見出し画像

安全な発電所づくり

 パシフィコ・エナジー株式会社で建設部門長を務めております松下隆と申します。2015年にパシフィコ・エナジーに入社して以来ずっと発電所建設に携わってきました。

持続可能なエネルギーである太陽光発電所を建設することが自身の誇りとして今に至っていますが、その大前提として安全な発電所づくりが重要であることを強く感じています。

自然の恵みで成り立っている太陽光発電事業ですが、自然災害といつも向き合っています。年々高まっている自然災害リスクですが、それでも更に安全な太陽光発電所づくりをしていかなければなりません。非常に難しい挑戦ですがやりがいのある仕事です。前職のスローガンに「安全はすべてに優先する」とありましたが、この標語は今でも信念としています。

建築へのあこがれ

小学生の頃にニューヨークの摩天楼をテレビで見て、なんてかっこいいのかと漠然と興味を抱きました。その後高層建築へのあこがれは変わらず大学では建築を専攻しました。特に建物のファサードデザインと配置計画が面白く、大学時代には一日中有名な建築の設計図を眺めていました。今でも建築雑誌で興味ある建物を眺めているとわくわくすることがあります。大学3年の時に1ヵ月かけてニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなどの高層建築を見て回ったことは今でも鮮明に覚えています。ニューヨークのワールドトレードセンターもその一つでした。いつしか建物のデザインと同じようにつくることにも興味を抱いていきました。当たり前のことですが、設計図と実物が全く同じであることに不思議な感覚を覚えました。つくることが面白いと思い職業として選びました。

東邦大学理学部(2005年 太陽光発電パネルを組入れたアルミカーテンウォール)
シンガポール国立大学スポーツ棟(2012年 太陽光発電パネルを配置した屋根)

再エネ志望の契機

 入社以来数多くの建築に携わってきて、このまま建築を職業として続けていくと信じていましたが、2007年7月16日にマグネチュード6.8の中越沖地震が発生し、新潟県柏崎市にある原子力発電所が被害を受けたことニュースで見ました。震源地から16㎞離れた東電柏崎刈羽原発3号機変圧器付近での火災は、非常に衝撃的で恐ろしさを覚えました。
設計時の想定加速度を超えた地震動で、変圧器付近の地盤の不同沈下が原因となり変圧器と建物を結ぶダクトで火災が発生したとのことでした。私自身東京電力の変電設備の工事を経験したことがあり、設計ステージ、建設ステージおよび施設稼働後の安全に対して非常に厳しい管理体制であったことを記憶していますが事故は起きました。事故直後に東電は想定外の規模の地震により事故が発生したと説明していましたが、原子力発電が地震に弱いことを改めて知った事故でした。また、当時原子力発電は電力エネルギー割合の25%近くを占めていたので、日本各地に存在している原発は同様な危険性を秘めていることも知りました。
火災事故から4年後の2011年3月11日には東日本大地震が発生し、3つの原子炉が同時にメルトダウンを起こす世界最悪レベルの事故が発生しました。自然災害の恐ろしさと原子力発電所の脆さを再び感じ、原発への嫌気だけが残りました。それ以来再生可能エネルギーの必要性を痛感しました。

2015年に、意を決してパシフィコ・エナジーの門をたたきました。

安全な太陽光発電所建設で心がけていること

パシフィコ・エナジー入社後既に8年が経過しようとしていますが、振り返ると当時は会社を設立して間もなかったのでネームバリューもあるわけでなく、行政との協議、地元住民との協議でも先ずは会社の紹介から始めた記憶があります。また、元受建設業者を含め他の業者にもこちらの話しに耳を傾けてくれることなく苦しんだこともありました。それでも太陽光発電所の建設に手掛けられることが励みであり、誇りでもあったので、今でも続けることが出来ています。

太陽光発電所は自然災害、特に水害に関して場外に対しては土砂や鉄砲水を出さない設計にしっかりとなっていますが、場内では細かなガリ浸食や排水溝の破損などが毎年発生します。恐ろしい水の力を侮ってはいけません。毎年細かく水路を修復・拡張し水道には植生土嚢を置くなど作業を積み上げることが発電所の安全に重要なことだと思います。

建設が終わったら作業は終わりということはありません。むしろ建設終了後から長年を掛けてより安全な施設にしていくことが重要だと考えています。

過去に苦労した分だけ教訓や対策のノウハウが詰みあがっています。これを一カ所の発電所に留めることなく、全国に広げていくことでは太陽光発電所の安全な建設と操業に少しでも貢献してくことが私のミッションだと考えています。

多くの人に、太陽光発電所は安全であり価値あるものと認めてもらうために、今後も安全な発電所つくりに貢献していきます。

入社後初めて手掛けた大崎発電所(旧古川発電所)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?