【読了】よくわかる最新SAPの導入と運用

積読してたので一通り目を通してみた

第1章 SAPの基礎知識

第2章 SAPの全体像

2-4 SAPと財務会計

・仕訳は基本的に他モジュールから自動転記される(自動仕訳)が、FIモジュールからマニュアルで会計伝票を登録(直接転記/承認後転記)することもできる
・帳票出力:仕訳日記帳、総勘定元帳(基準ごとに複数GLを作成可能)、特定目的元帳、合計残高試算表、BSPL
・債権債務管理:個別消込(明細を選択して消込)/一部入金支払処理/残余明細処理
・固定資産管理:減価償却仕訳の自動転記、償却資産税への対応

2-5 SAPと管理会計

・原価管理:減価センタグループや内部指図の単位で原価を集計
・利益管理:利益センタグループや収益性セグメントの単位で利益を集計

2-6 SAPとロジスティクス

・購買(調達)プロセス:購買依頼→見積→発注→入庫(受入検収)→買掛計上(請求書受領)→代金支払
・在庫プロセス:入庫→出庫→棚卸
・生産プロセス:計画→原材料投入→製造→完成(製品入庫)→原価計算
・販売プロセス:見積→受注→出荷(出庫)→売掛計上(請求書発行)→代金回収

2-7 SAPと内部統制

SAPパッケージ中に統制機能が組み込まれている(プロセスのワークフロー化、監査人用機能メニュー)

2-8 SAPと環境構築

①インフラ構築:Basis担当
②パラメータ設定:業務コンサル
③マスタ設定:移行担当
④アドオン開発&移送:ABAP担当

2-9 モジュールによるカスタマイズ

各モジュールを使用するためには、パラメータ設定(カスタマイズ)とマスタ登録が必要
・モジュール共通パラメータ:通貨コード、タイムゾーン、税コード、など
・組織構造定義パラメータ:会社コード、菅理領域、など
・モジュール用パラメータ:会計年度バリアント(FI)、など

第3章 会計管理モジュール

FI-GL(総勘定元帳)

・日次処理:振替伝票起票→振替伝票承認→GL残高管理
・月次処理:月次決算調整→決算帳票出力→会計期間締め
・年次処理:残高繰越→年次決算調整→決算帳票出力→会計期間締め

FI-AP(債務管理)

債務計上→支払承認→支払処理→債務残高管理

・債務計上:MMから自動転記/FIでマニュアル登録
・マニュアル登録(仕入れ先請求入力:FB60)する場合は、債務勘定科目を入力せず、代わりに仕入先コードを入力する。これにより、仕入先マスタに設定された勘定科目が登録される(統制勘定)。
買掛金
未払金
預り金
支払手形
前払金

・自動支払処理(F110)

FI-AR(債権管理)

債権計上→請求書発行→入金消込→債権残高管理

・債権計上:SDから自動転記/FIでマニュアル登録
売掛金
未収金
立替金
受取手形
前受金

・請求書発行:海外では取引の都度に請求書を発行する習慣が多いが、日本では締め都度で請求書を発行する(得意先ごとに締日・支払日・支払方法などを事前に取引条件として決めておく)

・入金消込:債権回収方法(現金/振込/手形/口座振替)により処理の流れも変わる

統制勘定について


FI-AA(固定資産管理)

取得→異動→償却/減損→償却資産税申告

・各資産を資産クラス・資産グループなどでグループ化して、減価償却基準などを割り当てている
・資産の取得:評価編入(新規に取得した場合)、過年度修正(棚卸時に未登録資産が発見された場合)
・資産の異動:除却(使用を止める)→売却/廃棄、振替(所属の変更)、合併/分割
・償却領域:例えば、償却期間について、税法領域では4年、IFRS領域ではX年、当社基準ではY年、など

FI-SL(特別目的元帳)

FI-GLはGAAP準拠で記帳
FI-SLは別の基準(IFRSなど)に準拠した記帳ができる

TR(財務/資金管理)

