見出し画像

【中国棒球】23年WBCの先発事情が白熱している件について


PCをMacbook ProからWindows機に替えた影響で、繁体字入力のサジェストが失われたため、今回からは簡体字表記で記載を行う

WBCのリブートを祝して、日本と同組のプールB入りした中国にて、目下激熱なローテーション争い事情が行われていることをお伝えしようと思う。開催まではしばらくあるが、中国について言えば、直近にアジア大会も待っていることなため、その点にも響くネタとして、是非ご一読頂ければ幸いだ。

絶対的エース候補、赵伦について

米カレッジサマーリーグで95マイルをマークし、21年オフにAFLでもプレーしたMILの赵伦だが、MiLBのページを見ると、コンディション不良をきっかけにリタイアしている。

中国人離れしたパワースタッフに止まらず、ツーシームやカッター、カーブも投げ下ろす技術力の高さ、MILマイナーでコーチから絶賛されたファイターマインドと、中国棒球の歴史でも随一のポテンシャルを誇る人材であった。マイナーでのプレー量やリタイア理由、国内組が参加しアピールをしている各種トーナメントにも当然プレーが無いため、おそらくアジア大会もWBCもメンバー外になるだろう。

日本と韓国が大きくリードしているWBCのプールBにおいて、風穴を空けられる可能性が最も高かったビッグスタッフだった、、と言う文脈に止まらず、中国棒球のプレゼンス向上の点でも、若干の爪痕を残しただけでキャリアを終えた、との点は実に惜しかった。AFLやフルシーズンマイナーでプレーする中国人が生まれたことはうれしいことだが、赵伦にはその先も期待をしていたこともまた、事実である。

安心して下さい、たくさんいますよ!

しかし、SPのデプスについて言えば、赵伦を失ってもなお、中国棒球の未来はとにかく明るい。国家隊での実績に溢れるベテランが健在な中で、若い人材も力を付けてきた。とても理想的なサイクルが生まれつつある。

👇も是非参考にして頂ければと思う。

ベテランたち

実績溢れるベテランとしては、日本でも4刀流として騒がれた孟伟强が筆頭だ。90マイルのストレートとシンカー気味に落とすチェンジアップをコマンドし、パワーバッティングも未だ広東隊で主軸を任されるクオリティをキープ。役回りはともあれ、23年も国家隊で主力ポジションを任されることになるだろう。

また、21年の全运会では、四川隊の冉松も非常に良いパフォーマンスを残した。シャープなスライダーとシンカー気味のストレート、チェンジアップでボールを動かし、ボールパワーも十分。元々国家隊での実績もある人材な点も入れて、貴重な左のスターターとしてデプスを構築してくれるだろう。

吴安俊

力を付けてきた若手の中で、最も実績値を積み上げているイメージが大きいのが吴安俊。21年の全运会では决赛で先発のマウンドに立ち、ストレートとスライダー、カーブをクレバーにコマンドする丁寧なパフォーマンスで江蘇の優勝に貢献した。パワーで押すタイプでは無いが、組み立てを柔軟に切り替えられる技術力が高く、打者を上手く翻弄出来る。

宫海成

吴安俊は技術に長けたタイプだが、最近はパワータイプのデプスが厚みを増している。最も有名な人材はPITマイナーでもプレーをした宫海成だろう。フィジカルが出来上がってきたことで、デリバリーとパワーが安定してきた。全运会では92マイルをマークし、カーブとのコンビネーションで打者を制圧。エアポケット的にコントロールを失うシーンがネックで、球数を稼ぎながら長いイニングを消化出来ることもポイントになるWBCにハマれるかは気になる。

