見出し画像

競馬における格言や迷信、セオリーはどこまで正しいのか検証してみる

競馬にはいくつか有名な格言や迷信がありますが、どこまで正しいのか検証してみます。

競馬アプリとサイト「pakara」を作っています。
基本無料で使えるので一度使ってみてください。


競馬の格言や迷信は正しいか先に結論

とりあえず先に結論から

馬に関しての格言や迷信

  • 夏は牝馬 -> ⭕️

  • 初ブリンカーは買い -> ❌

  • 単騎の逃げ馬 -> ❓

  • 西高東低 -> ⭕️(開催地による)

開催地による格言や迷信

  • 新潟千直外枠有利 -> ⭕️

  • 東京ダート1600m外枠有利 -> ⭕️(馬場状態による)

買い方に関する格言や迷信

  • ハンデ戦は荒れやすい -> ⭕️

  • 最終レースは荒れる -> ⭕️

  • 出走取消になった馬がいたらその隣の馬を買え -> ❌

  • 返還は勝ち -> 気持ちは分かる

馬に関する格言や迷信

馬に関する有名な格言を検証してみます。
近年でも通用するか検証したいので、2022年以降の約2年間のデータで検証します。

夏は牝馬

よく聞く格言ですね。
派生系では「夏は牝馬と芦毛馬とセン馬」というのもあるみたいです。

根拠としては牝の方が暑さに強いかららしいので、気温の高い7~8月の牡と牝が両方少なくとも1頭は出馬しているレースの単勝・複勝回数をみてみると。

牡牝混合7,8月単勝数・複勝数

牡馬の方が多くなりました。
単純に牡馬の方が出頭数が多いので、牝馬と牡馬の出頭数が同じレースだけカウントすると

牡牝同出頭数7,8月単勝数・複勝数

牝馬の方が単勝回数、複勝回数共に多くなりました。
夏は割りと平坦な地方開催が多く非力な牝馬でも活躍できるとか、有力な牡馬は休養しているとか色々な説があります。

原因がわからない以上、牝だから勝てると判断するのは難しいです。

初ブリンカーは買い

ブリンカー

ブリンカーとは、視界の一部を直接遮ることにより馬の意識を競走や調教に集中させ、周囲からの影響に惑わされずに走らせるために用いられる。

JRAより

初にこだわるのは、それまでの成績を一変させる効果がありそうだからでしょうか。
過去2年間で初ブリンカーは338頭、単勝率・複勝率をグラフにすると

初ブリンカー単勝率・複勝率

複勝においても15.4%と低め
単勝平均配当は506.7円と初ブリンカーに関係なく実力のある人気馬が勝っています。

ちなみにAI開発時にブリンカーの有無や初ブリンカー情報を学習させたことがありますが、結果に影響はなかったので除外しています。

単騎の逃げ馬

逃げ馬が1頭ならポジション争いで消耗せずに気分よく走れるから有利らしい。
逃げ馬が1頭だったレース6287件でみると

単騎逃げ単勝率・複勝率

勝率は特に傾向はありませんでした。
単勝平均配当は1005.3円でした。

結果的に脚質が逃げだった馬が1頭のレースを抽出しましたが、過去2年間6912レース中6287件とさほどが逃げ1頭のレースとなりましたので、ただの脚質逃げの傾向とほぼ同じ結果です。

本来なら結果の脚質ではなく、過去の脚質傾向から逃げ馬が1頭になりそうなレースで判断すべきかもしれません。

西高東低

西高東低とは関西の栗東トレセン所属馬の方が関東の美浦トレセンより強い馬が多いというものです。
根拠は名神高速道路の栗東インターチェンジが輸送に便利とか、栗東の調教用坂路コースは高低差が大きく強い馬を育てるなどがあります。

厩舎別に単勝率、複勝率をグラフにすると

厩舎別単勝率・複勝率

栗東の方が10%以上高い結果になりました。

2022~2024年間で出走した馬の数は
栗東 : 49095(51.8%)
美浦 : 45673(48.2%)
となり、馬の数の差以上に栗東の方が勝率が高いので、関西馬の方が強い可能性があります。

