ケルト神話の偉大なる王、コンホヴァル

昔々、エウィン・ウァハに素晴らしくかつ高名なる王、ファフトナ・ファサッハの息子コンホヴァルがいた。彼の治世下、アルスターの人びとには素晴らしいことがたくさん起こった。平和と平穏と喜びがあった。裁きと地の恵みと海の恵みがあった。支配と法と良き統治が長い間アルスターの人びとの上にあり、名誉と集会と財産とがエウィンの王の舘において大であった。(「エウェルへの求婚」、¶1、拙訳


アイルランドの伝承、アルスターサイクルの主人公といえば英雄クー・フリンですが、彼に勝るとも劣らない存在感を放つのが、彼の仕える王、アルスター王のコンホヴァルです。そんなコンホヴァル王については、いくつもの逸話があり、把握するのは難しいです。そこでこの記事では、コンホヴァル王に関してどのような逸話が、どの話に存在するか、簡潔にまとめることにしました。お楽しみいただければ幸いです。


1.コンホヴァルとは何者か

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