ブラックCoC

結論を先に書いておく。
「あれこれ味わってみると良い」
それだけの話を薄めて書いていく。

先日またTRPG界隈で学級会が行われているのが目に付いた。
発端はこのポストっぽい。

この方の意図が完全に分かるわけでは無いが、ツリーのポストも併せて見るにTRPG(昨今のCoC)だけに傾倒しない方が良い、ということを言いたいように見える。

そして、概ねこの意見には同意である。
もちろん、どの年代であれ月イチ集まってTRPGする、みたいなコミュニティであればとても良いものだと思う。
時間と感情を共有して楽しむという経験は、何物にも代えがたい。

ただ問題視しているのは、TRPGだけがインプット元となってしまったとき、認識に偏りが起きてしまうことだ。
特に昨今のCoCと特筆しているあたり、なんとなく同じ危機感を抱いているように思う。
もしかしたら元ポストの意味からは離れるかもしれないが、ここで少し例え話を交えたい。

コーヒーの味はおおざっぱに言えば、苦くて少しすっぱい、みたいな表現に収まるだろう。
マイルドにするためにミルクを入れたり砂糖を入れたり、チョコレートなどのお菓子と合わせるのも良い。

ここで、コーヒーの味についてAさんから「あの甘さがいいんだよね!」と言われた時を想像してほしい。どう思うだろうか?
それはコーヒーの味ではないのでは?」というのが率直な感想である。
もちろん、甘いコーヒーが好き、ミルク入りが好き、なんでもあるとは思うしそれは全く問題ではない。

ただ、コーヒーの味を理解しているのかは少々不安になる。
Aさんが甘い缶コーヒーしか飲んだことが無いのであれば納得がいく。
そしていつかAさんが「コーヒー」を好むあまり、「コーヒー」の店を出したとしよう。これこそが「おいしいコーヒー」だと打ち出して。
もちろん好きな人はいると思う。
売れるかもしれないし、受け入れる人もいるかもしれない。

しかし、コーヒーを愛してやまない人間からすると少し目障りに思うだろう。
せめて最低限、世間一般に言われるコーヒーの味を知っていてほしいと思うだろうし、願わくば「カフェラテ」のように別物と分かる名称で呼び分けてほしいと感じるだろう。
少なくとも自分はそう思う。
ブラックコーヒーですって言われて激甘カフェラテが出てくるのは嫌だ。

立ち返って現状、CoCに分類されるシナリオを味わってみたとき、ほとんどコーヒーが入っていないなんてことがザラにある。
ミルクティーのことを指していたり、缶ジュースのことを指していたり。
果てはお菓子のことを指していることまである。
こうなるとブラックコーヒー派の自分としては、うかつに注文できない。
別にこれらが美味しくないと言っているわけでは無い。
ただ、コーヒーの味を誤解しているカフェが多いように思う。

ではブラックコーヒー派の願いはなんなのかと言うと、コーヒー・ミルク・砂糖、その他なんでも味わっておいてほしいということだ。
本格的な苦いコーヒーを味わって、その世界の深さや面白さにも触れてほしい。
ミルクや砂糖にも少しだけこだわってみて、味の多様さも楽しんでほしい。
そして出来れば、古今東西あらゆるものを味わった上で「コーヒーっておいしいよね」と言って欲しいのだ。
そうなって初めて、コーヒーのおいしさを理解出来るように思う。
おいしさを理解出来ないのは、純粋にもったいない。

「ブラックコーヒー」というある種のレトロニムがある通り、甘いコーヒーが世に浸透していることは分かり切っている。
そろそろ「ブラックCoC」と分けて呼ぶべき時が来たのかもしれない。

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