CFA Journeyの記録と振り返り

この度、2023年8月の受験でCFA Level 3に合格し、2021年1月に始まったCFA Journeyを終えました。
その記録と振り返りとして、私の経験を共有させて頂ければと思います。
私も勉強中は多くの方のTwitterやnoteなどを参考にさせて頂きました。
CFAに挑戦している方、これから挑戦する方、挑戦しようか悩んでいる方に少しでも役に立つ内容になっていれば幸いです。


はじめに〜自己紹介・受験スケジュール

最初に私のことを少しでも知っているほうが、色々と比較や理解をしやすいと思いますので、簡単に自己紹介をさせて頂きます。
<自己紹介>
学歴:私大卒、国立理系院卒
年齢:30代前半(勉強開始時)
職歴:銀行(勉強開始時)→金融専門職(Level 3受験時)
資格:簿記2級+α(銀行入社1、2年目の時に取得したしょうもない資格)
英語:TOEIC905(銀行入社前に取得)、海外駐在経験あり(3年間半)

理系出身で、アナリスト業務の経験が長いです。ただし、CMAは取っていませんでした。確率・統計、財務会計、コーポレートファイナンスの入門をかじったくらいのレベルでしたので、CFAで勉強した内容はほとんどが初見の分野でした。

また、CFA Level 3合格までのスケジュールは以下の通りです。
<受験スケジュール>
2021年1月:CFA Level 1申し込み
2021年5月:CFA Level 1受験→不合格
2021年11月:CFA Level 1受験→合格
2022年8月:CFA Level 2受験→合格
2023年8月:CFA Level 3受験→合格

CFA受験のきっかけ

上記の通り、私は銀行でアナリスト業務に従事しておりましたが、CMAも持っておらず、資格と言えるものは簿記2級を有するくらいでした。しかも、簿記2級を取得したのは銀行入社2年目で、それ以降はさほど勉強をしていませんでした。※
※CMAや簿記1級にトライしようとしたのですが挫折。業務上必要な財務会計やコーポレートファイナンスについてちょこちょこ勉強する程度でした。

そんな中、コロナ禍でほぼ在宅の生活となり、時間に余裕もできたのですが、仕事+YouTubeをみるくらいの何もしない生活が1年近く続きました。30歳も超えており、さすがに危機感を持ち、何か勉強を始めようと思ったのが最初のきっかけです。

では、なぜCFAを選んだのかと言うと、CFAがアナリストの資格で英語の証明にもなるものだと考えたからです。当時、海外駐在となって1年ほど経過していたのですが、英語にはまだまだ自信がありませんでした(今もないですが)。IELTSを受けようと思った時期もあったものの、結局受けずじまい。英語に関する資格も取得したいなとも思っていました。

そんな感じで、
「証券アナリスト 英語」みたいな感じでネットで検索
→CFAが出てくる
→同じ部署にいるローカルスタッフがCFAを取得している/勉強しているなと思い出す
→じゃあ、自分も挑戦してみるか
みたいな割と軽い流れで決めました。
したがって、USCPAなどは考えず、CFA一択でした。

CFAの勉強方法

※これはあくまで私に合っていた勉強方法であって、正解ではないと思いますし、皆様にフィットするかは分かりません。あくまで参考として捉えて頂きつつ、ご自身に合った勉強方法を見つけて頂ければと思います。

Level 1勉強開始以降、試行錯誤をしましたが、Level 2以降は大きく以下の方法で勉強しておりました。
<勉強方法概観>
①Schweserのテキストを最初から最後まで1回読み通す
②Schweserの章末問題/QBankで総復習
③SchweserのQBankで苦手分野を潰していく(よく分からないところは、テキストの例題などを読み直したり、動画講座を視聴したりすることで理解を深める)
④CFA協会の演習問題でブラッシュアップ
⑤Schweser ・CFA協会のMockを解く、見直し
(③以降は、③、④、⑤の繰り返し)

Level 3の場合だと、
①Schweserのテキストを最初から最後まで1回読み通す⇒2022年10月12日〜2023年4月4日※
②Schweserの章末問題/QBankで総復習⇒2023年4月5〜23日
③SchweserのQBankで苦手分野を潰していく、④CFA協会の演習問題でブラッシュアップ⇒2023年4月24日〜6月23日
⑤Schweser ・CFA協会のMockを解く、見直し⇒2023年6月24日(1回目Mock)
といった感じでした。
※途中、転職活動や退職、引越しなどがあり、勉強時間を確保できなかったというのはありますが、時間をかけ過ぎたなと思っております。

ちなみに、Mockは
6/24日:1回目(Schweser)
7/8日:2回目(Schweser)
7/23日:3回目(Schweser)
8/5日:4回目(CFA協会)
8/12日:5回目(Schweser)
8/19日:6回目(CFA協会)※
といったかたちで休日に受け、その後の平日3〜5日くらいで見直す感じでした。
遅くとも1回目のMockは試験の1か月半前(7月中旬)には受けようと思っていたので、結構前倒しできたなと思っております。
※6回目Mock以降、9/4日の受験までMockを受けていない格好ですが、その間は1〜6回目のMockで分からなかった問題の復習と、協会HPにあるEssay過去問2回分をやっております。試験直前の週末で最後Mockを解こうと思っていたのですが、体調不良で寝込んでしまいました。

