見出し画像

課金地獄、ハイレゾ天国

 アイドルを育成する音楽ゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」(ミリシタ)で遊んでいる。ミリシタも多くのスマートフォン向けゲームと同じく、基本料金は無料だが課金をするというビジネスモデルだ。

課金は地獄

 基本料金は無料なのに課金をするのは、ほしいアイドルを獲得するためだ。多くの場合、ほしいアイドルは「ガシャ」で獲得する。このガシャは、ゲームをクリアしたときにもらえるアイテムで、ある程度は無料でできる。しかし、ガシャで得られるアイドルはランダムだ。そのため、ほしいアイドルが獲得できるまでガシャを幾度も行うために、多額の課金をする人もいる。

 このミリシタに限らず、数十万円の課金はよく聞く話しで、数百万円というネタとも思えるような体験談もあるほどだ。ゲームは楽しいはずなのに「課金地獄」とも言われている。

 酷な話しではあるが、ここで獲得したアイドルはゲームが存在する間だけ価値がある。わたしがプレイしたゲームの中で一番短かったのは、FPSの「攻殻機動隊オンライン」。わずか1年で終了した。3,000円くらい課金したが、その価値はもうない。それくらい、もろいということだ。

ハイレゾは天国

 このようにアイドルのことばかり書いてきたが、音楽もミリシタを形成する1つのコンテンツだ。わたしが魅せられたのは、この音楽だ。ゲームをしている間に、「これほしいな」と数曲ずつ買っていたら、30曲にもなってしまった。しかも、moraで配信されているハイレゾ版を1曲540円で購入したので、合計16,200円だ。

 AAC版の322kbpsも配信されているが、購入するならハイレゾ版に限る。ミリシタには52人のアイドルが登場する。音楽によりソロだったり、数名、中には全員とされている音楽もある。この多人数で歌っている音楽がまさに、ハイレゾでなければ味わえない音だった。バックコーラスやハモり、デュエットが非常に心地よい。

 さらに、ヘッドホンを耳に押さえつけて、ここのパートは、誰と誰と誰が歌っている、などと聞き分けをするようになってしまった。これも、ハイレゾでなければ難しい。

20年後にFLACフォーマットのハイレゾは聞けるのか?

 ゲーム内で得られたアイテムやキャラクターは、ゲームが終わると価値がなくなる。それでは、ハイレゾはいつまで聞けるのだろうか。

 過去にさかのぼって考える。2001年に「iTunes」がリリースされた当時、CDからリッピングした大量のMP3ファイルを持っていた。この時も今と同じように「いまリッピングしたMP3のファイルはいつまで再生できるのだろうか?」と疑問に思った。

 この先、優秀なコーデックが登場したり、CDよりも高音質なメディアが登場りたりするから、10年も経ったらMP3は廃れていくと思っていたが、そんな事はなかった。約20年経った2019年、AmazonはMP3で音楽を配信している。MP3のエンコードもコーデックも20年で進化を遂げたうえに、ソニーの「DSEE」などハイレゾ相当にリアルタイムアップコンバートする技術も登場した。

 これらを考えると、MP3はまだ現役と言える。そうなると、ハイレゾのFLACフォーマットも数十年先も、なんの苦労もなく聞けるだろう。

20年後にガシャは残っていないが、ハイレゾは残っている

 ゲームは楽しいはずなのに課金して“地獄”。一方の音楽は、好きなときに、どこでも、おそらくいつまでも楽しめる。

 iTunesからiPod、その後に続くソフトウェアやハードウェア、サービスやクラウドがもたらしたのは、何千曲もの音楽をすべて同列に扱うということだ。これは、気が付きにくいが、重要だ。今日ダウンロードしたハイレゾも、20年前にCDを買ってリッピングをしたMP3ファイルも同列ということ。もうカセットテープやMDの時代とは異なる。

 いまでも、適当に選んだ音楽が20年前にリリースされたCDという事もある。20年後もミリシタに登場するアイドルの春香や未来の歌が聴けることは、間違いなさそうだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?