Google Mapより各トレセンから競馬場までの輸送時間を測ると

トレセン別輸送時間
輸送時間と差

滞在となることが多い北海道開催は除外してます。
合計値の差を出すと栗東の方が6時間分少なくなるので、輸送の面では栗東の方が有利だと思います。

栗東の方が輸送時間が最もかかる(+5.2時間)福島で分析してみると

福島厩舎別単勝率・複勝率

件数が少なかったため2020~2024年間のデータです。
逆転して美浦の方が10%以上高くなりました。

輸送が馬に与える影響は大きそうです。

開催地による格言や迷信

開催地による有利不利などの格言や迷信を検証してみます。

新潟千直外枠有利

新潟芝1000mは完全な直線のため外ラチ沿いに走る馬が有利らしい。
データ数が少ないため2018年以降のデータで検証しています。

枠別に単勝率、複勝率をグラフにすると

新潟芝1000m枠別単勝率・複勝率

単勝、複勝ともに外枠ほど高い傾向となり、内枠とはだいぶ差がでました。
JRAの枠順が完全にランダムな抽選とするならば、圧倒的に外枠有利な結果です。

次に枠別に平均単勝配当をグラフにすると

新潟芝1000m枠別平均単勝配当

外枠ほど低くなりました。
外枠有利が有名になりすぎた結果だと思われます。

東京ダート1600mは外枠有利

東京ダート1600mはスタート時に芝部分を150mほど走ります。
その際外枠のほうが30mほど芝部分を長く走れるため有利と言われています。

データ数が少ないため2018年以降のデータで検証しています。
枠別に単勝率、複勝率をグラフにすると

東京ダート1600m、枠別単勝率・複勝率

外枠ほど高くなる傾向があります。

芝部分による優位性は馬場状態で変わりそうなので、不良馬場で枠別に単勝率、複勝率をグラフにすると(2010年以降で検証)

東京ダート1600m不良馬場、枠別単勝率・複勝率

外枠の優位性はなくなる結果となりました。
スタート時の芝部分の影響はたしかにありそうです。

買い方に関する格言や迷信

ハンデ戦は荒れる

以前、荒れやすさを検証した時にも取り上げました。

ハンデ、別定、定量、馬齢と条件別に平均単勝配当をグラフ化すると

条件別平均単勝配当

赤線は2022~2024年間の単勝平均配当(957.8円)のラインです。
芝・ダート共にハンデ戦は荒れやすい結果になりました。
ハンデ戦の各レース毎に1番人気と1着の斤量と、平均斤量との差を出して平均すると
1番人気: -0.22kg
1着 : -0.79kg
となります。

これは、平均よりちょっと軽い斤量(ほぼ平均)の馬が来ると大多数が予想しているが、実際に1着になるのはもっと斤量が軽い馬ということになります。

これは斤量が軽い馬に投票すれば勝てるということではありません。
斤量がレース結果に与える影響は、みんなが思っている以上にある
という事になります。

最終レースは荒れる

最終レースが荒れるは、その日の負けを取り返そうとする人が穴を狙ってオッズが分散されるとか、騎手の体力と集中力が消耗しているなどの説があります。

レースラウンド別に平均単勝配当をグラフにすると

レースラウンド別平均単勝配当

後半に向かうほど平均配当が高くなるので荒れやすいかもしれません。

4レース目が最大となっていたので、レース条件別に平均配当と開催数をグラフにすると

4レース条件別別平均単勝配当と開催数

平均配当が高い新馬戦と未勝利戦の開催が多いため、4レースの平均配当が高い結果になったのだと思います。

出走取消になった馬がいたらその隣の馬を買え

根拠はわかりません。
出走取り消しになった馬番の+1と-1の馬番それぞれ単勝率・複勝率をグラフにすると

取り消し隣の単勝率・複勝率

平均すると
単勝率 : 6.3%
複勝率 : 18.35%
適当に買った時と同じ確率なので、関係はなさそうです。

返還は勝ち

通常ギャンブルにおいて勝ちの定義は、収支がプラスになる事を指すのが一般的だと思いますが、本来なら負けたであろう馬券が返還になると得した気分になるので気持ちは分かります。
予想することが好きな人なら、コスト0で楽しい時間を過ごせたのであるいみ勝ちです。

まとめ

競馬の面白さとは、数ある予想ファクターの中から自分なりの予想を確立していくとこにあります。

自分なりの予想を宇宙の真理かのように語り、勝った時は大きな声で自慢し、負けた時は「ほんとだったら」と言い訳するのが競馬の楽しみだと思っています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?