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香水探訪記⑤〜完結編:相棒香水、誕生!〜

ついにこのnoteを書く日がやってまいりました…!


こんにちは、おこげです。

①からお目通しいただいている皆さま、いつもお付き合いいただきありがとうございます。
はじめましての皆さま、ようこそご覧くださいました。こちらは筆者おこげが人生の伴奏者となる香りを求めて奔走する様の覚書noteでございます。これまでの流れはこちら。


長期戦体制でこの先の人生ある時は寄り添って、またある時は理想の方向へ引っ張ってくれる相棒香水もとい名刺代わりの香りを探しはじめて暫くが経ちました。

探す中で香水に求める香りや役割が段々と明確になって来まして、最終的に

「瑞々しさあふれる、優美で聡明な人の香り」

へと到達。
以後このテーマを体現し、かつ鼻とも肌とも相性のいい香りと出会うべく試着ならぬ試香の旅を続けてまいりました(あらすじパート終わり)。


さて、タイトル通りですが…この度、遂に、相棒香水が見つかりました!!!
それもロンドンで!
ヒューーーーー!!!!!(ここで拍手!)

何をどうしたらそうなるんだという出だしで恐縮ですが、追って書いてまいります。

1.出会い

ちょっとした事情で急遽ロンドン行きが決まったのが1月前。
初めての滞在ですし本命の予定の前後の日程で自由時間を作り観光を楽しもうと、観たい博物館に行きたい街にお店に…と予習に勤しんでおりました。

で、その一環である時グーグルマップで観光先への道順を調べていた際、「香水専門店」の文字が不意に目に留まったんです。

それが"フローリス ロンドン"の本店。

何気なく興味を惹かれてピンを選択し、そこから公式HPを覗いてみるとどういうことでしょう。
王室御用達で自然の香料を用いた香り作りをする、伝統を守りつつ洗練されたエレガントな世界観が広がっているじゃないですか!

日本展開はしていないの? 気になり検索をかけるとしている。私が存じ上げなかっただけで三越や伊勢丹に入っているらしい。
UK版と日本版それぞれのサイトを見、多少の違いにところどころ疑問を持ちながらもいくつか気になる香りをピックアップ。
新宿に用のある日に伊勢丹へ立ち寄ることにしました。


さて、伊勢丹新宿フレグランスコーナー。
何気なく通り過ぎていた一角にちゃんとフローリスの区画はありました。

スタッフの方にお声をかけて早々に驚きの事実。

なんと私が試したかった香りの半数以上が直近廃盤になったとのこと!
日本へは輸入する関係で本国よりサイトへの反映が遅れたりまだ店舗によっては在庫が残っていたりと廃盤の影響に時差が出ているようですが、それでも伊勢丹店では元からの愛好家の方々が先日のサロンドパルファンに合わせて駆け込みなさり、その在庫も僅少あるいは無しとなっているそう。

サイトを検索していた時に「この香りはUKには無い…日本限定なのかな?」ととても都合のいい解釈をしていましたがそういうことではなかったのですね。

人気が無かったわけでなくむしろたくさんのファンがついている香りがこんなに一気に無くなるなんてことが…あるんですよね…私たちスタッフも突然知らされ衝撃を受けまして…
とはスタッフさん談。
ブランドとして新陳代謝を図るためなのでしょうか。慈悲はいずこ。

何はともあれ、目星をつけていたもののうち半数超(しかも特に気になっていたものたちでした)が無く、残りの現行品も肌上でムスクが強く出て思ったより湿度あるもったりした甘さに転んでしまい「この素晴らしい世界観とはご縁が無かったかな」と思い始めていたときです。

最後に「候補に入れてはいらっしゃらなかったけれど雰囲気に合いそうなので良かったら」とお勧めしていただいたのがブーケドゥラレーヌでした。

この香り、当初候補から外していたのには理由があります。

1つは過去の経験上鼻との相性がいまいちな香料が多いこと。
特にミドルノート。
この香水旅で苦手と気がつき決別したスズラン、お茶なら好きだけれど…のジャスミン、重たい甘さに酔ってしまうチュベローズとイランイラン。
これはまず鼻がしんどくなってしまうだろうな、というのがサイト閲覧時の所感でした。

もう1つは100mlの取扱いしか無いこと。
フローリスの日本版サイトにおいて、オードパフュームは100mlのみ、オードトワレは100mlと50mlの取扱いがあるのですが、なぜかオードトワレの中でブーケドゥラレーヌのみ唯一100mlサイズのみの展開。
過去に使い切った香水は最高で50mlですし、果たして劣化が進む前に100mlを使い切ることはできるのか?という不安が拭えません。

だけどそんなにお勧めいただけるなら試すだけ試してみようかな…とムエットを嗅いで衝撃。なんていい香りなんだろう!