入出金の予定、流動資産の残高を監理
S/4ではFSCM(別製品)に移行した

TRMモジュールは簡潔に言うと、社債・借入金・貸付金・有価証券といった金融商品を管理し、資金の調達・管理業務のサポートを行うモジュールになります。
TRMモジュール導入のメリットは何と言っても、FIモジュールと連携することで金融商品取引に係る様々な伝票をシステムから自動起票できることです。

IM(設備予算管理)

・設備投資や研究開発の際、完成までの費用の予実管理を行う
・設備が完成するまでは、指図上に建設仮勘定で管理しておき、完成時に固定資産に振替する、など

CO-OM-CEL(原価要素会計)

費用科目や収益科目を「原価要素」として登録し、色々な集計単位(原価センタ/内部指図/利益センタ、など)で原価や利益の分析ができる

原価要素
・1次原価要素:FIとCOで使用する。FIのG/L勘定のうちPL勘定を使う。
・2次原価要素:COでのみ使用する(配賦先として)。勘定名は「加工費配賦」「開発費配賦」「労務副費配賦」など発生源が分かりやすいものとしてネーミングする。
・原価要素グループ:原価要素をグルーピングするマスタ。例えば、原価要素グループに「労務費」と設定したとき、原価要素には労務費をより細かく管理したいような「給与」「賞与」「外注」などを設定する。

R/3では、財務会計のG/L勘定コードと、管理会計の原価要素は別々の存在であった。ただし、S/4以降ではACDOCAの登場により、両者が統合された形になっている。

CO-OM-CCA(間接費管理:原価センタ会計)

費用計上の単位
・組織に対して計上したい場合:原価センタ
・イベントに対して計上したい場合:内部指図

原価センタや内部指図には、計画が登録でき、予実分析を行なうことができる

費用配分の種類
・付替:1次原価要素間で、費用を部門Aから部門Bに付け替えること。例えば、期中に調達部から製造部に人事異動があり、異動された方の「給与手当」を調達部から製造部に”付替”をする場合に使用。
・配賦:1次原価要素から2次原価要素へ、費用を部門Aから部門B、C、Dに配分すること。例えば、製造部の「給与手当」を、製造1課・2課に、作業時間比率で「人件費」として按分する場合に使用。

CO-OM-OPA(間接費管理:内部指図書会計)

内部指図書の例
・受注した工事単位で原価を把握
・イベント単位で原価を把握
・プロジェクト単位で原価を把握 ※フェイズ単位での原価把握はPSモジュールで行う

内部指図はコストオブジェクトの一つで、費用の計上先として使用できる。
内部指図を現実の何に見立てるかによって、その用途や管理方法は様々だ。
例えば以下のような使用方法がある。

内部指図の使用例
・内部指図一つ一つを生産工程を表すものとみなし、工程ごとの費用計上先として使用する。次の工程へ移る際は計上されたコストを決済し、振替を行う。
・内部指図を、何らかの業務上のプロセス(生産工程以外でも)を行う際の原価管理オブジェクトとして使用する。設備投資、販売活動にかかる費用、クレーム処理や製品修理にかかる費用といった、プロセスや案件に対応するものとして使用する。
・内部指図を一つの生産ロットとみなし、個別受注生産にかかる諸費用の計上先として使用する。該当受注の生産が完了し、製品を払い出す際には、指図の決済を行うことで売上原価を計上する。

生産工程や個別原価計算に対応させる使い方は、PPやSDを導入していれば必ずしも内部指図を使う必要はない。
ただ、「FI/COのみ導入しておりロジスティクスモジュールは使用していない」というユーザ企業も多く、原価を集積するオブジェクトとしてこういった使い方を採用しているケースもある。また、原価センタなどと同じく、予実管理にも使用する。

CO-ABC(間接費監理:活動基準原価管理)

EC-PCA(利益管理:利益センタ会計)

セグメント・利益センタ・原価センタ
帳票の集計切口として、古くから「事業領域」や「利益センタ」が使われてきたが、これらは他モジュールとの結合が強く変更の自由度が低いため、新しいFI-GLモジュールでは「セグメント」が使えるようになった

「原価センタ:利益センタ=N:1」の関係になる。例えば、利益センタに1つのPCの売り上げを計上するとして、原価(費用)の計上先は材料単位、人件費、製造施設の維持費など多岐に渡るため。

