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皆さんが次世代に残したいエネルギ―はなんですか?

 こんにちは、電力トレーディング部門長の龍浩源(りゅうこうげん)と申します。2023年6月に新設された部門で、元々はアセットマネジメント部門で大型太陽光発電所のアセットマネジメント(事業管理、事業価値向上施策、事業再編など)を担当していました。並行して、部門内で系統用蓄電池事業の補助金関連業務や電力市場取引向けの契約などを担当していた経緯から、パシフィコ・エナジーとして初めて電力市場で収益化を図る事業の部門長を拝命することになりました。

さて、簡単に自己紹介ですが、生まれは中国の山東省です。山東省は世界遺産である泰山がある場所で、孔子の故郷ともいわれる中国4000年の歴史がつまっている場所です。青島ビールで有名な青島市がある場所でもあり、青島はビール醸造で有名なドイツ租借地でした。幼少の頃、親の留学に伴い5歳から福岡に住んでいましたが、中学校にあがり部活動が忙しくなる前までは、小学校の間は長期休み(春・夏・冬)は必ず山東省に帰り、祖父母宅や親戚宅で寝泊りをしていました。両親は共働きでしたので、小3~4年生くらいから一人で福岡空港から上海(当時の虹橋空港)に飛行機に乗り、当時の上海駅に移動して、上海の親戚と合流。毎回、北京ダックをお腹いっぱい食べて、上海⇒山東への寝台列車に乗って1~2日かけて故郷に帰ったのをよく覚えています。寝台列車からは今の中国では想像できない、広大な森林や荒野が拡がっていて建物一つ無い中で、積雪などの美しい風景が脳裏に焼き付いています。

山東省は「黄河」でも有名です。実は私の苗字は今とは違う苗字だったのですが、元の苗字に漢字の部首のさんずい(左部首に点が3つ)がつきました。下の名前の「浩源」もさんずいが付きますね。彼の地は「黄河」で文明を構築した都市として、名前にさんずいがつく方が多いと言われています。「浩」は「水が流れる」という意味があるらしく、「源」は中国語でエネルギ―の「能源」から来ました。私の幼少期の家族内の呼び名は「能能(nengneng2声)」でして、つまり「水のエネルギ―」という意味の名前になります。

前置きが長くなりましたが、「再生可能エネルギ―(水や太陽などの自然の力)」と自分が現在所属している再エネ事業者であるパシフィコ・エナジー、故郷や名前に不思議な縁を感じて、冒頭にご紹介しました。

山東省の地図(黄河流域)
黄河のイメージ写真

1.学生時代~社会人時代(再エネに目覚める前)

上述の通り、名前は異国情緒あふれますが、小学校から高校まで福岡(高校時代は男子寮生活)、大学は東京(部活に没頭)で、長期休暇は部活で潰れていた関係もあり、留学は一切経験なし、社会人になるまで、外国生活の経験は中国だけでした(欧米経験なし)。そんな、かなりドメスティックな生い立ちでしたので、国際的な舞台やビジネスに憧れて、総合商社に入社しました。

高校の写真(福岡県久留米市で男子寮生活)
大学の写真(軟式野球部でした)

入社後は海外電力事業をやりたいと思っていましたが、配属は同事業の経理を担当する部署で、当初はデモチしましが、この時に事業管理に必要になる海外会計・国際税務、連結時に必要になる連結会計・国内税務の基本をみっちり専門家の上司先輩に鍛えていただき、一生の財産になっており、今も感謝しています。3年間経理を担当し、いよいよ4年目から海外電力事業を担当すると思ったら、会社の組織再編で海外電力事業は別の事業グループに移管となり、自分は船舶部を志望して、海運・造船業界を担当することになりました。この時点で、電力事業への憧れとは違って、全然、電力事業には縁が無い雰囲気でした。

そこからは社会人4年目で営業経験1年目であり、がむしゃらに働いて国内・海外の様々な取引を経験しました。国内・海外の船会社向けに日本・韓国・中国の造船会社で建造した大型船舶を売ったり、自分の会社でも大型船舶を新規に建造して保有して貸したり、それに必要な自己資金や銀行資金の調達なども担当しました。若手の頃は、船を貸している船会社から賃料が入って来ず、銀行への返済原資が無くなりそうなヒヤヒヤ取引も沢山経験し、「契約を守るタイプ」「契約を守らないタイプ」の会社や人の見極めについて、自分なりの価値観やスタイルが形成された時期だと思います。「契約交渉」「契約履行からの信頼構築」「信頼からの次の取引」など、当時の経験や交渉術はビジネスだけではなく、人生にも役に立っています。

船舶命名式典(出航前)

その後、シンガポールで船舶投資をする事業投資先に駐在する経験を得まして、社内ではインド人の元船長・元機関長など所謂、船乗り・海事技術者の方々と一緒に仕事をする機会を得ました。商社時代は、「技術のある会社を探してくる」のが役割でしたので、事業投資先で「技術面」を内製化して、船舶の仕様評価や技術トラブルへの対応を自己完結できる会社の強みを経験しました。その後、パシフィコの会社案内を聞いた際に、社内に発電所のレイアウトや機器調達、土木・建設、また発電所の所長は電力や系統利用のプロであるなど、社内の半数以上は技術をバックグランドに持つ会社であることが分り、この会社は間違いなく特有の強みがあると感じました。自社特有の技術や知見が事業価値の根幹を成すことは言うまでも有りません。