また解いた問題数でいうと、
SchweserのQBank:2,000問くらい(複数回解いた問題も1問とカウントされているはずです)
CFA協会の演習問題:600問くらい(全部で約1,000問でしたので60%くらいの回答率です)
で、CFA協会の演習問題が少なめです。※
※これでも多く解いており、Level 1では50問くらい、Level 2では150問くらいでした(Level 1、2ではほとんどがEthicsの問題でした)。

私の勉強方法の特徴は、①と③でSchweserを重点的に使っていることかと思います(他の方々との比較で)。
非効率な勉強方法だと思う方もいるかと思いますので、なぜこの方法を取っていたか、経緯や私の考えを簡単に紹介させて下さい。

Q:なぜSchweserのテキストを1回読み通すのか?
A:正直、非常に非効率だと思います。テキストは5冊ある訳ですが、5冊目を読み終わる頃にはほぼ全ての内容を忘れておりました。それでも、この方法を取ったのは、Level 1の1回目で不合格になった際の反省を踏まえてであります。
Level 1の1回目は、準備期間が4か月程度と短かったのもありますが、Schweserの動画講座とSecret Sauce(要点がコンパクトに纏められた200ページくらいのもの)を使って、まず一通り勉強しました。しかし、試験の2、3週間くらい前に、いざMockを受けてみると、全然知らない概念が出てきたり、テキストにちょろっと書かれている内容が出てきたりで、全く太刀打ちできずインプット不足に愕然としました。そこから相当の追い込みをしましたが、やはり不合格だったので、まずはインプット時に網を広げるという観点でテキストを読む必要があるなと思った次第です。
結果的には読んだ内容を忘れるので意味がないと思うかもしれないですが、マーカーで色を付けたり、メモを書いたりしていたので、読み返す際には役立ったと思っております。
(そんなこと絶対に嫌ですが、)仮にLevel 4があったとしても、非効率と認識しつつ、まずはSchweserのテキストを1回読み通すはずです。

Q:なぜCFA協会の演習問題ではなく、SchweserのQBankを多く解くのか?
A:QBankだと苦手な分野を潰しにいきやすかったからです。SchweserのQBankだと細かい単元、難易度(3段階)ごとに問題を選ぶことができます。例えば、DerivativesのVariance Swapが苦手であれば、その単元をピンポイントで選んで、まずは簡単なレベル、次は普通レベル、最後は難しいレベル、といったかたちで解いていけます。私は苦手分野を一つでも多く潰していくことが重要と考えていたので、この方法がフィットしました。
また、CFA協会の演習問題は誤植や悪文があったり、解説が分かりにくかったりして、結構イライラするというのもSchweser重視だった一因でもあります。

Q:Schweserでは不十分とは思わなかったか?CFA協会のテキストを読んだり、演習問題をもっと解こうとは思わなかったか?
A:CFA協会の教材を使ったほうが確実だとは思っています。Schweserで全ての試験範囲をカバーできている訳ではないですし、問題の出し方や言い回しも微妙に協会のものと異なっていると思います(特にEthicsで)。そのため、私もEthicsについては協会の演習問題を結構解きましたし、Level 3の勉強開始時は協会テキストを読んで、理解を深める勉強方法を取ろうと考えておりました。しかし、実際には時間が足りなかったというのもありますし、Schweserのテキストを読んだ後に改めて協会テキストを読む気力が出なかったため、結局読まずじまいでした。演習問題については、時間があれば、もっと解いていたはずです。

なお、Level 1、2ではそこまで意識していませんでしたが、Level 3の時は、「半分を確実に取りにいく。残り半分は2択に絞れればベスト。それが難しければ、残り25%では2択に絞る」というのを目指しておりました。そうすると、75%(50% + 50% x 1/2)を狙える訳で、悪くても70.8%(50% + 25% x 1/2 + 25% x 1/3)を取れるので、十分合格圏に入ってきます。※
※Level 3のMPS(Minimum Passing Score=合格最低点)は60%程度と予想されています(参考:https://300hours.com/cfa-passing-score/)。Level 3はEssayもありますが、Essayについては50〜60%を狙っていたので、トータルで60%超を十分狙える水準になります。またLevel 1、2のMPSは70%程度のようなので、上記で合格圏に入る計算です。

ではどこを確実に狙いにいくかというと、私は計算問題でした。そのため、EconomicsやFixed Income、Derivativesなどの計算問題は徹底的にやり込みましたし、理解度が低ければSchweserの例題を読み込みました。そうした観点で、SchweserのテキストとQBankが使いやすいと感じていたのだと思います。