利益センタ別のPL/BSを作成できる

利益センタと原価センタを使った管理会計の凄いところは、各原価センタで集計させた金額を利益センタに配賦することによって利益センタごとの損益計算書を作ることにあります。例えば各商品を最下層の利益センタにしている場合には各商品ごとに損益計算書を作ってしまおうというわけです。
具体的には各原価センタで発生した金額を、例えば「売上高」「活動量」「物流量」「社員数」「面積」などのうち最も適した比率で利益センタに配賦していきます。このときできるだけ精密に配賦することによって、完成する各利益センタごとの損益計算書の信頼度が上がります。

要するに、原価センタ(Cost Center)は費用だけが集計される(費用のみに責任を持つ)のに対して、利益センタ(Profit Center)は費用と収益の差額である利益が集計される(利益に責任を持つ)のである。
「利益センタ」を上手く活用出来るのは、事業部制(カンパニー制)組織を採っている企業だけだと思われる。なぜなら、事業部制(カンパニー制)組織を採っていない企業が利益センタを活用するためには、共通部門(例えば、総務・人事・経理・法務・経営企画・情報システムなどの間接部門・管理部門、研究開発部門など)で発生した費用を各利益センタに適切に配分するロジックが必要だからである。しかしながら、そのようなロジックを編み出すことは容易でない。
それゆえ、利益センタを活用することを諦め、1つの会社(会社コード)で1つの利益センタしか設定していない、という事例も多いのではないだろうか。

CO-PA(利益管理:収益性分析)

分析の種類
・原価ベース
・勘定ベース

CO-PC(製品原価管理)


第4章 ロジスティクスモジュール

ロジスティクスモジュールの全体構成

見込生産ビジネスの場合
①生産計画(PP)に基づき、原材料を調達する(MM)
②製品を製造する(PP)
③製造した製品を品質チェック(QM)し、OKなら在庫として受け入れる(MM)
④受注に応じて在庫引き当て(SD)を行い、製品を出荷して納品書と共に得意先に届ける(LE)
⑤納品後、請求書を発行する(SD)

受注生産ビジネスの場合:建設・工事など
①受注後(SD)、プロジェクト計画を行い(PP)、資材や要員を調達する(MM)
②計画に基づき生産を行う(PP)
③生産の進捗に従い原価を計算する(PP)
④完成後、得意先が検収を行い、検収書に基づき請求書を発行する(SD)
⑤保守(計画に基づく点検、修理、保証外の請求処理)を行う(CS)

PP(生産管理)モジュール

業務プロセスの種類
○見込生産(MTS):少品種大量生産
・見込生産:需要予測→生産計画→製造→在庫管理→受注引当&出荷
○受注生産(BTO)
・繰返受注生産(MTO):型の製造→受注→製造→出荷
・受注組立生産(ATO):中間品の製造→受注→製造(組立)→出荷
・個別受注生産(ETO):受注→設計→製造→出荷

PPの機能
・生産計画
・生産管理

SD/MM/CO/FIとの連携(受注生産の場合)
①SDでマーケティングを行う
②PPで生産計画を行う
・需要予測
・基準日程生産計画(MPS):MD40 ※工場の生産能力を考慮する
・資材所要量計算(MRP):MD01、MDBT
・計画手配:MD11
③MMで原材料を発注する
④PPで生産管理を行う
・製造指図登録
 ・計画手配から自動変換:CO41
 ・見込生産用マニュアル登録:CO01
 ・受注生産用マニュアル登録:CO08
・製造指図リリース:CO02 ※指図ステータスが「作成済」から「リリーズ済」になり、製造指図に対して実績計上が可能になる
・製造実績計上
 ・構成品出庫(原材料の出庫):MIGO ※BOM上の数量通りに投入した場合はバックフラッシュ機能を使って材料費×消費数量を自動計上できる
 ・生産品出庫(完成品の入庫):MIGO
 ・作業時間:CO11N
・製造指図クローズ:COHV ※指図ステータスが「技術的完了」になり、実績計上が不能になり、実際原価計算に使う数値が確定する
⑤MMで製品在庫を管理する
⑥CO-PC(製品原価管理)で原価計算を行い、決済(KO88/CO88)してFIに連携する
・仕掛品に対して:仕掛計算を行う(KKAX/KKAO)
・完成品に対して:標準原価差異分析を行う(KKS2/KKS1)
⑦FIで自動仕訳を行う

