【NOAH】岡田欣也の始まりと私の想い

2022年8月28日 カルッツ川崎
N-1 VICTORY 2022 予選ブロック最終戦
対 中嶋勝彦
3分17秒●レフェリーストップ
7戦全敗 勝ち点0
更にその試合で下顎骨骨折した事が分かり戦線離脱する事となった

常に前を行く同期・稲村愛輝を15度目の正直で遂に撃破し、N-1の切符を手にして期待と注目を集めた岡田欣也の夏は散々な形で終わった


岡田欣也のN-1 VICTORY2022

稲村との出場権決定戦の前に岡田が語った覚悟と背水の陣の想い 

人は皆平等ではない
チャンスは誰にも平等には訪れない
目の前のチャンスはラストチャンスかもしれない
厳しいようだが社会の現実だろう
その事を感じさせる彼のツイート
そして、その全てをひっくり返そうという彼の決意

その想いは遂に一つの結果となった
常に前を行ってた同期・稲村を撃破しN-1の出場権を獲得したのだ
その事はこの夏、彼は何かやってくれるのでは?と私に思わせるには十分なものだった

しかし現実はそう甘くはなかった

船木誠勝の余裕を消す事もなく
小島聡に全て受け切られ
杉浦貴に格の違いを見せつけられ
ジャック・モリスのポテンシャルの前に敗れ
清宮海斗のその背中の遠さを感じ
マサ北宮の壁に手をかける事無く
最終日を迎えるまで6戦全敗
それは、この夏結果という形で少しでも稲村の前に出て欲しいと願った私の願いには遠く及ばないものだった

そして、冒頭の結果である
それを受けSNS上では
「やっぱり岡田じゃダメだ」
「やっぱり稲村を出すべきだった」
等の手のひらを返す声も散見された

しかし、私の想いは違った
中嶋勝彦に惨敗した最終日、私の期待したそれとは真逆の結果にダメ押しをした惨敗は私に期待に届かなかった残念な想いと共に岡田欣也の始まりを感じさせた
私はプロレスにおいて印象的な負けはただ勝つ事よりも価値があると思っているからだ
(ただそれを余り積み重ねてもいけないとも思ってる事も付け足しておく)

岡田欣也に見る私の想い

2018年8月同期の稲村と共にプレデビューする予定だったその日、そのリングに岡田の姿は無かった
怪我の為、岡田のデビューが延期されたのである
実際に彼がデビューしたのはその年の暮れ、相手は一足先にデビューした稲村である
そしてその日、稲村に初勝利を献上してしまう
彼はスタートから稲村に遅れを取ってしまった
そこから二人の立ち位置は加速度的に開いていく

その分かりやすい魅力と常に高いパフォーマンスでファンや関係者の評価を得ていく稲村
そして、この夏ゼロワンの火祭りにおいて決勝で関本大介に敗れたものの準優勝という結果も残した

一方の岡田はアンダーカードで戦う日々が続く
彼は離れていく同期の背中を見続けていた

とても個人的な話にはなるが、私は特別な才能も持たないし、恵まれた環境で育った訳でも、ましてや人生において順風満帆だったなんて事も無かった
人生に勝敗があるとするならば、どちらかと言わずとも負け続けた側だろう
能力の壁に当たり、人間関係に悩み、現実と折り合いを付けながら時には諦める事で今を何とか生きている

そんな私だから彼に見たいものがある

才能・運・環境、それらの壁を前に越えられない何かを感じる弱い心
こんなもんかと物分りの良いフリをして諦めたくなる現実
それらは変えられるんだ
諦めなければ報われる事もある
人生も捨てたもんじゃないよ

そんな姿を彼に見る事が出来たのならば、勇気づけられる人は私以外にも沢山居るのではないだろうか?

清宮のような運命を背負っている訳では無い
稲村のような恵まれた体格を持ってる訳でも無い
しかし、私はそんな彼だからこそ得られる共感があると思う
そして、そういった共感を生み出せたのなら、それは大き過ぎる運命という十字架を背負い若くしてトップ戦線に食い込み最前線を進み続けてる清宮や、共にスタートし常に期待と評価を受けてきた稲村には決して出せない彼だけの武器になるのではないか?とも思っている

そんな彼が稲村戦後に口にした「負け続けたけど諦めなければいつかは勝てると思っています。まだまだ諦めない」
これにはグッときた
力を貰った


もちろんそういった立ち位置にあるのは彼だけでは無い
しかし立場さえ同じであれば、想いを託すのは誰でも良い訳ではない
そこに可能性がなければ厳しい現実を見せつけられるだけであるからだ…

しかし、私は岡田に期待したい
彼には秘められた何かがあるんじゃないか?時折そう感じさせてくれるものがあるからである
彼の唐突に出てくるキャラクター、頭の良さ、頑固さ
それらは私の中の期待の扉を叩いてくる
そして、稲村戦でその一端は見せた


これからの岡田欣也と私

惨敗したN-1、初めてと言っていいトップ選手達との本気のせめぎ合いの中で感じたであろうリアルな立ち位置
初めてのN-1出場で彼が得た物があるならもしかするとそれ"だけ"なのかもしれない
しかし彼は登るべき山のその高さを、厳しさを初めて実感として知ったのだ
暗闇の中で闇雲に前を向いてた彼は、例えそれが遠く小さな光だとしても見据え進むべき方向が見えたのだ

レスラー岡田欣也の長い長い物語は前途多難な中、でも確実に動き出したのを私は感じ、そこに魅力を感じる


2023.2.5、岡田欣也はリングに帰ってくる
岡田が離脱してる間に稲村はシングルのタイトルマッチ挑戦(GHCナショナル)、代々木というビッグマッチのメインに立った
あの夏追い付いたはずのその背中は更に遠くなった
それでも彼の物語はもう動き始めてるのだ

復帰後の彼に少し個人的な想いを乗せながら
彼のリング上における成功を祈りながら
待ち構える喜怒哀楽を共にしながら
数え切れない悔しさに共感しながら
決して諦めない想いを持って
いつか来る歓喜の時を待ちながら
NOAHのリングで彼の物語を追っていきたいと思う

道は違えど私ももう少し頑張ってみるから、共に生き残ろう!


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