王唯一

赵伦がリタイアした今、未来の中国国家隊エース筆頭は王唯一だと思っている。ほとんど表舞台に出ることが無い陕西隊(事実上、江蘇隊の下部組織とも)の人材だが、開催省枠でプレーをした21年の全运会では長身・スキニーなフレームから89マイルをマーク。思わぬスランプで5位決定戦に回ると本調子で無かったとは言え、人材豊富な上海隊に8IP/3失点と立派なパフォーマンスをマークした。コマンドがアバウトだが、深いイニングでもパワーが落ちないスタミナがあり、スライダーとカーブもキレ自体は上々。プレー環境のハンデはあるが、ポテンシャルは国内で頭ひとつ抜けた人材だ。

伊健

王唯一のライバルとなるだろう人材もいる。MILマイナーでプレー歴がある伊健は、マイナー歴、U-18国家隊メンバー入り等、実績では王唯一の上を行く。アンダーサイズだが、ナチュラルカットするストレートとシャープなスライダーを主体に、それなりなコーナーワークが出来るコマンドもある。22年の冠军杯赛では広東隊のメンバーとしてプレーした様で、四川隊を下すナイスパフォーマンス。王唯一と比べると、より早くに熟して国家隊を牽引してくれそうだ。

李乾

22年の冠军杯赛では事実上エースの様な立ち回りで、北京隊の優勝に貢献した李乾も、候補に入ってくるだろう。力みのあるデリバリーだが、安定して85~88マイルをマークするストレートはシンカー気味なアクションもある。国際大会との文脈では、かつて日本戦でマウンドに上がり、動くボールで苦しめた罗夏の様なイメージが近い。

齐鑫

北京隊どころか、国内全体でもトップクラスに買っている人材だが、近年は北京隊でもリリーフエースの様な扱いになっている。20年シーズンに大きな故障をした、とのニュースを目にしたが、その影響だろうか。万全であれば、クリーンなデリバリーからハイゾーンへのストレートで空振りが生み出せる、国内では稀有なSPになれる。MAXも21年の全运会で91マイルをマークと、パワー面も十分。

23年WBC希望ローテーション

公式サイトで書かれている「ラウンドロビン式のダブルエリミネート」と言うトーナメント方式が良く分からないが、参加プールの国とラウンドロビンをする仮定で、各国にこんな具合で当てたいな、との希望ローテーションを書く。

vs. 日本 王唯一

将来を見据えた投資目的が半分。陕西隊ではほとんど味わえない、高いクオリティのプレーに触れてほしい、、と同時に、そのポテンシャルであわよくば制圧してくれると良いなー、との希望も入っている。

vs. 韓国 宫海成

フル代表では歯が立つイメージが全くしないが、パワーで制圧をして頂きたい。ここは投資と意味は王唯一と比べると薄く、宫海成として出せる最高のアウトプットを期待。メンバーは違えど、最高のシナリオは19年のアジア選手権。

vs. オーストラリア 伊健

右のオール・オア・ナッシング型のパワー型打者が主になるオーストラリア打線に、スライダー系が強い伊健を立てたいな、との思惑。

vs. 予選勝ち上がり 孟伟强

絶対に負けられない戦いがそこにあるので、エースを立てようじゃないか。

まとめ

こうやって書き並べると、デプスが厚いなー、と感じる。リリーフ要員にしても、杨燕勇郑超群苏长龙李鑫と、実績も実力も十分な人材が並ぶ。ローテーション入りならずな人材もリリーフ歴は多く、配置転換にもアジャスト出来ると思うと、一定のクオリティのピッチングデプスを作り上げることは、赵伦のリタイアがあっても容易と感じる。

杨燕勇なんて、割とイージーに90マイルを投げてくる点では相当スペシャルな人材だったりする。しかもコントロールも良い。

ベテランと若手の融合、との意味では、23年はそれなりに結実の年になる様な気がしている。国際大会でコンテンドをしながら、一方では若い人材が主力を担う様なブリッジイヤーにもなってくる、そんな絶妙な年。

だから、王唯一君よ、今年でエースになっちゃおうぜ。よろしく頼む。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?