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マジカルな魔方陣

英語で magic square という魔方陣ですが

ではありません
ファンタジー小説やアニメーションでは欠かせないものですが、こちらは魔法陣 (magic circle) と書きます

これは古代中国の洛書に載っている図です
中国の伝説に出てくる夏の大禹が洪水を治めようとしたときに、洪水の中から神亀が現れ、その甲羅に書かれていたのがこれだそうです
●や〇の個数を図にすると

 この図は縦横斜めそれぞれ3つの数を足すといずれも15になるもので、一般に1から $${n^2}$$ までの数を縦横 $${n}$$ 個ずつに並べたとき全ての列と行と対角線の和が等しくなるものを $${n\times n}$$ 魔方陣と呼びます

また、ヨーロッパではアルブレヒト・デューラーの「メランコリアI」という作品の中、右上に

魔方陣が見られます
4段目にはこの作品の制作年の1514年が入っています
ちょっとおしゃれですね

魔方陣について

縦横が奇数の魔方陣を奇数方陣、偶数の魔方陣を偶数方陣と呼びます

3×3方陣の1行(1列)の和は15ですが、これは1〜9までの和が45で、3行(3列)分なので
 45÷3=15
だからです
4×4方陣だと
 (1+2+3+……+15+16)÷4=34
となります

さて、3×3方陣は左右対称、上下対称、回転して重なるものを除くと
1通りしかありませんが、
4×4方陣は880通り、
5×5方陣は2億7530万5224通り
6×6方陣は7兆7363億4789万3760通りだけあります

奇数方陣の作り方

全部の魔方陣は作れませんが、1つ作るとなると比較的簡単に作る方法がいくつかあります

ヒンズーの方法

① 1段目中央の枠に「1」を置き、
② 右斜め上の枠に数字を並べていきます
  ただし上段にはみ出すと最下段の枠に、
③ 右列にはみ出すと最左列の枠に移動して入れます
④ 右斜め上の枠にすでに数が入っているときは1つ下の枠に入れます

バシェーの方法

バジェーは16世紀のフランスの数学者です
① 枠の外側に斜め45°で正方形に並べます
② 枠に入らなかった数は平行移動で枠に入れます

桂馬飛びの方法

$${n}$$ 3の倍数でない奇数の $${n\times n}$$ 方陣の場合の作り方です

① 「1」はどこに置いてもかまいません(1段目でなくてもよい)
② 桂馬飛びで右下方向に進めて数を置いていきます
  ただし、右列にはみ出すと左列の枠に入れ、
③ 最下段にはみ出すと上段の同じ位置の枠に入れます
④ もし入れたい枠がすでに入っているときは、
  桂馬に飛ばずに左斜め下の枠に入れます

4の倍数の偶数方陣の作り方

4×4方陣の作り方

① 1から順に16まで並べると、行で24や8の差が、列で6や2の差があります
  対角線はすでに34になっているので、
② 色の塗っている枠を赤線に沿って上下対称移動すると、行の差が無くなり
③ 左右対称移動すると列の差が無くなります

8×8方陣の作り方

① 1から64まで順に並べ、4×4に分けて
② 色の塗っている枠を中心に沿って上下左右対称に移動します
  塗っていない右上と左下のブロックも太文字の数で同じように移動すると
  完成します

立方陣

平面で魔方陣が考えられるなら空間に拡張したくなるものです
3×3×3立方陣と4×4×4立方陣には面の対角線と立体対角線の同時に一致することは無理なのですが、5×5×5立方陣は、面に平行な縦・横(内部を含む)と面の対角線と立体対角線が一致するものがあります

6×6×6や7×7×7、8×8×8の立方陣にも解があります
ここまでくるとコンピュータが大活躍だと思いますが、7×7×7立方陣は1866年に発見されています
コンピュータの最初といわれるENIAC(エニアック)が生まれたのは1946年なのです
手作業で求めたというのは驚きですね

魔六角陣

これは右斜めライン、左斜めライン、横方向ラインのどれを足しても38になるというものです
何人もの人に再発見されている魔六角陣ですが、ある人は出来上がった魔六角陣をテーブルに並べて置いていたところ、母親に奇麗に片付けられてしまい、さらに再発見に数年かかったんだとか……

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