SAPにおける原価計算の種類
標準原価計算:理論値のみ(速報性が高い)
・実際原価計算:実績値と理論値の差異分析が可能(複雑だが正確)

SAPでは、製造に必要な原材料を登録するBOMマスタ、および製造に必要な作業内容を登録する作業手順マスタ等を用いて、品目の原価を積み上げることで標準原価を計算する、品目標準原価計算(原価積上)の機能が備わっている。


MM(在庫/購買管理)モジュール

MMの機能
・購買管理(購買依頼、発注、入庫、債務計上)
・在庫管理(入出庫受払、在庫残高管理、棚卸管理)

PP/FIとの連携(購買管理)
①所要が発生する(PP)
②購買依頼:ME51N
③見積依頼:ME41 ※価格や納期などを見積る
④購買発注:ME21N ※承認機能あり
⑤入庫検収:MIGO ※FI自動仕訳(資産計上):在庫/入庫請求仮
⑥請求書照合(3wayマッチング):MIRO ※FI自動仕訳(債務計上):入庫請求仮/買掛金
 発注書&検収書&請求書
⑦代金支払:F110 ※FI自動仕訳(債務消込):買掛金/預金

FIとの連携(在庫管理)
①在庫受払(入庫⇔出庫) ※FI自動仕訳:在庫/XXX ⇔ XXX/在庫
②実地棚卸 ※FI自動仕訳:棚卸差損/在庫
③期中在庫評価:移動平均原価法、標準原価法
④期末在庫評価:各種の評価方法
⑤BS/PL計上

SAP ERPには「標準原価」と「移動平均原価」という2種類の原価管理区分が用意されており、品目の登録時にどちらか一方を指定します。これら2つの原価管理区分は、発注入庫または請求書受領に起因する原価差異の処理方法が異なっており、「標準原価」の場合、すべての在庫転記が一旦設定された品目マスタの標準原価で行われ、差異は価格差異勘定に転記されるのに対し、「移動平均原価」の入庫時の在庫転記は入庫金額で行われますので、価格決定機能により発注価格に反映された金額を当該在庫勘定に計上することができます。

SD(販売管理)モジュール

MM/FIとの連携
①引合:VA11
②見積:VA21
③受注:VA01
④出荷:VL01N ※FI自動仕訳:売上原価/在庫
⑤請求:VF01 ※FI自動仕訳:売掛金/売上
⑥入金:F-28 ※FI自動仕訳:預金/売掛金
○返品:入庫(VL31N)して払い戻し(マイナス請求)

与信管理については、R/3以前はSDやFI-ARの機能だったが、S/4からはSAP Credit Management(FIN-FSCM-CR)機能を使うことになった

LE(物流管理)モジュール

仕入先→社内倉庫→生産施設→流通センタ→得意先

モジュールの構成
・出荷管理機能(SDが担当)
・輸送管理機能(LE-TRM)
・倉庫管理機能(LE-WMS)

輸送管理プロセス(LE-TRM)
出荷伝票/入荷伝票

シップメント伝票作成(VT01N):輸送会社への配送指示

運賃伝票作成(VI01):シップメント伝票を基に運賃や保険料を算出したもの

倉庫管理プロセス(LE-WMS)
①転送指図要求伝票:MMから連携を受けて作成
②転送指図伝票
③転送指図印刷:ラベルの印刷
④転送指図確認:在庫移動の実行結果を転送指図に反映

倉庫構造の定義
プラント(MM)

保管場所(MM)

倉庫番号(WM)

保管域タイプ(WM)

棚番(WM)

WM(倉庫管理)モジュール

QM(品質管理)モジュール

完成品を倉庫に入れる前に品質チェックを行う

品質管理プロセス
①品質検査計画の立案(QP01)
②品質検査ロットの登録(QA01)
③検査結果の記録(QE51N)
④使用決定(QA11):使用決定コードを「検査合格」に設定すると、在庫ステータスが「品質検査中」から「利用可能在庫」に遷移する
⑤品質証明書の出力(QC20、QC21):得意先への出荷処理と連動して、製品の品質証明書を出力する

