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嗚呼 母よ

柔らかな表情で

あの頃を思い出す姿は

どこか淋しげで

今にも空を翔びそうな

ツバメに似ている



母よ


その濡れた頬に


気づく者はいないか


空を見つめる横顔が哀しいのなら


冷たい頬をなぞる


涙になってはくれないか



生き急ぐ川の流れを


追い越すような惨めさは


まるでいつの日か


土に還らないとならぬ


人の運命と似ている



母よ


先に逝くとしても


決して泣いてはいけない


両手を上げて万歳をして欲しい


そしてその温かな手で


全てを包んで欲しい



時が風を運んだ


その冷たさに心は凍り

躰の温度も奪い去られ

動きが鈍くなってゆく

薄れゆく記憶もすべて

無くなるというのか

嗚呼 母よ

先に逝くとしても

決して泣いてはいけない

両手を上げて万歳をして欲しい

そしてその温かな手で

全てを包んで欲しい


これは私が十代の時に特攻隊員の方の遺書を読んだ時に書かせていただいた詩です。
あまり深くは書きませんが
彼らの見た空は青かったことを願います。

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