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【随時更新】2024年中華人民共和国棒球員名単:捕手編

注意

錦標賽やCBL等で観測した人材に絞って記載。中華人民共和国棒球の中継は全チームを網羅している訳では無いため、どうしても主要隊人材の紹介がメインになることは了承されたし。


江蘇隊

李孝煬リシャオヤン
強豪の江蘇隊で突如頭角を現したアジリティ型の司令塔。24年の錦標賽から国家隊常連の欒臣臣を差し置いてマスクを被る場面が増え、チームの王座奪還に大きく貢献した。1番を任される程のアスリートで俊足。バットコントロール良く広角に打球を放ち、逆方向にも上手く打球を運ぶ。ディフェンスもIFの様なクイックなスローは精度が高く、ボールカバーの動きも軽快とオールラウンダー。ややブロッキング難な節はあるが、類似タイプがほとんどいない国内においては国家隊入りの線も十分に有り得る。

欒臣臣ルァンチェンチェン
MLBDC時はBabe Ruthの愛称で呼ばれたフィジカル型。がっしりとした体躯からパワー溢れるバッティングと安定感が高いディフェンスで江蘇隊に止まらず国家隊でも存在感を示す人材。23年は経典賽で不甲斐無いパフォーマンスに終始、その後も尾を引くかの様に低空飛行気味だった上、24年からは李孝煬の台頭も重なり近年は存在感が危ぶまれる事態に。ただ、24年の錦標賽決賽では全打点を叩き出すパフォーマンスで江蘇隊の王座奪還に貢献。波が激しい趙富陽を上手くリードした点でも株を再び上げたと言えよう。

広東隊

周奕ジョウイー
国内最高のホープ。23年はOFとしてプレーしたが、広東隊に有力な青年隊員が大量加入したことでCのプレーを主戦場に切り替え、24年錦標賽では準優勝に貢献。ゆったりとした構えから広角かつパワフルに打球を飛ばす天性のヒットメーカー。スピードスタータイプでは無いがベースランニングもスキルフル。Cとしての能力も申し分無く、24年に入り不振気味だった伊健や2~3年程音沙汰が無かった曹正清が復活したことも無関係では無いかも。国家隊入りは当確レベルで、どちらかと言えば個人のパフォーマンスよりも国家隊をどれだけ牽引出来るかのインパクト面の方に期待をしたい。

上海隊

李寧リニン
経典賽での攻守に渡るパフォーマンスで今や揺るぎない国家隊レギュラーマスクの座を掴んだ。フィジカル型のCが多い国内では珍しく小回りの良さで勝負するタイプで、特にバットコントロールが良いオフェンスは国内随一の完成度を誇る。ベースランニングスキルも高く23年CBLではSBリーグトップをマーク。2BやOFもプレー可とユーティリティとしても重宝出来、これと言ったネックはパワーレスな点ぐらいか。インパクトが大きいプレーを連発するタイプでは無いため若干過小評価された時期もあったが、攻守で献身的な彼の様な存在はやはり不可欠だと言えよう。

凡徳雨ファンデユ
MLBDCでアンダーカテゴリを牽引すると、上海隊入り後もレギュラー格でこそ無いものの安定して出番を掴んでいるホープ。場数の少なさゆえか成長度合いは期待外れだが、パワフルなバッティングとスローイングに長けるディフェンスを搭載しておりポテンシャルは高い。キャリア上の目下の障害は李寧の壁が高すぎることか。

四川隊

李旭弘リシューホン
四川隊を攻守で牽引する司令塔。クリーンナップを任されるオフェンス力に加えて、技巧派が揃う四川隊のPたちを巧みにリードするディフェンス面でも貢献度は高い。どちらかと言えばオフェンス型の人材で、ディフェンス面は乱れたゲームを落ち着かせられずにワンサイドゲームに持って行かれるシーンが多い。リードの傾向等からもしかすると張昊の様なパワーピッチタイプが四川隊で伸びない一因になっている可能性も否定出来ないが、真偽はいかに。

金利民ジンリミン
24年で38歳のベテラン。四川隊でのレギュラーマスク役は既に李旭弘に譲っているが、シャープなスイングのミドルヒッティングは未だ健在として、DHとしてオフェンスに厚みをもたらしている。甘いボールを逃さない嗅覚はベテランならではで、李雨洋の様な若い主力打者と比べても変化球で大崩れされない安定感も光る。

天津隊

王帥ワンシュアイ
国内で比較的人材が飽和しているC人材の中では地味なタイプ。攻守で大崩れは無いが特筆するべきツールが無く、アスリートとしてもフィジカルタイプとしても突き抜けられていないイメージは拭えない。好調時は安打を量産出来るミドルヒッター的側面が一番の売りか。まだまだ若い人材でアップサイドが残されている点も魅力。

北京隊

李一凡リイーファン
近年は北京隊でも1Bをプレーすることが増えたが、キャリア当初はディフェンシブな人材として存在感を発揮していた。盧斌斌の台頭に加えて、バッティング面での大きな成長もあったため、そちらを活かすキャリアにシフトしたと捉えるのが妥当だろう。左のスラッガータイプとしては寇永康と並ぶ国内トップ人材で、プルサイドへのパワーに変化球への対応力と完成度が高い。Cの時から一定の評価を集めていたスローイング面でも1Bではダブルプレー起点になれる大きな武器に。ただしアジリティが無い上、1B主体になってから日が浅いこともあり痛烈な打球はまだまだファンブルしがち。

盧斌斌ルービンビン
フィジカル型のCとしては国内最高の有望株。決してディフェンスが悪くなかった李一凡を1Bに回した上で起用されている点からも期待値の高さは疑いが無いが、強烈な打球を放つバッティングに破綻が無いディフェンスと李一凡同様のオールラウンダー性能を示す。23年末の北京隊の茨城遠征の際は当初精彩を欠くも徐々にパフォーマンスを上げ、最後は1試合2ホーマーでフィニッシュ。

重慶隊

曾霊傑ツェンリンジエ
デプスが薄い重慶隊でも下位打線な上、ディフェンスも低めのブロッキングに難とまだまだ課題が多い人材。

山東隊

呂修鑫ルゥシウシン
スローイングが弱くランナーを出した際にディフェンスが大きく崩れがち。江蘇隊側で李孝煬が頭角を現したことも踏まえると、非常に厳しい立場と言わざるを得ない。

総評

非常に人材豊富な激戦区ポジションだ。李寧欒臣臣が脂の乗った年齢になり成熟期を迎えたのも束の間、国内から周奕盧斌斌が台頭すると、24年に入ってからは李孝煬まで登場と、1個のポジションを巡る争いは激化の一途を辿っている。

序列的には起用のリスクが低く、ポジションの融通も効く李寧が頭1つ抜けているイメージだが、2番手以降の人材は時々の首脳陣の好みによってかなり分かれるのでは無いか。李寧と同じくポリバレントな人材を選ぶならば手薄なOF人材としても賄える周奕が筆頭で、左右のレパートリーを重視するならば目下は盧斌斌が最有力だろう。打力に比重を振っても良ければ李一凡を選択するプランも用意出来ると、他ポジションの都合やCに振り分けたい責務によって柔軟な選択が出来るだけの厚みがある。

近年はMLBDCからの突き上げも強烈で、呉駿浩の様なディフェンスに優れた俊才も輩出と、王偉リタイア後の人材供給には全く困っていない状況と言える。他国に無い大きな強みとして、国際シーンの前進においても存分に利用したいポイントでは無いか。

ちなみに私は李寧の次点としては盧斌斌推しである。

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