シンガポール駐在時代のメンバー

2.サステナビリティ部門~再エネへの目覚め

全社サステナビリティ部門は在籍していた総合商社における気候変動対応、サステナビリティ重要課題、事業のCO2排出量の集計、ESGデータブックや統合報告書のサステナビリティ関連の作成、開示を担う部署で、全ての事業部門(資源・インフラ系を中心に担当)やコーポレート部門、国内外企業のサステナビリティ部門と仕事をする機会があり、大変充実していました。その中で、出向2年目にCOP(気候変動枠組条約締結国会議)に参加させて頂く機会があり、一人でスペイン・マドリードに1週間滞在しました。COPは国連総長、各国大臣(当時小泉環境大臣)から民間企業、NPOまで幅広い国や行政、民間、非政府団体が地球環境について議論する場で、当時もパリ協定の追加合意を目玉に、再生可能エネルギーの普及について、様々なブースが出されておりました。それを見て、そういえば電力事業を志していたこと、またサステナビリティの経験から再生可能エネルギーは必須と理解していたことから、再生可能エネルギーの事業に携わりたいと思い始めました。

3.海運とエネルギ―の関係~再エネに目覚めて以降

その後、2020年にパシフィコエナジーに入社し、学生時代から志して15年後に電力事業に携わることが出来ました。また再生可能エネルギー専業の開発事業者はまさに自分が憧れた場所でした。

ところで、日本のエネルギー自給率は11%台(2020年)、食糧自給率は40%前後(2000年以降)ですね。日本の輸出入の海上物流比率はご存知ですか?ほぼ100%です(航空輸送は1%弱)。国別の保有船腹量は世界2位(1位ギリシャ、3位中国)、造船量も世界3位(1位中国、2位韓国)であり、皆さんの食糧やエネルギーは海運造船大国である日本の技術に支えられていることがわかります。

穀物、石炭、鉄鉱石は全てドライバルク船(三大ドライバルク貨物)。
液化天然ガス、石油関連は液化タンカー船(水素・アンモニア・CO2も今後液体輸送)。
半導体や家電など産業物資、生活物資はコンテナ船。
自動車は自動車専用船で輸出入されています。

電力燃料に置き換えると、石炭火力はドライバルク船。石油火力、ガス火力は液化タンカー船。原子力の原子燃料は詳しくないですが、ウラン鉱石を加工した物資を積む専用船だと理解しています。バイオマスは木材チップ船やドライバルク船です。

翻って再エネの電力燃料は何でしょうか?
水力や揚水は河川やダムです。風力は風、太陽光は太陽です。つまり、海外から燃料を一切輸入することが必要がなく、日本のエネルギー自給率を上げるエネルギーです。
二酸化炭素排出削減と同様に、エネルギ―自給率が上がることが再エネの大きな取り組み意義だと感じています。

再エネを電力システムに導入すると、電力量が変動すると言われていますが、2023年の4月や5月は九州や中国地区で例年以上に、太陽光への出力抑制がありました。
つまり、需要に対して供給が多いシーズンや時間帯があります。それなのに、なぜ日本の電力料金は上がり続けるのでしょうか?海外に燃料を依存しない再エネが既に需要を賄って十分普及しているのになぜ?私もニュースを見て疑問に感じる日々です。

電力事業は様々な社会コストと隣り合わせです。燃料、系統、安全対策、補助金など。
電源で比べても再エネは他より安い社会コストが実現され、更に安くなる見込みです。
また蓄電池の普及により、電力を貯められるので電力量の変動も抑制されます。

次世代のエネルギーの選択肢は、

1.火力やバイオマス発電(輸入燃料)
2.原子力発電(安全対策必要)
3.再生可能エネルギー(電力変動あり)

が現状では主なものですが、皆様が次世代の家族や人類に残したいエネルギーはどれですか?全部メリットとデメリットはありますが、あとは自分なりの意見と判断だと思います。

我々は3.を主力とする日本を目指して、引き続き産業や事業、電力市場や電力システムの貢献することを社業としており、私の部門は独立系事業者が運営する大型太陽光発電や系統用蓄積池を電力市場で活用し、電力システムの安定化に寄与させる事業部門と心得ています。パシフィコ・エナジーが開発した太陽光発電所や蓄電池がどう日本の電力システムで貢献していくか、楽しみにお待ちください。

2030年、2050年の現役世代にご評価頂ける仕事を社会に残せるよう精進いたします。
娘たちにパパたちの世代は、エネルギー課題に対してよく考えて頑張った、と言われる日があれば光栄だと思います。

好きな言葉:人間万事塞翁が馬、おくらず迎えず応じて蔵せず
好きな作家:山崎豊子(大地の子)

パシフィコが開発・運営する大型太陽光発電所(所長と一緒に)
太陽光発電所の地元見学会。地元貢献が最も重要です。

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