CS(得意先サービス)モジュール

計画業務プロセス
・保守契約に基づくサービス提供

計画外業務プロセス
・問い合わせ(コールセンタ経由など)を契機とするサービス提供

PS(プロジェクト管理)モジュール

PPでは、品目/BOM/作業手順マスタを参照して、製造指図に従い、日程や原価の予実管理を行う
PSでは、そのようなマスタ定義を前提にできない活動において、日程や収支の予実管理を行う

PSが適用される業種
・物件建設業
・土木建築業
・製造業(特注品を製造する場合)
・サービス業:ソフトウェア開発、システム導入、コンサルティング

PSが適用される業務
・設備投資:完成を以って固定資産とする設備の原価管理
・研究開発:利益を生まない社内活動などの原価管理
・収支管理:利益を生む活動などの収入と支出の管理

PSに関するマスタ
・プロジェクトマスタ:案件の概要情報(案件名、責任者、開始日、終了日)などを持つ
・WBSマスタ:収益と原価の予実、進捗度などを持つ
・ネットワークヘッダマスタ:作業順序、必要資源、日程を持つ
・ネットワーク活動マスタ:活動に作業実績を入力することにより、実績がネットワークに計上され、ネットワークを紐づけたWBSに集計される

業務プロセス(PS/SD/FIとの連携)
①プロジェクト登録(CJ01):PSに関するマスタを登録
②プロジェクト更新(CJ12):注文に基づき、PSに関するマスタを更新
③計画原価登録/実行予算登録(CJR2):原価の見積額を登録し、積み上げ計算を行う
④見積作成(VA21):客先に提示する見積書を作成
⑤受注登録(VA01):受注契約の締結後、見積書の情報を引継ぎ受注伝票を登録
⑥費用実績の計上(FB01、KB21N):材料費/労務費/経費の実績値を計上
⑦プロジェクトからの出荷(CNS0):PSで出荷伝票明細を登録
⑧出荷伝票登録(VL01):出荷伝票明細を参照してSDから出荷伝票を作成
⑨請求伝票登録(VF01):FIに自動仕訳(売掛金/売上)
⑩月次締処理(KKA2):取引入力を禁止して結果を分析
⑪決済処理(CJ88):⑩結果からFIに自動仕訳(仕掛品または売上原価)

第5章 人事管理モジュール

・採用
・労務
・給与計算
・育成研修
・組織編成
・評価考課
・個人情報管理
・経費精算

第6章 そのほかのモジュール

BIソリューション

①S/4 HANA Embedded Analytics:S/4のユーザなら利用可能
②BW/4 HANA:SAP専用DWH
③BusinessObjects(BO)
④SAP Analytics Cloud(SAC):BOのクラウド版、機械学習機能

他のソリューション

・Ariba:調達管理
・Fieldglass:ベンダ管理(VMS)
・SuccessFactors:人事管理
・Concur:経費管理
・Hybris:CRM ※C/4 HANAに移行

CRMの機能
・マーケティング(潜在顧客の掘り起こし)
・セールス(見込顧客への販売促進)
・アフターサービス(既存顧客の保持)

第7章 SAP導入のフロー

7-1 稼働までのフローチャート
7-2 プロジェクト発足
7-3 導入フロー

第8章 SAP構築のフロー

8-1 構築のフローチャート
8-2 ERPビジネステンプレートの利用
8-3 構築のモデルケース
8-4 導入モジュールの例
8-5 構築期間の例(タスクとスケジュール)
8-6 組織構造の例
8-7 フローとトランザクションコードの例
8-8 移行例
8-9 運用例
8-10 Add-onの例

第9章 自動仕訳の設定

自動仕訳とは、ユーザが手動で仕訳を切ることがなく、システムが伝票の内容から自動的に仕訳データを生成することです。
SAP ERPは、自動仕訳の設定が多いシステムであり、特に販売、購買からは検収処理入出庫処理請求処理でカスタマイズされたルールに従って自動仕訳が作成されます。

購買関連の自動仕訳(MM)

