はあちゅうさんに聞いた「恋」と「愛」の話

しみけんさんとの結婚生活を可愛らしく描いた「旦那観察日記」が大人気の作家、はあちゅうさんに「恋」と「愛」についてお話を伺った。

AV男優とのご結婚、そして従来の結婚のカタチにとらわれない事実婚を選択したはあちゅうさんはどんな "恋愛観 "、 "結婚感 "をもっているのだろうか?

その真相に迫りたい。

はあちゅうさんに「恋」と「愛」の話を存分に語ってもらった。

(インタビュアー:今井 慧)

結婚のカタチにとらわれる必要はない

今井:事実婚を公表されてから、世代による反応の違いってありましたか?

はあちゅう:世代では区切っていないんですけど、思った以上にウェルカムな反応が多かったです。「私も事実婚が良い」、「名字変えたくなかったから羨ましい」、「結婚のカタチにとらわれなくていいね」という声が多かったです。

今井:ポジティブな反応が多かったんですね。ネガティブな反応はありましたか?

はあちゅう:反対の声としては、「家族制度っていう日本の古くから続いているものを崩すような行為だ」とか、「結婚してもらえないから事実婚なんでしょ?」、「相手の職業を心の底から受け入れたら結婚もできるはずだ」とか言われましたね。

今井:なるほど。これは頭にきますね。

はあちゅう:結婚=本当の恋愛という価値観の人がすごく多くて、事実婚は子供が可愛そうという声も多かったです。

今井:結婚=本当の恋愛って違和感ありますね。

はあちゅう:私は、恋愛と結婚は別物だと思うんですよね。恋愛の延長に結婚がある人もいれば、恋愛は恋愛、結婚は結婚という人もいます。私は恋愛の延長の結婚なんですけど、でもやっぱりドキドキするような初期の恋のような気持ちと、生活というもので安定を感じる日常という結婚は別物だと思います。

今井:なるほど。僕は恋愛観と結婚観って世代によって変わるイメージがあるんですよね。

はあちゅう:世代というよりは地域差が大きいんじゃないですかね。やっぱりTwitterの反応をみていて感じるのは、東京の人って柔軟に受け入れてくれる人たちが多いと思うんですけど、地方の人は結婚=幸せって思ってる人がまだまだ多くて事実婚なんて「げっ!」ってなると思うんです。

今井:確かに地方の人って、まだまだ新しい価値観に対して不寛容なイメージはありますね。

はあちゅう:もちろん世代差もあると思いますけど、でも世代というよりはその人が生きてきた環境かなと思いますね。例えば、海外で育ってきた人っていうのは比較的柔軟なイメージです。フランスはPACS(パックス)というものがありますし、韓国とかは別姓婚ですし、そういうのが当たり前の環境で生きてきたら自然と柔軟になると思います。

今井:多様な価値観を知っているか否かは大きいですよね。

はあちゅう:名字が変わることへの憧れを強く植え付けられているのが日本人なんだなと思います。

今井:名字が変わるってすごい変化ですもんね。ちなみにはあちゅうさんのご両親は事実婚に対してどんな反応をされたんですか?

はあちゅう:うちの親は普通じゃない結婚に対して特に何も言ってませんし、そういう意味でも世代の差というよりも環境の差ということだと思います。

今井:なるほど。

はあちゅう:固定概念の中で生きている人からしたら理解しがたいことなのかもしれませんけど、私は生き方は人それぞれだと思ってますし、周りにもそういう考えの人が多いので、いきなり批難してくるような人はそんなにいないですね。ただ、すごく先進的な考えをもっている人だと思っていたけど、こういうところは古いんだなと友達の新たな一面をみることもありました。

今井:お友達の話、具体的に聞きたいです。

はあちゅう:「今はいいかもしれないけど、子供が生まれるときはやっぱりちゃんと籍は入れた方がいいよ」って言われたんです。どうしてそう思うの?って聞いても、「それはそういうものだからさ…」と。特に明確な根拠を持っているわけではないんですよね。

今井:友達にそう言われてしまうと辛いですよね。

はあちゅう:やっぱり自分の中で距離は離れていきますよね。友達に生き方をジャッジされるのは、つらいものがありますね…。

恋愛観の変化

今井:若い頃とご結婚後の恋愛観の変化ってありますか?

