会社辞めて起業する(11)そもそも起業する?

 このシリーズの幾つか前に書きましたが、勤めていたテレビ局の早期退職制度に応募し、キャリア支援とイベント関連の仕事で起業することを決めました 
 しかし、私の周りはサラリーマンばかり、実際に起業した人はいません
どうしたものか?昭和世代なので、こんなときは本で知識を得るタイプ。すぐに本屋に走り「個人事業の始め方」という本を買い、読み始めました。そこで知ったのは「個人事業と起業は違う」ということでした。普通は個人事業主、いわゆるフリーランスで仕事をして、収益化ができるようになり、ビジネスとして成り立ったら「個人成り」として法人化、会社を作るのです。私はそれすら知らず、早期退職に応募していました。しかも会社を作るには色々とお金がかかるようだ…
「うーむ…」
迷います。悩みます。やりたい仕事はあるけれど、全く収益のメドはありません。どうしたらいいか?…
そんなときに思い出したのは「なぜ起業しようとしたのか」という出発点です。早期退職制度に応募するかどうか迷ったときに、会社の先輩であるキャスターの辛坊さんに相談しました。すると「辞めて、会社を作りなさい。失礼だけどぱるちゃん(私の会社でのニックネームです)のような人が起業して楽しそうに活躍している姿を見たら、後輩たちや、女性たちが『私もできる!』と希望を持てる。そんな後輩たちの見本になりなさい」という言葉でした。退職してまでチャレンジしたい新しいことは、人を元気づけたり、応援したいという『エンパワーメント』です。キャリア支援やイベント関連の仕事は、それらを実現するための手段。起業することが誰かの刺激や力になるのだったら、それこそ私のやりたいことだ!まずはそこからスタートだと思い、起業することを決めたのです。なので、ここで個人事業主になるのは違うなと思い、やはり最初から会社を作ることにしました。
 その次に迷ったのは株式会社にするかどうか、です。株式会社は説明する必要も無いですが、出資者に対し株式を発行し、株主の利益のために経営陣が頑張るというシステム。知名度も高く、信頼もあります。そうでなければ合同会社です。これは平成にできた新しい形態で、出資者が経営者になるというもので、株主の意向でなく出資者である社員の意思で会社を設計、運営していけます。社長に当たる会社の代表は「代表社員」と言います。
 まずは私一人が経営者で社員。大きく出資を募るつもりもないと言う状況で、さあ、どっちにしようか?株式会社は、誰でも知っていますが、合同会社は意外とまだ知名度がなかったりします。となると株式会社にしたくなりますが、大きな違いは費用です。最初の設立費用は本やネットで調べたところ、株式会社は約30万で、合同会社は約10万。また設立後、株式会社だと赤字でも約7万の法人税を支払わないとなりませんが、合同会社はかからない。しばらくは収入の目途がないのに、7万も支払うのか… そしてAmazon、Appleの日本法人が合同会社と言うことを知りました。「あの世界のAmazonとAppleが合同会社なのに、私が株式会社って、ありか?」とさらに悩んでいたところ、以前の上司が退職し合同会社を作ったとの話を聞きました。これは相談するしかない!早々にランチをしたところ、なんと「合同もともかく、会社なんか作らなくていい!」と約1時間にわたり説教されてしまいました。先輩曰く「手続きが大変、お金を会社とプライベートで分けるのが煩雑。しかも収入の目途がないのなら、個人事業主で十分」と。他にも色々デメリットを言われたのですが、あまりに多すぎて忘れてしまいました。きっと先輩も大変さに直面されていたのだと思いますが、熱く語られると、またしても法人格をどうしようどころか、起業を迷わせるようなアドバイスを受けてしまいました。ちょうどその頃、番組の収録で来ていた辛坊さんの楽屋を訪ね、相談したしたところ「お金はかかると思うけど、今後のことを考えると株式会社のほうがいいんじゃない」と。いやあ~、諸先輩方の意見がきれいにわかれました。
話は変わりますが、起業後も色々悩むときに、色んな人がアドバイスしてくれますが、大体真反対な意見をアドバイスされます。そこで自分がどうするか、自分がどうしたいか、考えてないと決まりません…
悩み、迷い、考えました。そしてテレビ局の社員という肩書きが無い自分は、どれだけ社会から信用されるのか?漠然とした業務内容で、仕事の実績が無く、しかも合同会社だったら、ためらうのではないか?と思いました。また、AmazonやAppleやケロッグは、もう日本において信頼そのものの会社。合同会社でも全く問題ないわけで、まだ何もしていない自分とは全く異なるから比較の例にはならない。そして何より「こんな私が、株式会社の「代表取締役」って、何かかっこいいしワクワクするよね」という強い感覚でした。
 ということで、悩みに悩んだあげく、最後は自分の直感を信じ、感覚を優先しました。さすがに人には「何かかっこいいから株式会社にした」とは言わなかったですが(笑)その後お仕事を頂いたときに、株式会社だとスムーズに取引できたりということが多く、結果的には良かったと思っています。

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