①入庫時
・在庫/入庫請求仮 ※借方科目は品目コードにより決まる
・固定資産/入庫請求仮 ※借方科目は資産番号により決まる
・費用/入庫請求仮 (経費=購入時に即費用化するもの) ※借方科目は直接入力

②請求書照合時(発注書&検収書&請求書が揃った時)
入庫請求仮/買掛金 (債務計上)

入庫請求仮勘定(略して「入仮」)とは、SAP MMにおける入庫と請求書照合の処理間において、仕訳の橋渡しをするための経過勘定(一時的に通過させるための勘定で、すぐ消し込まれる勘定科目)のこと。本来は「在庫/債務」として一つの仕訳で処理される仕入取引だが、SAPでは入庫処理と請求書照合の2つのステップにて処理を行うので、それらの仕訳の間に橋渡しをするための仮勘定が必要となる。
SAPの処理においては、資産増加のプロセス(入庫処理)と債務認識のプロセス(請求書照合)が分かれている。
これはいくつか理由がある。実際の企業活動においては、納品書と請求書が同時に届かない場合があることや、入出庫管理を行う部門(倉庫管理部)と債務管理を行う部門(経理部)が異なるのが一般的だ。
処理トランザクションが分かれている以上、仕訳も2段階で記述する必要がある。よって、「入庫請求仮勘定」という一時的に両者をつなぐ(経過)させるための勘定を作り、入庫と請求書照合を橋渡しする。

Tr:OBYCに入るとまず多数の【内部処理キー】が並ぶ画面が出てくる。
内部処理キーとは、転記イベントごとに割り当てられているパラメータであり、「こういう転記処理をしたときはこのキーが働く」という配置が決まっている。
たとえばオーソドックスな入庫を行った場合、内部処理キーBSX(在庫転記)やGBB(在庫転記用相手勘定コード)が働き、この内部処理キーに対して紐づけている勘定コードが転記勘定として採用され、会計伝票の勘定として採用されるという仕組みだ。

勘定コード表
├内部処理キー:BSX(在庫転記)
├内部処理キー:GBB(在庫転記用相手勘定コード)
└内部処理キー:WRX(入庫/請求仮勘定)

○勘定コード表:財務報告単位(ID:会社コード)ごとに1つを持っている
○内部処理キー:転記イベントごとに割り当てられている
 ・【借方/貸方】:借方計上される場合と貸方計上される場合で勘定科目を分けたい場合に使用
 ・【評価グループ】:プラントごとに勘定科目を分けたい場合に使用
 ・【勘定修正キー】:移動タイプまたは勘定設定カテゴリごとに勘定科目を分けたい場合に使用
 ・【評価クラス】:品目マスタ.会計1ビューに設定した値ごとに勘定科目を分けたい場合に使用

入出庫処理時の自動仕訳処理は、対象勘定毎に処理を分割することができます、各勘定の転記処理は内部でそれぞれ3桁の内部処理キーにより識別されます。 内部処理キーは、トランザクション/イベントキ-、TEkey、取引キー、勘定キーとも呼ばれることがあります。
内部処理キーは勘定コード設定の基本項目です、内部処理キーを使って、転記明細が生成される勘定が設定されます。 したがって、転記ごとに少なくとも2つの内部処理キー(転記明細ごとに 1 つずつ) が使用されます。
内部処理キーの一覧は、T030A/T030Wテーブルから確認することができます。


在庫関連の自動仕訳(MM)

○在庫転送(プラント間)
在庫/在庫

○品目振替
在庫(変更後)/在庫(変更前)
品目評価差損

○廃棄
廃棄損/在庫

○実地棚卸
棚卸減耗損/在庫

○単価改訂
原価改訂差異/在庫

移動タイプ:入出庫処理の種類

入出庫処理をする際、必ず移動タイプを選択する必要があるため、主要な移動タイプはある程度覚えておいた方が便利です。

入出庫処理における自動仕訳の仕組みは以下の要素から構成されます。
・金額ストリング
・勘定処理キー(内部処理キー)
・自動勘定コード設定

販売関連の自動仕訳(SD)

