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思いがけず失った新卒カード


【夢と絶望のはじまり】

わたしはブライダル系の専門学校を卒業し、
夢の「ウェディングプランナー」になるべく、
東京は表参道に式場を構える、
ある会社に新卒入社した。

ここまでは順調。

まぁまぁ綺麗な家に出会えて、
駅近だし近所にスーパーもたくさん。
一応23区に住めて、
念願の東京ライフと共にはじまった
わたしの新卒物語。
入社式の数週間前に上京してきた私は
毎日ルンルンで東京の街に繰り出していた。

【知ってはいたけど…】

まず入社して1週間はみっちり座学で、
色々なことを学ぶ研修期間。

同期は20人ほどで、
近年稀に見るほど仲が良いと
周りから絶賛される代だったので、
周りとの会話や休憩のランチ、夜の飲み会などを
楽しみに毎日研修に臨んでいた。

そんなある日、人事から言われた一言。
「最初の1ヶ月は式場ではなく、居酒屋で接客研修に入ってもらいます」
これが私の運命を変えた。

私が入社した会社は、
ブライダル業態をやりつつ、
メインは飲食事業だった。

それはもちろん知っていたし、
分かった上での入社だったが、
居酒屋研修は聞いていなかったような…。
と私の頭の中は混乱でグルグルしていた。

別に居酒屋研修でも悪くなくね?
と思うかもしれないが、
私が「嫌だな…」と思った理由。
それは、その居酒屋というのが
「相席屋」だからだ。

今や色々な種類の相席居酒屋が誕生し、
様々な意見はありつつも、
受け入れられている相席業態だが、
ど田舎から上京した私からすると、
「やましい店」「危ない店」という
印象でしかなかった。
もちろんそれは親も同じ感想だったと思う。

そんなわけで、「えっ…えっ…」と
なっていた私だが、1ヶ月耐えればいいんだよね
という気持ちで続けることにした。
こんなところで人生1度しかない新卒カードを
無駄にしたくなかったからだ。

本当の地獄はここからとは知らずに…。

【店舗研修】

早速店舗研修がはじまった。

様々な場所に店舗があるため、1週間おきに店舗を転々とする感じだった。

店によって客層やシステム、雰囲気などが異なるため、各店舗の特性などを知るためだ。

居酒屋バイトすらやったことなかった私には
いきなりの
イレギュラーシステム×居酒屋
というのがかなりキツく、
かなり容量の悪い女だったと思う。

一応社員なのにバイトにこき使われ見下される日々。

でも仕事終わりには飲みに誘ってくれて
カラオケに連れて行ってくれて
とっても、いい子たちばかり。

バイトなのに、日予算や単価を把握しながら
営業にあたってるくらいだから
かなり意識の高いバイトがたくさんいた。
会社としては本当に有難い状況だったはず。

そんなこんなで少しずつ慣れてきて、
相席屋も思ってたより変な店じゃないんだ
と少し自分の中での偏見が薄れてきた頃、
あの出来事が起こった。

【絶望】

ある日、社員が使っている連絡用アプリに
全社宛でお知らせが投稿された。
その中には
「業績不振により、ブライダル業態からの
撤退を行う」という内容が書いてあった。

死んだ、と思った。

何のためにこの会社入ったんだーーー!!と。

これで私の道は相席屋一本に絞られた。

【その後】

衝撃の通告を受け、私はかなりショックを受けた。

転職してブライダル業界入り直す…?
このまま続ける…?

色々な葛藤があったが、
「人生一度きりの新卒」というのが
どうしても捨てられず、私はこのまま
会社に残ることを決意した。

イコール、相席屋の社員になった。

お父さんお母さんごめんね…。
と思いながら。


次の記事では、ここからの流れを書いていきます。

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