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AUSSIE OUTSTANDING HEADS TO TEXAS

21年シーズンのトレードデッドラインは例年に無い「祭り」なテンションで行われたが、トレードされたプロスペクトの中で、マイフェイバリットな人材は割と少なかった。そこで、トレードされたプロスペクトでオンリーワンにして最大のマイフェイバリットであるJosh Gessnerについて、たっぷりと書こうと思う。

PROFILE

オーストラリア・シドニー出身のインターナショナルプロスペクト。父はドイツ人、母は日本人とのバックグラウンドで、マンリー・セレクティブ・ハイスクール(オーストラリアの公立進学校)でプレーの前は、シドニーの日本人チームでプレーをしていた。日本にも小学生の時に在住歴があり、そこでプレーした少年野球がキャリアのスタートと本人はコメントしている。

キャリアの早いフェーズではSSとしてプレーも、(15)でRHPコンバートを決め、翌年にはニューサウスウェールズ州メンバーとして州間トーナメントでもプレーと大きくステップアップ。17年にはABL・シドニーでもプレーをした。さらに、18年にはアメリカへ渡り、アリゾナ・フォール・クラシック等のショーケースイベントでのプレーや、ドライブラインでのトレーニングを重ねる中で、自身のパワー・スキルを上げてバリューも向上。Tulaneへコミットメント、Harvardからもオファーをゲットするまでの人材となった。

ショーケース、ドライブラインでのパフォーマンスに見合わず、オーストラリアではどちらかと言えば全国区のプロスペクトでは無く、アンダーカテゴリでもナショナルチーム入りは無かったが、19年にPHIと$850Kのボーナスでサイン。Zac ShepherdDaniel McGrathLewis Thorpeと言った名だたるメンバーを上回る、オーストラリア出身プロスペクトとしての史上最高額のボーナスになった。当初はTulane入りのスタンスであったが、ドラフトで言えばドラ3相当の大金をスルーしきれなくなった、との意味が大きいだろう。

COVID-19のパンデミックをダイレクトに食らい、21年もRでのプレー止まりであったが、トレードデッドラインでKyle Gibsonのトレードパッケージ入り、リビルドに全力を注ぐクラブであるTEXのメンバーとなった。

SCOUTING REPORT

アンダーサイズだが長くSSをプレーしたアスリートで、若干のエフォートはあるがイージーなデリバリーでストレートとカーブを投げ下ろす。元々はかなりリラックスした、ゆったりとしたデリバリーであったが、この点はドライブラインでの修正に依る物か、、

ストレートはリリースが抜けがちでコマンドがネックも、90〜95マイルとソリッドなパワーがあり、ゾーンに集めるコントロールはソリッドなクオリティをキープしている。コマンドについては、ストレートよりも80〜82マイルのカーブの方が良いかもしれない。シャープでデプスも大きいGessnerのアウトピッチで、特に右打者に対しては好んで良く交える。

Rでは主にスターターとしてプレーも、より上位のクラスでもポジションを守る上では、上で書いたストレートのコマンドに加えて、チェンジアップをレパートリーとして向上させるべきだろう。現状は左打者に対してはストレート依存が大きく、上位の打者へのハンドリングには苦しむだろう。20年シーズンにオルタネイトサイト入りしたことも無かったため、スキルアップの実入りをクラブにサポートしてもらえなかった点もアンラッキーであった。

オーストラリアのタレント事情上では、PITでプレーするBrandon Bidoisと並ぶ、実に希少な本格派エースのポテンシャルである。Josh Guyerが力を付けるアップグレードこそあれど、長くTim Athertonをエースとした構成が揺らがないオーストラリアのスターター事情は、特にパワー面で若干ジリ貧気味だ。メジャーでプレーする人材にしても、ThorpeにAlexander Wellsはテクニカルレフティーで、カレッジを介したパターンの人材もSam Streetはサイドハンドのシンカーボーラーだ。オーソドックスなデリバリーでパワフルなストレートを投げ下ろす、スライダーもしくはカーブでスイングミスを生む、こうしたことが出来る、とてもレアなプロスペクトである。

SUMMARY

アマとしてプレー時、世代で大きな注目を集めたキャリアは無かったが、これからのオーストラリアをエースとしてリーディング出来るポテンシャルがある。近年、打者プロスペクトのデベロップメントが順調なことと反対に、ピッチングデプスはスターター・リリーバーいずれもベテランが未だにそのポジションをがっちりと掴んでいる。

プレミア12で見ても、いくらかフレッシュなメンバーが並ぶ打者に対して、ピッチングはベテランのオンパレードだ。ギリギリ、GuyerとJon Kennedyが未来の主力として注目に値する人材だろう。

パワー・スキルを両立した本格派が不在、とのオーストラリアのネックを、Gessnerはクリアすることが出来るプロスペクトだ。スターターとしてはBidois、リリーフでもCameron GibbensMitch Ellisと、20年にメジャークラブ入りしたパワーリリーバーコンビがプレーしており、パワーが足りないピッチングへのカンフル剤として彼らはオーストラリアの野球をブーストしてくれるだろう。GessnerがAthertonやGuyerを上回るポジションに収まれば、オーストラリアのプレゼンスはたちまちに上がるだろう。

オーストラリアのエースになる上では、コマンドやチェンジアップと磨くべき点は目立つ。ストレートのリリースが抜ける点を見ると、ゴールとすべきエース像はCorbin Burnesかもしれない。抜けがちなストレートからカッターをメインレパートリーに変えたことでキャリアを大きく良くしたBurnesのプレースタイルの変遷は、Gessnerにとっても大きな学習材料になってくれると、あくまでもファンながらに思っている。

TEXで、コンディション万全に、大きく育って頂きたいプロスペクトだ。オーストラリアの天才として、未来のオーストラリアのエースとして、1人のオーストラリア野球ファンとして注目していきたいと思う。

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