①出荷時
・売上原価/在庫 ※MMの領域

②請求書発行時
・売掛金/売上 (債権計上)
 ※借方科目(債権勘定):得意先マスタで割り当てた統制勘定 または 伝票に応じて決定
 ※貸方科目(収益勘定)請求伝票タイプに応じて決定

①「請求伝票タイプ」(例:国内請求)に基づき、「勘定決定表」(例:A社勘定決定表)が決まる
②「勘定決定表」において、最も優先順位の高い「条件タイプ」(例:収益勘定設定)が選択される
③「条件タイプ」に割り当てられた「検索順序」(例:収益勘定検索順序)が選択される
④「検索順序」に紐づく”条件の組み合わせ”(例:「得意先グループ/勘定キー」)により昇順で「条件テーブル」に登録されているテーブルを検索し、条件を満たすレコードがあれば、そのレコードの「G/L勘定」を勘定科目として使う
※条件の組み合わせの要素例
・販売組織
・明細カテゴリ
・勘定キー:販売価格に応じて決まる
・品目マスタの条件
・得意先の条件

製造関連の自動仕訳(PP)

①製造実績計上
・製造指図_原材料/在庫 ※使用されたら在庫から製造指図に振替
・製造指図_労務費/原価センタ_労務費(2次原価要素)
・製造指図_経費/原価センタ_経費(2次原価要素)
※原価センタ上の金額と実際に発生した賃金や経費の差額を計算して、賃率差異や間接費差異は会計伝票からマニュアル入力する

②指図決済(月次)
・未完成品に対して
仕掛品/製造振替勘定
・完成品に対して(標準原価差異分析の仕訳)
製品/製造振替勘定
原価差額/製造振替勘定

固定資産関連の自動仕訳(FI-AA)

①資産取得:
固定資産/固定資産仮
②建設仮勘定の決済
固定資産/建設仮勘定
③減価償却
減価償却費/減価償却累計額
     /固定資産
④除却:固定資産除却損/固定資産
⑤減損:固定資産減損損失/固定資産

資産番号(例:切断機001)により、資産マスタを検索し、資産クラス(例:機械装置)を得る
・資産クラスに紐づく勘定設定(例:取得_機械装置)を得る
・勘定設定でG/L勘定コードを検索して、取引に応じた勘定科目に決まる

会計関連の自動仕訳(FI-GL/AP/AR)

消費税(共通)
消費税の仕訳明細を入力するわけではなく、課税対象勘定の仕訳明細に対して消費税コードを入力することで、消費税コードごとに設定された勘定科目や税率で仕訳明細が自動作成される。
・債権
売掛金/売上
   /仮受消費税
・債務
費用/買掛金
仮払消費税/

外貨評価(GL)
・為替評価差損/売掛金調整勘定
・売掛金調整勘定/為替評価差益

見越/繰延転記(GL)
・費用/未払費用
・未収収益/収益
※翌期首の反対仕訳

自動支払処理(AP)
支払対象債務を選択して消し込み、預金を減少させる仕訳を計上する
支払方法(振込/納付書など)と口座IDごとに、自動支払で債務消込する場合に使用する貸方科目(銀行仮勘定/預金など)を設定しておく

振込の場合
・消込:買掛金/銀行仮勘定
・支払:銀行仮勘定/預金
         /振込手数料

支払手形決済処理(AP)
支払手形/支払手形仮勘定
銀行仮勘定(手形)/預金

電子銀行報告書(AR)
※自動支払と同様の考え方
・入金:預金/銀行仮勘定
・消込:銀行仮勘定/売掛金

受取手形取立処理(AR)
手形取立仮勘定/受取手形偶発債務

受取手形決済処理(AR)
預金/手形取立仮勘定
受取手形偶発債務/受取手形

第10章 パフォーマンスチューニング

パラメータの設定

パラメータの種類
・モジュール共通パラメータ
・組織構造定義パラメータ
・各モジュール用パラメータ
・チェック用パラメータ:転記処理時にバリデーション処理を定義できる
・GUIパラメータ:GUI項目の表示/非表示や並び順を定義できる

