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上石神井駅と「外環の2」

 今年1月8日「成人の日」。この日、石神井公園駅駅前では同じ建物に入っている「星乃珈琲」とパンの「サンメリー」が閉店している。サンメリーはその少し前から込み合っていて、最終日は満員で入るのをあきらめてしまった。もともと人気で、再開発がなければそれぞれの店はまだ続いていたにちがいない。
「まなマート 石神井駅前店2号館」に続き、食料品を扱っていた1号店も今年1月14日に閉店となった。近くにスーパーはいくつもあるから、住民が急に途方に暮れるということはないにしても、ここだっていつも賑わっていた。イメージがわかないが、跡地には道が通り、高い建物ができることが決まっている。

この一角は軒並み閉店の模様

 西武新宿線・上石神井駅でも大規模な工事が計画されているようだ。二面三線のホーム、開かずの踏切、タクシー乗り場、バスの停留所、あちこちにのびる商店街・・・駅前は問題を抱えている。反面、飲食店や飲み屋街などが充実していて、店主の顔が見える店が多い。その周りを住宅街が取り囲み、街並みは全体的にどこか懐かしさを感じさせる。

西武新宿線・上石神井駅前

 区などの広報資料によると、上石神井の今後は「高架化」と「外郭環状線の2」がポイントのようだ。前々から話はあるのだが、西武新宿線に関しては、井荻駅から西武柳沢駅までが高架線路になるという。
「外環の2」については、東京都が「南北道路」を、練馬区が「交通広場」事業に着手し、それぞれ用地取得をすすめている。今の駅前の様子からは想像がつかないし、スピード感も分からない。
 スーパー西友と一体化している上石神井駅を南口に降りると、昔ながらの風情の青果店「フレッシュ島田」が見える。高いビルはなく、基本的に街はのっぺりしている。ここに鉄道模型のジオラマのごとく「立体交差」が建設されるとすれば、地域にとってはかなりの大工事だ。
 これによって、現在は環八以外は踏切でしか南北を横断出来なかった問題が解決する。車とバスとタクシー、人と自転車が行き先を奪い合う駅前の混雑はなくなる(ということらしい)。

用地取得の表示も増えてきた

 駅の東側には車両基地があるが、敷地が広く、コンクリートのフェンスにそって歩くうちに隣の上井草駅に着いてしまいそうだ。高架にすれば、基地の中の線路も持ち上げざるを得ないが、これも同じくイメージがわかない。
「昭和の頃からこのままじゃないかしら」と思うような時代がかった風景が残っている。工事が終わる頃には、ここも様変わりしているだろう。

西武線の車両基地

 地図上に線をひくのはたやすい。ただ、新しい道路を造るには既存の建物の立ち退きが必要である。古くからあったお店では、去年早くも姿を消したところもあった。自分は上石神井の路地に魅力を感じているので、ひとつまたひとつ空き地となっていくならば、それ自体は寂しいことだ。
 上石神井にはさらに「青梅街道インター」建設という課題も控えていて、これは練馬区のみならず杉並区、その他のところでも以前から喧々諤々議論されている。私が石神井に住み始めた頃から「建設反対」の文字はすでに街中にあった。当時からずしりと重いものを感じていたが、今はどこまで進んでいるのだろう。いずれの工事期間も長いだろうから、終わる頃には「誰がこんなこと決めたんだ!」、状況が変わっていそうな気がするが。

老舗「一圓」の味。いつまでも残って欲しい


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