだ。

それは日々の暮らしの中にもたくさんあって、もっとも基本的で大事な要素は「わたし」とそして「あなた」であると僕は思っている。

そうした一人ひとりが共に暮らしあう生活は、わたしとあなたの関係性からはじまって、人の生活と自然との関係性・私たちの社会と未来の関係性といった大きなものとも地続きであるということを実感させてくれる経験となった。

はじめましての人たちが集まって共同生活をするわけだから問題も起こる。

ギクシャクもするし、謝ったり許したりもする。
まさに関係性のデザインのプロセスそのものだった。

そんな人たちが知り合い、仲間になって、コミュニティになって、パーマカルチャーという地球にも人にも優しくて豊かなデザインを学ぶのだから、それはそれは美しい!

最後はなんとなくそれぞれにいい感じの関係性をみつけていくのだから、これまた面白い。

PDCでは理論を学びながら植物の気持ちも想像したし、微生物の気持ちも想像した。

想像力を働かせることは、いつもより少し優しい自分になるってこと。

たくさんの理論、知識を使いこなすには、根っこにある考え方・マインドが一番大切だ。

「どんな私でありたいか・どんな未来を想像するか」

それがあってやっと理論や知識が役に立つ。

PDCは理論だけでなく、土台になるその姿勢を仲間と共に育んでいく時間だった。

フィルカイル・海の3人、スタッフのみんな、そして仲間たちがその一人ひとりの表現で僕にたくさんの学びと愛をくれた。

「おはよう」
「おやすみ」
「調子はどう?」
なんていう小さなやりとりで胸いっぱいな感じをどう説明したらいいのだろう。

言葉にするのがすごく難しいのだけど、一人ひとりの表現がすごく大切にされていて、そういう世界だからこそパーマカルチャーの考え方が生かせるはず。

それは頭で理解するもの(できるもの)ではなくて、感じるものだから。

みんなもぜひ、チャンスがあったらPDCのドアをたたいてみて。

結構苦しく難しい状況でも、自分にもできることがたくさんあるよっていう勇気が湧いてくるはず。

「Problem is solution!」
(問題にこそ解決策があるよ!っていう海が好きな言葉だ。)

Q3.あなたにとってパーマカルチャー って

これからも学び続けたいこと。

正直なところ、わたしにとって…とうまく語れるほどの自分の言葉をもっていないというのが現在地。

それでも、パーマカルチャーの考え方やその世界が僕は好きだ。

パーマカルチャーについて学ぶことは、それ自体がワクワクして楽しい。

何かの役にたつとかためになるとかそんなんじゃなくて、何かを学びたい気持ちってそういうことなんだと思う。

そして、今僕が1番に考えていることは、子どもの育ちを真ん中においた人と人とのつながりのデザインだ。

その場で育つのは子どもだけじゃない。

一緒にいる大人も悩みながら、つながり、そして育つ。

コミュニティには私たち一人ひとりというすでに豊かな資源があり、その資源を最大限に生かそう(生かし合おう)するのは、教育でもパーマカルチャーでも同じだ。

どちらも実践しながら、たくさん失敗しながら、自分の言葉で語れるようになりたい。

だから僕はこれからもずっと、自分の大切にしたいと思うことを学び続けようと思う。

Q4.PDCの中で次にバトンをつなぎたい人とその人の印象

いつもニコニコ、少年のようなしょうちゃん(遠藤昭一)。

合宿初日、すぐに友達のように話してくれて、ほっとしたのを覚えています。

畑のこと・野菜のこと・ネパールのこと、かなりマニアックで深い話をたくさんしてくれました。
しょうちゃんのフィールドがこれからどんな風になっていくのかも楽しみ。
本気のパーミー、しょうちゃんにバトンを渡します!

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井上太智
Taichi Inoue
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2023/10/24 霜降