行為中に違う名前を喘がれたお話~毎日生理の圧倒的敗北の瞬間~




皆さんは行為中に、違う異性の名前を喘がれたことはあるだろうか。


結論からお話すると、私はないようである。





それは当時まだmixi全盛期、私も谷間をおっぴろげ人を刺せるようなヒールで通学していた時代。
当時私は携帯を2台持ちしていた。


1つはdocomo。
もう1つはそう、アラサーのネット老人会員はもうお分かりだろうがWILLCOMだ。


WILLCOMと言えば、同士であれば2時間45分は通話無料、2時間45分を超える前に切ってかけ直せばまた無料という、まだLINEが普及していないあの時代からしたら、とてつもなく画期的なアイテムだった。


当時カップルで持つことが主流だったが、私は彼氏もいない癖におしゃべり好きという理由だけで、こいつを契約していた。

そう、それくらい長電話が好きな人間だったのだ。


そしてmixi全盛期と共に青春を過ごした人間はお分かりいただけるだろうが、当時mixiには「コミュニティ」と言うツールがあり、私はそこの【WILLCOMで通話OK】と言うコミュニティに属していた。



全く知らない人と電話で話す。


これが私の趣味だった。




話は少しずれるが、私は今、毎日生理というクソみたいな名前でTwitterをやっている。
しかも顔も公開しているし、なんなら本名も公開している。

プライバシーもクソもない人間なのだが、それは当時から変わらず、全く知らない人と話す=知らない人に自分の番号を教えると言う行為を平然とやってのけていた。


ぜひ、そこに痺れて憧れてほしい(わかる人に伝われ)




これがもう少し遡ると、前略プロフィールにdocomoの番号を載せていたくらいなので、もう私の電話番号は0120-444-444より知れ渡っているかもしれない。


と、まぁここまで電話番号をオープンに公開していると、勿論変な電話もかかってくる。
過去にコミュニティで知り合った人間が、私に嫌がらせしようとしているパターンもある。


変な電話の中で最も多いのが、「オナ電」だ。


オナ電とは、字の如く電話を繋ぎながらオナニーをして、お互い楽しむというまぁかなりマニアックなプレイの1種だ。


しょうもないと思うかもしれないが、これが結構な頻度でかかってくる。

ただ私は更に斜め上をいくので、この電話に対応するのが好きだった。
対応と言っても自分は行為を行う訳ではなく、ただ聴いているだけ。

たまに喘いでほしいとお願いされるので、仕方がなく演技をするのだが、自分で言うのもあれだが私はかなり上手い。

1回擬似喘ぎ声を録音して確認したことがあり、上手過ぎて卒倒しそうになったので、もし機会があればぜひオフ会でお披露目したい。


話を元に戻すけれども、私は数々のオナ電に対応しすぎて、そのうち「あっ、この喘ぎ方は多分こないだかけてきた人と同じ人だな」と、判別が出来るようになった。


基本こういうイタズラ電話をかけてくる人は、こちらの状況お構い無しにいきなりかけてきて、名乗ることも無く勝手に喘いで果てて終わりなのだが、私はこいつらの喘ぎ声を判別して楽しんでいた。


オナ電ソムリエと呼んでほしい。



そんな中、1人だけかなりのリピーターがいた。



彼(以下、まさし《仮》)はいつも深夜2時〜4時くらいに非通知でかけてきて、電話をとると10秒ほど無言なのだが、いきなり大きな声で喘ぎはじめ、大体10分弱で果てる。


まさしは、2週間に1回〜2回のハイペースでかけてきていたので、すぐに覚えた。

たまにこちらから「どちら様ですか?」「誰ですか?」と問いかけるが、勿論返答は無い。ただひたすらに喘ぐだけである。


そんなまさしだが、電話の回数を重ねる事に少しずつ変化が見られた。







そう、喋り始めたのだ。



まるで扱いが赤ちゃんだが、オギャオギャ泣いている赤子が喋る始める事と、ハァハァ喘いでいる男性が喋り始める事、これはもう同じ扱いで問題ないだろう。


ただ、電話の声が遠いので、何を言っているかは分からなかった。
分からないでモヤモヤしているうちにまさしが果てて、電話が切れる。こんな状態がしばらく続いた。




そして深夜3時、また非通知の着信が鳴り響く。
出たらそれはやっぱりまさしだった。

まさしはいつも通り喘ぎ始める。
ただこの日は、明らかにいつもと様子が違った。




喘ぎ声がかなり鮮明に聴こえるのである。



いつもよりクリアな喘ぎ声に、私は心の中で爆笑した。
そして何やかんやしているうちに、まさしがボソボソと話し始めた。

ここ最近のモヤモヤが晴れると思うと、私は少しワクワクした。


まさしは何を話しているんだろう。


これはもう、自分の赤子が初めて喋る瞬間を心待ちにしている母親と、何ら変わりない。
まさしに母性すら覚える私、オナ電界のヴィーナスと崇め奉ってほしい。


そしてそれは確かに聞こえた。
まさしの初めての言葉......









「さやかぁ、さやかぁぁぁぁあ」






いや、さやかって誰ですのん?(私の本名は”はるか”です)








恐らくだが、少し似た名前を喘いでいるあたり、過去に1度電話をして、素で私の名前を間違えていると邪推。



"知らない男が知らない女の名前を喘いでいる深夜3時"



このワードだけ見ると、響きの良い不倫の名言のように聞こえるが、実態はカオス過ぎるにも程がある。


流石の私も混乱したが、人の過ちを正すのもオナ電界のヴィーナスの使命。
勇気を振り絞って喘ぎ声に応対した。









「あの、すいません。私、はるかなんですけど......」







............







20秒くらいの沈黙だった。
梅雨時の生ぬるい静けさ。
丑三つ時とはこういう時間のことを言うのだろうか。




そしてこの沈黙を打ち破ったのはまさしだった。















「はるかぁ、はるかぁぁぁあハァハァ」








「えっ、嘘でしょ?!?!?!」




思わず思っていたことをそのまま口に出してしまった。
しかしお構い無しに行為を続けるまさし。

強い、強すぎる。
圧倒的敗北の瞬間だった。




そしてまさしは2分後、私の名前を呼びながらいつもより豪快に果てた。

事が終わると電話は直ぐに切れ、以後まさしからの電話はこなくなった。








この時期になるといつもまさしを思い出す。
彼は今も非通知でオナ電をしているのだろうか。



その強靭なるメンタルは、ぜひ他の機会で使ってほしいと切に願うばかりだ。


あと、最後に一つ質問なんだけど、まさしって誰?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?