はあちゅう:若い頃は、そんなに結婚をすることが現実めいてなかったので、ちょっとファンタジーのようなところがあって、彼氏と一緒に、結婚したらこうしたいねとか、結婚生活ごっこみたいな感じで、自分が御飯作って彼氏に食べさせたり、ロールプレイングゲームみたいに楽しんでいました(笑)

今井:可愛らしい(笑)

はあちゅう:でも、実際に結婚というものが現実味を帯びてくると、シビアにこの人ちゃんと家事してくれるのかな?とか、トキメキだけではなかなか上手くいかないところもありますよね。若い頃は結婚というものがキラキラと幻想的なものだったし、恋愛のゴールみたいなイメージもあったような気がしますね。

今井:大人になるにつれて変わっていきますよね。それこそ結婚が現実的になると。

はあちゅう:歳を重ねるにつれて、ただの関係の一つのカタチなんだな、日常の延長にあるものなんだなというふうに考えるようになりました。

今井:その感覚が変化するきっかけはありましたか?

はあちゅう:大きなきっかけはないんですけど、20代後半くらいから結婚っていうのは人生の一部なんだと思うようになりました。自分でお金を稼げるようになると、男の人に養ってもらおうとか、結婚した人が勝ち組みたいな気持ちもなくなってきて。自分にとっての幸せのカタチがはっきりするにしたがって、心地いい結婚のカタチも見えてきたという感じです。

今井:恋愛の価値観の変遷にともなって、お付き合いする彼氏さんのタイプも変わったんですか?

はあちゅう:いや、一貫して傾向があるわけではないんですけど、この人は結婚の可能性がないなと思う人とは付き合わなくなりましたね。若い頃は顔が良いというだけで付き合うこともありました。上辺だけの付き合いというか、彼が好きな自分を演じるというのもあったんですけど、そういうのが年々削ぎ落とされていった感じはします。

今井:そういう感覚わかります。はあちゅうさんって自立してて、周りとはちょっと違う恋愛観を持っている印象だったんですけど、若い頃はごく一般的な女子の感覚だったんですね。

はあちゅうさんにとって「恋」ってなんですか?

はあちゅう:恋は、う〜ん。"楽しさ"ですかね。う〜ん… 楽しさ、ですね。

今井:いま恋されてます?

はあちゅう:いや、いまは愛ですね。

今井:ふむふむ。

はあちゅう:「恋」と「愛」は違うと思っていて、ドキドキ浮つくのが恋だとしたら、どっしり安定しているのが愛だし、わかってもらいたいというのが恋だとしたら、わかってあげたいというのが愛だし…

今井:あ〜面白い!

はあちゅう:なんか恋の延長に愛があるように見えますけど、実は微妙に性質が違うものだと思います。

今井:では、しみけんさんとご結婚するまでと、その後の生活で「恋」から「愛」に変わったという感覚はないですか?

はあちゅう:う〜ん。異性としてかっこいいなと思う瞬間はあるので、恋がリセットされたという感覚はないんですけど、「恋」と「愛」って同居できないと思っているので、「恋」が「愛」に変わったと思っています。

今井:しみけんさんのどんなところが好きですか?

はあちゅう:マッチョで男らしくて、誰にでもオープンで、裏表がなくて、ポジティブで、能天気…(ニヤ)で、すごく向上心があって、常に幸せな人ですね。その幸せな部分が好きで結婚したいなと思いました。

最後に、

「しみけんさんとの生活は幸せですか?」という質問にこう答えてくれました。

「毎日大好きな人と生活できてすごく幸せです」

はあちゅうさんの「恋」と「愛」の話を聞いて感じたのは、恋愛の固定概念にしばられる必要はないんだということ。

「恋」も「愛」も人それぞれ。する人もしない人もいるし、その対象が誰に向くかも人によりけり。恋愛はこうあるべき!結婚はこうあるべき!という固定概念から自由になることで、自分らしい恋や愛を見出すことができるのだ。それに、はあちゅうさんが嬉しそうにしみけんさんのことを語る顔を見ていたら、まわりの人間が2人の関係を"普通"という概念に押し込めて避難することがなんて勝手で野暮なことなんだろうということを、改めて痛感した。

【お知らせ】

「旦那観察日記」が2月22日に発売されます。 「有名AV男優」×「有名作家」夫婦のエッセイマンガが待望の書籍化!!

こちらもぜひチェックしてみてください↓

旦那観察日記~AV男優との新婚生活~

(撮影:漆原未代


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

Palette(パレット)は、性のあり方や生き方の「こうあるべき」を超えてゆくためのメディアです。いただいたサポートは、コンテンツの制作費に使用させていただきます。宜しくお願い致します。

コメントもお待ちしています!
18

愛と恋を語ろう

2019年2月のテーマ。この世には恋愛感情を持つ人もいれば、持たない人もいます。そしてその恋愛感情がどんな人に向くかも、人によって違いますよね。さて、愛とは一体何か、恋とは一体何か。その違いは何なのか。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。