ちなみに、Schweserを選んだのは特段理由はありません。Level 1の申し込み前に色々調べていたときに、Schweserが有名とあったので選んだだけです。Level 1で不自由しなかったので、何も考えずにLevel 2、3でも継続して使っていました。
よっぽど自分に合わないと思うのであれば、教材を変えるので良いと思いますが、そうでなければ同じ教材を使うというのが私の考えでした(教材探しに時間を使うのは勿体ないので)。

勉強方法については、結構な試行錯誤をしました(Level 3の時でも、Level 2の勉強方法から微妙に変えたりしていました)。皆様は、早い段階で自分にあった勉強方法をみつけて頂ければと思います。

CFA受験を振り返って

さて、CFA受験を振り返ってみると、「想像以上に大変だった」というのが正直な感想です。
時間的な面と精神的な面に分けて、私の以下感想です。

(1)時間的な面
まず、CFAの取得には相応の時間を費やしました。
私は、2021年1月末に勉強を始め、2023年8月(実際は9月4日)にLevel 3の受験を終えるまでの2年8ヶ月のうち、受験〜結果発表までの約1.5ヶ月間×3回、海外駐在からの帰任前後の約1.5月間(Level 2勉強中)、転職活動中の約1ヶ月間(Level 3勉強中)を除くとほぼ毎日勉強をしていました。※
※平日は短くて10-15分、長くて1時間、休日は短くて1時間、長いと7−8時間くらいです。
特に試験直前の1ヶ月くらいの週末は家にほぼ引きこもって勉強する生活でした(体力的、精神的、健康的にも結構しんどい期間でした)。
よく合格に必要な勉強時間は各レベル250〜300時間と言われますが、余裕でこの時間を超えていたと思います(測っていないので正確には分かりませんが)。

1年半程度でLevel 3まで合格している強者もいるようですが、あれは超人だと思ったほうが良いのではないでしょうか。
したがって、普通は2年超の期間で勉強をすることになると思います。(CFAを受験する多くの方が社会人だと思いますが、)仕事と並行しながら、この時間を捻出するのはなかなか大変でした。

(2)精神的な面
CFAの試験範囲は非常に広範です。
10科目を同時に受けるというのもありますし、出題の仕方も嫌らしく、痛いところを突いてくる問題もある※ので、満遍なく学習し、理解しておく必要があります。
※なかなかうまく表現できないのですが、「うわー、微妙に表現・言い回し変えてきたー、なんだっけこれー、分からんー」みたいなのが頻繁にあります(CFAを実際に受けられたことがある方はこの感覚が分かるかと思いますが)。
モグラ叩きをやっているような感覚で、やってもやってもどこかで分からない・解けない問題が出てくる、というのは精神的にかなりきついところがありました(当然、全てを完璧にする必要はないのですが)。

また範囲が広範なだけに、仕事に関係ない内容が多くなるというのも精神的にきつかったです。
これは従事している仕事次第ですが、どんな仕事をしていても、どこかの分野では仕事に関係ない内容が出てくると思います。私の前職は銀行員ですが、普通の銀行員にとってはCFAで学ぶ内容の多くは、仕事に関連しないと思います。

Level 1、2だと新しいことを学んでいてそこそこ楽しいのですが、Level 3になるとその応用の側面が強くなるので、もはや何のためにやっているのか疑問に感じる場面が多々ありました(特に、Mockでいいスコアが出ない時など)。

精神衛生・モチベーションを維持しながら長期間勉強するというのは非常に大変だったなと思います。

それでも勉強を継続できていたのは、もはや意地だったと思います。Level 1、2の時は、(失礼な言い方ですが)ローカルスタッフの○○”でも”取得していると考えましたし、Level 3の時は、ここまで来たら取り切るしかないと思っておりました。

おわりに〜CFAを目指す方々へ

この約2年半を振り返ると、本当に多くの壁にぶつかったと思います。
Level 1が不合格だったときは結構落ち込みましたし、勉強方法が定まらないことにも焦りました。また、Level 3のMockで40%台のスコア(Essayは自己採点なのでちょっと辛口評価にしていましたが)を出したときは倒れるかと思いました。

皆様も壁にぶつかることがあるかと思いますが、めげずにやれば結果はついてくると思いますので、諦めずに挑戦して頂ければです。※
※ただし、試験には向き不向きがあると思いますので、自分に合わないと思えば撤退して、違うことに取り組むのもありだと思います。くれぐれも、メンタルを病まない程度に、勉強に取り組んでいただければと思います。

また、CFAは本当に多くのことを学べる試験ですし、気付きも多くありました。CFA Journeyに踏み出していない方は、是非一度検討頂ければと思います。

もし疑問に思うことなどがあれば、遠慮なくX(@KanrininP)宛にご連絡下さい。可能な範囲で、ご回答するようにいたします。
私のCFA Journeyは終わった訳ですが、ここがスタートだと思っております。CFAを通して、学ばなければならないことが沢山あることに気付きました。私も引き続き精進していきますので、是非皆様と切磋琢磨していければ幸いです(とりあえず、私は昔挫折した簿記1級の勉強を頑張ります)。
どうぞよろしくお願いいたします。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。機会があれば、また別の記事を書こうと思うので、その際はまたご覧頂けると嬉しい限りです。
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