マイ・ブルーベリー・ナイツ〜after story〜
●〜after story〜
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遠征から数日が経っていた。彼女とはLINEで連絡を取り合っている。これ以上連絡を取ると情が入ってしまうと思った。話したいことがあると伝え、電話をした。
👩⚕️『久しぶり!元気してると』
変わらない可愛く落ち着いた声。
世間話を少しして、本題に入る。
🏓「一つだけ不安なことがあってさ。ヤリモクだと思われてないかなって。それでキミが少しでも傷付いたりしてるのが嫌だった。」
本当に自分勝手なことである。
👩⚕️『全然思ってないよ。向井くんに対してはそんなイメージ全くなかった。』
何より嬉しい言葉だった。
思わず好きだと言ってしまいそうになる。
🏓「もう一つだけ伝えたいことがあって。たくさん話す中で、キミが誰よりも努力家で思いやりのある素敵な女性だって分かった。絶対幸せになれる。俺が約束する。キミは絶対幸せにならなきゃだめだから。」
👩⚕️『ありがと。こんなこと言われるの初めてだから言葉が出ない。嬉しいよ。』
「俺が幸せにする」と言わない(言えない)自分が憎い。
🏓「だから俺よりもっと良い男が福岡にも絶対いるから。その人とキミは幸せになって欲しい。なるべきなんだよ。これで連絡を取るの最後にしよ。」
本当はキミを幸せにするのは俺が良い。側にいて欲しい。そう言いたい。
けど言えない。それを今のナンパ師である自分が言ったらダメな気がした。
👩⚕️『それを言うために今日電話したの…?』
電話越しに鼻を啜る音が聞こえる。
👩⚕️『私はね…向井くんとまた会いたいって思ったよ。普段はこんなこと思わないけど、向井くんに対してはそう思ったの。もっと話したいし、知りたい。こんな素敵な言葉をくれる人今までに出会ったことないから。最後なんて言わないで欲しい。』
気持ちのこもった彼女を言葉を黙って聞いていた。
もし彼女が岡山の人だったら
もし岡山に来て欲しいという勇気があったら
もし彼女がクラスタに即られていたら
…
たくさんのもしが出てきては頭を埋め尽くす。
🏓「ありがと。女性とこんなにちゃんと向き合うのは久しぶりで正直自分でもどうしたいのかは分からなくなってる。ただ俺も会いたい気持ちはある。だから福岡に行った時は必ず連絡するな。」
彼女に対して初めて嘘の言葉を並べた。
気持ちは決まってる。もう会うつもりはない。これ以上好きになりたくない。結局は自分を守りたいだけ、傷つくことを怖がっているだけ。心のバリアを張ってたのは自分だった。
(本当に自分勝手で気持ち悪い…。)
その後、彼女とたわいの無い話をして電話を切った。
・25時00分
今日もベッドに一人。
足元にあった熊のぬいぐるみを拾い枕元に置いた。
「ああ…今日も一人か。」
憂鬱な夜が続く(ブルー・ベリー・ナイツ)。
その日は少しだけぬいぐるみを抱いて寝た。
〜マイ・ブルーベリー・ナイツ〜
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