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ソリシターの悲哀〜絶望の出禁回避フローチャート〜

「代理店情報」データベース

私のソリシター時代・・・
好きで時折眺めるデータベースがあった。


それは「代理店情報」なるもの。
以下のような内容が入力されている。

・代理店の歴代担当者名
・乗合保険会社一覧
・委託登録までの経緯
・代理店の規模
・使用人の情報
・折衝履歴
・取扱商品のシェア
・経営者の経歴
・社名由来
・過去のトラブル…

これが、読んでいるだけで楽しいのだ。
Wikipediaでネットサーフィンするのと
少し似ているのかもしれない。


とはいえ、入力されている代理店の情報は
担当者の性格でバラツキもあり、
残念ながら未入力なものも多かった。


データベースといっても、実際に支社で管轄する
代理店の数より入力されている数は少ない。

本社から入力を指示された時期があったり
無かったりしたせいかもしれない。


従って、私は数年かけて
ほとんどの内容を見ることが出来たわけだが
その中で特に異彩を放つ内容があった。


それは
『出禁回避フローチャート』
と支社内で呼ばれるものだ。

出禁とは

その通り「出入り禁止」の略である。

ソリシター業界では決して珍しいことではない。

多くは担当ソリシターの失態や、
関係性の悪化で出禁となるケースが多いのだが・・・

中には、代理店サイドの理不尽な要求により
3-4ヶ月に1回程度の短期スパンで担当者変更を
余儀なくされるケースもある。

「ヤバい」代理店

正直な話、ソリシターの仕事の大半は、
このような「ヤバい」代理店の対応に依るものが
多いのではないだろうか。

まともな代理店はマニュアルや
システムのQ&A集、コールセンターへの問い合わせを使ってくれるから、業務の負担は少ないのだ。

ただ、「ヤバい」先は違う。

些細な質問にも時間を問わず電話してくるし、
設計書作成から申込書類の準備までもソリシター任せなことも多い。(さらに至急が多い)

加えて、要求することが多い割に
ちょっとしたことで出禁にさせてしまうのも
特徴の一つだといえよう。

これについてもっと知りたい方は
ソリ死タ氏のnoteを読むことをオススメする。

こんな狂った先で不備や謝絶が発生する度に
ソリシターの胃はキリキリと痛むのである。


「出禁になれば次の担当を誰かに任せればいい」
という考えもあるかもしれない。


しかしながら、そう甘く無い。


担当者、さらには課長まで出禁を食らうと、
支社長が担当になるわけにはいけない
ため
場合によっては新人にお鉢が回ることさえある。

ただ、とてもじゃないが
新人に担当させられる先でないので

基本的には課長が最後の番人として無難に
「ヤバい先」を担当することになるが・・・

担当者は支社のために、担当が継続するように
最大限努めなければならないのだ。

出禁回避フローチャート

この出禁回避フローチャートは・・・
課長がいつ異動しても良いように作成した
ある代理店への対応マニュアルの一部

を抜粋したものである。


なんとも馬鹿げている内容かもしれない。

言いたいのは、こんなものを作らないといけないくらい、狂った先を担当させられているソリシターという仕事の辛さを知って欲しいのである。

以下、私の記憶する内容より。

●訪問時の出禁回避フローチャート

①インターフォンが2つある。
必ず左側のインターフォンを押すこと。
(右側を押すと、その場で出禁になる)


②座布団を勧められたら、断る。
(代理店主の時。使用人の場合は問題ないが
基本的に断る方が良い)


③お茶を出されたら、時間をおいて頂くこと。
(飲まないと飲まないで不機嫌になる)


●設計書は、持参すること
(郵送やメールを提案すると出禁になる)


●使用人の◯◯さんは同情するように見せ掛けて、こちらの発言はすぐチクるので
心を開かないこと。


●過去の担当者は話題に出さないこと。


いかがだろうか。

私は最初これを見て大爆笑したのだが・・・


その3ヶ月後に自分が担当になった際
初訪問の日にフローチャート通りに
座布団を勧められて戦慄したのを記憶している。

ソリシターも人間

ソリシターも、
一緒に仕事していて気持ちいい募集人に尽くしたい
のである。

ただ、そのような方はマニュアルを見て、コールセンターに電話をして、システムを見て不備対応して、コンプライアンスを遵守するので、
全く手が掛からないのだ。


残念なことに、一番業務負荷を割くのは
「ヤバい」先なのである。

好きな人には労力をかけずに済み
嫌いな人に労力を割かないといけない。

なんとも切ないものだ。

「金融機関の営業職なのに、売らなくて良い仕事」というイメージ

だから楽そう!
と思う人は、ぜひこの仕事の本質を調べてから
選考を受けることをオススメする。


ただ、悪いことばかりでは無い。

「君の研修した内容が役に立ち、成約できた!」
「あなたのおかげ」

と言われた喜びは他に変え難いほど嬉しいし、

代理店の経営者と信頼関係を構築できるのは、
一生物の財産だと思う。



この記事を読んでいる人に
就活生や転職希望者がいるかわからないが…

本記事が少しでも役立てば本望である。

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