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0の0乗はいくらか

$${a^0}$$ はいくらと考えるのがよいでしょうか
$${a>0,\ m,\ n は自然数}$$ とすると、
指数法則 $${a^m \times a^n =a^{m+n}}$$ は自然に成立しますが、
$${a^m \div a^n}$$ は
 $${a^m \div a^n =\left\{ \begin{matrix} a^{m-n} & (m>n) \\ 1 & (m=n) \\  \displaystyle \frac{1}{a^{n-m}} & (n>m) \end{matrix} \right .}$$
とちょっと複雑…
なので、この $${a^m \div a^n }$$ も
 $${a^m \div a^n =a^{m-n}}$$
にまとめられると美しいですね
$${m=n}$$ の場合でも成り立つのを仮定すると
 $${a^m \div a^m = a^{m-m}}$$
$${\therefore 1 = a^0}$$
とするのがよいでしょう

では、$${0^0}$$ は?
$${a>0}$$ のとき $${a^0=1}$$ でしたから、$${0^0=1}$$ ?  ($${\displaystyle \lim_{a \to +0} a^0 =1}$$ 的な考え方)
$${b>0}$$ のとき $${0^b=0}$$ ですから、$${0^0=0}$$ ? ($${\displaystyle \lim_{b \to +0} 0^b =0}$$ 的な考え方)
(極限的な考え方をしないとするとそれぞれ決められません)

ところが、このように極限的な考え方をすると
$${\displaystyle \lim_{x \to +0}  a^{-\frac{1}{x^2}}=0}$$ かつ $${\displaystyle \lim_{x \to +0} (-x)=0}$$ なのに、$${\displaystyle \lim_{x \to +0} \left( a^{-\frac{1}{x^2}} \right)^{-x}=\infty}$$
$${\displaystyle \lim_{x \to +0} a^{-\frac{1}{x}}=0}$$ かつ $${\displaystyle \lim_{x \to +0} (-bx) =0}$$なのに、$${\displaystyle \lim_{x \to +0} \left( a^{-\frac{1}{x}} \right)^{-bx}=a^b}$$
となってしまい、本当に値が確定しません

極限的な考え方をしないとすると

極限を使わないで直接妥当な値を考えてみましょう
例えば、$${0!}$$ は、
 $${3!=3 \times 2!}$$
 $${2!=2 \times 1!}$$
 $${1!=1 \times 0!}$$
で、最後の式が成り立つためには、$${0!=1}$$ が妥当な値と考えますね

$${0^0}$$ だと次のような考え方をすると直接妥当な値を考えることができます
① 二項定理を用いた考え方
  
$${\displaystyle (x+1)^n=\sum_{k=0}^n {}_n\mathrm{C}_k \ x^k }$$
      $${\ ={}_n\mathrm{C}_0 \ x^0+{}_n\mathrm{C}_1 \ x^1+{}_n\mathrm{C}_2 \ x^2+{}_n\mathrm{C}_3 \ x^3+\cdots \cdots +{}_n\mathrm{C}_n \ x^n}$$
 で、$${x=0}$$ のときにも初項が $${{}_n\mathrm{C}_0 \ x^0=1}$$ が成立するためには $${0^0=1}$$
 とするのが妥当でしょう

②$${e^x}$$  のテーラー展開を用いた考え方
  $${\displaystyle e^x=\sum_{n=0}^\infty \frac{x^n}{n!}=x^0+x+\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{6}+\frac{x^4}{24}+\cdots \frac{x^n}{n!}+\cdots}$$
        $${\ \displaystyle =1+x+\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{6}+\frac{x^4}{24}+\cdots \frac{x^n}{n!}+\cdots}$$
 で、$${x=0}$$ のときにも初項が $${x^0=1}$$ が成立するためには $${0^0=1}$$
 とするのが妥当でしょう

①、②ともに $${0^0=1}$$ としないとすると(値を定めないと)
 ①は $${\displaystyle (x+1)^n=1+\sum_{k=1}^n {}_n\mathrm{C}_k \ x^k }$$
 ②は $${\displaystyle e^x=1+\sum_{n=1}^\infty \frac{x^n}{n!}}$$
と表現しなければならなくなります(美しい1つの式としてまとまっていないです)

意味論的な考え方では…

$${a^m=a^m \times a^0}$$ なので、$${{}\times a^0}$$ とは $${{}\times a}$$ を1つも行っていない、つまり $${{}\times 1}$$ と同じことだとみることができます
(0乗とは1回も掛けていないとみます)
この考え方は $${a=0}$$ でも成立するので、$${0^0=1}$$ とできます

ところが、$${m,\ n>0}$$ のとき $${0^{m+n}=0^m \times 0^n}$$ で、
$${0^n=0}$$ は当然成り立ちますが、$${0^0}$$ は意味論的に定義できません
( $${0^m=0^m \times 0^0}$$ つまり $${0=0\times 0^0}$$ なので決めることができません)

この2つから $${0^0}$$ は1とするのが妥当といえるでしょう

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