トップの軽やかで爽やかな甘さの桃が瑞々しくて魅力的なのももちろん素晴らしいですが、その奥にいるミドルの香りたち。不思議と個々の花の主張がしないのです。何だかはわからないが良い香りのブーケというような。

この時点で気になりすぎてしまい腕に着けていただきます。

「最初のフレッシュでかわいらしい印象から20分くらいで落ち着いた気品ある香りになりますよ」とのスタッフさんのお言葉通り、まずは果汁感、ついで表に出てきたミドルは苦手な香料だらけのはずなのに驚くほどいい香り。
自然と背筋が伸びるようなエレガントさ、香りは重くないが存在感という意味での重みがある。なんだろう、著名人に対して「オーラがある」というときのようなイメージでしょうか。

しかもですね、嬉しいことに香りがムエット上と変わりないのです!
大抵の香りは私の腕では練乳のように甘くなるので驚いています、と伝えると「おそらくこちらのお香りがベースにムスクを用いていないからではないでしょうか」と。
確かにサイトでもオークモス・サンダルウッド・バニラとあった記憶があります…! ノームスク!


鼻そして肌との相性がよくこ、これは…とよろめいていると更なる追撃(詳細情報)が。

この香りはエリザベス女王の即位50周年を記念して発売されたもので、もともと1860年代に発売された"The Queen's Bouquet"の復刻版。

エレガントでポジティブ、人を惹きつけるカリスマ性を持ち温かい微笑みが魅力的なエリザベス女王を想い女王のために創られた香り。

そして最後にこそっと、「私はトップの桃の瑞々しさを女王の好奇心の豊かさ・チャーミングさを表しているのでは、と解釈しているんです」とお教えいただきました。

そんな、そんなの、私の香水コンセプトが探し求めているまさしくそのものじゃないか!


残る唯一の懸案事項はサイズのみ。
いやでもやっぱり100mlは厳しいかもしれないな…

そこで思い出すUK版と日本版サイトの違い。
UK版ではもっとサイズ展開が多かったはず…!

確認するとやはり、本店では100mlの他10mlと50mlの取扱いがあるとのこと。

もうこれは本店に伺うしかなくないか? 行かれるチャンスがすぐそこにあるのだし。
この時点で他と比べてから、とかそんな発送毛ほども思いつかない時点でこの香りこそ探し求めていたものなのでは、と薄々察して喜びが首をもたげつつ、
同時にいざ香水探し旅が完結しそうになっていることに動揺する自分も発見して内面が忙しなくなります。

帰宅後長く試せるよう多めにムエットへ噴射しておきますね、本店私もまた行きたいです楽しんでらしてください…
伊勢丹新宿店のスタッフさんは最後までホスピタリティに溢れていました。
素晴らしい体験をありがとうございます。
フローリスどこで買ったらいい?と訊かれたら間違いなく「伊勢丹新宿店!」と答えますし、今回購入こそできませんでしたが次回はぜひこのスタッフの方からお品を迎えたい、と強く思います。

いいですよ!!!(念押し)


2.本店、そしてついに…!

当日。人とお会いするその日のメインイベントを終えお別れをし、いざ本店へと向かいます。

紳士服などのお店の並ぶ通りにあるとのこと。
大々的な観光スポットではないから見つけられなかったらどうしよう…前の予定はドレスコードありだから服装で断られることはきっと無いはずだが…
緊張が高まります。


ありました!