ユーザプロファイルの設定

組織構造

①財務報告単位(ID:会社コード)に、以下を割り当てる
・勘定コード表
・与信管理領域
・財務管理領域
・人事管理領域
・事業領域
・購買組織
・販売組織:流通チャネル、製品部門を設定できる
・プラント:MRP管理者、出荷ポイント、積載ポイントを設定できる
②複数の財務報告単位を1つの管理領域に割り当てる
③管理領域に対して以下を割り当てる
・利益センタ ※利益センタに対して、複数の原価センタを割り当てる
・プロジェクト ※プロジェクトに対して、WBS>ネットワークを割り当てる
・内部指図
・分析対象

マスターの設定

・ビジネスパートナー
 ・得意先:受注先、出荷先、請求先、支払先
 ・仕入先:支払条件、支払方法、振込先口座
・勘定科目:原価要素
・品目:原価管理区分(移動平均単価/標準原価)
・為替レート

権限設定(SU02)

実はこの「権限プロファイル」こそが、ユーザの権限制御の正体です。
ロールを作成するということは最終的には「権限プロファイル」の生成を意味しており、これは権限ロールの作成を行うことで内部的に生成される仕組みです。
権限の作成をすると、内部的に権限プロファイルが生成され、ロールをユーザマスタに割り当てると同時に、権限プロファイルも割り当てられる、という流れです。
「権限プロファイル」は、マニュアルで更新することも可能ですが非推奨であり、権限ロールからの自動生成が原則です。

メニューの設定(OFCG)

ユーザが利用可能なトランザクションコードをメニュー化する

ワークフロー

条件に基づいて取引の承認フローを定義できる

移送

開発機→検証機→本番機

第11章 SAP HANA

11-1 SAP HANA
11-2 SAP HANAの仕組み
11-3 SAP HANAの主な機能と導入効果

第12章 Add-on

12-1 Add-on開発
12-2 Add-onオブジェクト
12-3 ドキュメント類
12-4 ABAPプログラミング入門
12-5 よく使用する標準オブジェクト

巻末資料

巻末資料① Add-onプログラミングで覚えておくべき用語・命令文

巻末資料② SAP用語集

巻末資料③ SAPでよく使用するテーブル一覧

・組織関連
・ビジネスパートナー
・FI:マスタ系/伝票系
・CO:マスタ系/伝票系
・ロジ:マスタ系/伝票系

その他

システム構成

・インスタンス:SAPのAPサーバのこと。ランドスケープ。つまり、開発機で1インスタンス、検証機で1インスタンス、本番機で1インスタンス。
・クライアント:1インスタンスに対して複数のクライアントを設定可能。クライアントごとに独自のデータ環境が割り当てられ、クライアント依存の設定パラメータ、アプリデータ(マスタ&トランザクション)、ユーザ&権限データが保持される。SAP組織構造のなかで最高位の単位。

組織構造

SAPには会社コードを始め、事業領域、管理領域、販売組織、購買組織、プラントといった様々な組織設定が存在する。
階層的なもの横断的なものと様々だが、こうした組織設定の構造とその意味合いを把握しておくことは、SAP導入する際の全体的な構想を立案または理解する上で必要なこととなる。

・クライアント(T000)
・販売組織
 ・販売組織(TVKO):事業部など
 ・流通チャネル(TVTV):直営店/代理店など
 ・製品部門(TSPA):家電など
 ・販売エリア(TVTA):販売組織・流通チャネル・製品部門のセット
 ・営業所(TVBUR)
 ・営業グループ(TVKGR)
 ・営業員
 ・与信管理領域
・購買組織
 ・購買組織:集中購買の場合、1つの購買組織を複数の会社コード・プラント・販売組織に対して割り当てることになる。
 ・購買グループ
・在庫組織
 ・プラント:在庫数量と在庫金額を持つ
 ・保管場所:在庫数量のみを持つ
・出荷組織
 ・出荷ポイント
 ・積載ポイント
・財務会計組織
 ・会社コード:財務報告の単位
 ・事業領域
 ・セグメント:事業の単位 ※S/4以前は「事業領域」が使用されていた
 ・連結対象>連結グループ>連結単位
・管理会計組織
 ・管理領域:管理会計の単位
 ・利益センタ
 ・利益センタグループ
 ・原価センタ
 ・原価センタグループ
・人事組織
 ・人事領域
 ・人事サブ領域


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