残念ながら外壁修理中でしたが、本来素敵な装飾が見られたよう。
思い切って中に入ります。


暖かい照明。白い壁に落ち着いた赤茶の木材の棚。
ゆったりと並べられた香水やボディグッズたち…

公式サイトで垣間見た優美で洗練された余裕ある世界観がまさしく体現されていました。

香水は棚ではなくお店奥中央に全種類ずらっと並べられ圧巻です。
瓶の隣に香りを試せるフラスコのようなものが置いてあり、当初の目的を忘れつい色々な香りを試していると店員さんがいらして「あなた何を探しているの?(もっと丁寧な口調でいらっしゃいました)」とお声がけされてしまいました。

ブーケドゥラレーヌが試したいこと、このお店で取扱うサイズ展開が知りたいことをお伝えすると、「これは柔らかく甘くていい香りよ」「どこかで知って来てくださったの?」「100、50、10mlがあってそれぞれいくらよ」と腕にプッシュしながらお教えくださいます。

店内にあるブーケドゥラレーヌには瓶のラベル部分が青のものとピンクのものがあり、それも何が違うのかと尋ねると
「もともとオードトワレは全種類青のラベルだったが、今ちょうどリニューアル中で香りごと違う色のラベルに生まれ変わっているところです。」「新しいブーケドゥラレーヌはサーモンピンクのものになります。」
とのこと。

一通り接客が終わったらすっと立ち去り、無理に「これ買いません?」「あれもいいですよ」「お似合いですよさあさあ…!」と押さずにそっとしておいてくださるのがありがたい。

もう香りはこれと心を決めています。
全サイズのボトルの前で悩んだ末、とうとう購入しました!
50mlです!!!

店を出るときには既に日が落ちかけていて外はやや薄暗くそして寒くなっていましたが、気持ちは晴れ晴れとしていました。

ついに!
私の相棒香水をお迎えしたんだ!


3.対面

こちらが私の相棒香水、ブーケドゥラレーヌです。

嬉しいから斜めからも撮っちゃう

ようこそおいでくださいました!
新しい色だというラベルのサーモンピンクがこれまた優美…!

50mlですね。
結局最後の最後まで100mlには尻込みしてしまいました。

ただ今までとは違い、今後はこの香水のみを毎日着けていくこととなると考えると案外50mlはあっという間かもしれません。

そうしたら今度こそ、あのホスピタリティに溢れる伊勢丹新宿店にて100mlをお迎えしようと思います。

この50mlサイズの瓶には本店まで足を運んで緊張と闘いながら購入した大事な思い出が詰まっています。
香りを嗅いで、瓶を手に取って、回り道してぴったりの香水と巡り会えたことに日々思いを馳せましょう。


香りの面でいうと、結局スズランと決別しなかったことに大変驚いています。

既出にはなりますが改めまして。

リリーオブザバレー、堂々のミドルノート入りでございます。

香りのアコードを見てもホワイトフローラル、グリーンと香水旅道中にて「私たち距離を置きましょうね」と取り決めたはずの面々…

だというのに不思議。
全く鼻が困らない。むしろ大好きでたまりません。

他の香料との組み合わせや使用量などで単体なら苦手なものでもこれだけ素敵な香りに仕上がるんだ。
調香はなんて奥が深いんだろう。

とにかく遠回りしては振り出しに戻りを繰り返した今旅、行き着いた先に出発点であるパリ流ファッションスタイル診断にて似合う香りと挙げられたスズランがちゃんと待っていた。
…そのことにしみじみ嬉しさを覚えております。


というわけで。
無事!私の香水探しの旅は終了いたしました!

今後はこのブーケドゥラレーヌを纏って目指すところである優美で知的で洗練された人を追い求めてまいります!



ちょっとしたおまけ

最後に、私の情けないお間抜けな話を共有させてください。

イギリスからの帰路。
復路便に乗るべくヒースロー空港を訪れ保安検査場を通ったところ、私の荷物が乗ったワゴンが"要検査"の赤いレーンへ向かったではありませんか!

まさか知らないうちに麻薬の密売に関わっちゃった…!?

困惑していると「このトートバッグを開けてくれますか?」と指示が。
チャックを開け、検査員の方が中を調べるのを見守ると…

「あー、これこれ」

!!!
そう、私、ブーケドゥラレーヌを包装した紙袋ごとトートバッグに入れていたのをすっかり忘れていたんでした!
どう見ても検査対象!!!

「いやーマダム、申し訳ないがこれ調べるんで開けてもよろしいですかね?」
迷いのない素早い(そして荒い)動作でショッパー、そして箱が開けられ、瓶が検索装置でスキャンされます。

当然何の問題もなく、ただ私がおっちょこちょいだったことだけが判明し、すまんな…という顔の検査員さん。
「次からはちゃんと確認してくださいよ?」

ああそんな乱暴な…と口を挟む隙を与えない素早い開封の儀の跡が残る箱

もちろん!!!