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10代の若手フェミニストが先導する性教育界隈の今と、大人たちの役割

今、社会の問題に対して声をあげる若い世代のフェミニストが急増している。それも20代を飛び越え、10代の中学生〜大学生のフェミニストが活躍しているのだ。

今年1月に当時大学生だった山本和奈さんが、女性蔑視的な記事を出した週刊誌に抗議の声をあげたことをご存知の方も多いだろう。その件をきっかけに立ち上がったVoice Up Japanは、今では大学や世代を横断したグループとなり、性暴力やセクハラの問題を発信している。

そして、特に若い世代の活躍が目覚ましいのが、性教育界隈。
日本で行われる性教育はまだまだ不十分で、義務教育のなかで避妊、性感染症、性暴力などについて学ぶことができない現状がある。

そんな性教育の問題を巡って、声をあげる若い世代が増えてきているのだ。そしてその先駆けの1人は、中島梨乃さんだろう。彼女は高校在学中に、性教育の大切さを同世代に伝えるためのSNS(TwitterやYouTube)で発信をを始めた。

今年の4月に大学へ進学した中島さんは、その後も性教育に関する発信を続け、先日はキャンパスのトイレに生理用ナプキンを設置するプロジェクトを行ったことが話題になった。

そして現在、コンドームソムリエ見習いとして活動している現役中学生がいるという。中学3年生のくもうささんだ。SNSでの発信だけでなく、同級生に直接の声で語りかけ、学校にも掛け合って性教育の大切さを同世代に伝えている。

世間からの「若い女子が性について語るなんて」というバッシングを物ともせず、"性をオープンに語れる社会"を目指して様々な形で発信をする10代の若手フェミニストたち。

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今回は彼女たちに加えて、Voice Up Japanの社会人メンバーとして学生メンバーのサポートをしている臼田浩平さんも迎え、10代〜30代のフェミニスト4人で、フェミニストお茶会を企画した。

(文章:伊藤まり

伊藤:先日、パレットークの編集長がくもうささんにお会いしたときに、「すごくエネルギッシュな中学生がいる!」って興奮しながら帰ってきたんですよ。話を聞いて、ぜひ私もお会いしたい…!と。今、中学3年生でしたよね?

くもうさ:はい、中学3年生です。

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臼田:中3...ってことは15歳?

伊藤:すごいですよね。くもうささんは、コンドームソムリエAiさんの見習いとしてコンドームについて発信されていますが、そもそもコンドームに興味を持ったきっかけは何だったんですか?

くもうさ:中学1年生のときに受けた保健体育の授業が、全然物足りなかったんですよ。具体的な避妊の方法とかは教えてもらえないのに、先生が男子生徒に向かって「夏休み前にちゃんと予習しとけよ!」と茶化したりして。全然、性について知りたいことが知れなかったんです。

中島:わかる。私の中学は、教科書を読むだけのクラスもあったけど、盛り上がってるクラスでも無駄に「エロい=ウケ狙い」みたいな授業をする先生で、ちゃんとした性教育ではなかったです。

臼田:僕が中学のときは…昔のことすぎて覚えてないな(笑)。でも中学生のときから問題意識を持って発信するって、本当にすごいですね。

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くもうさ実は、発信しようと思ったきっかけは、中島さんが高校生のときに作ったYouTubeの動画だったんですよ!

中島:え、そうなの!?

くもうさ:高校生で、性教育について発信している人がいると知って、私にもできるかもしれないって思ったんです。中学生にとっては、高校生って"ちょっとだけ先輩"って感じじゃないですか。だから自分が活動しているイメージも湧いたし、「中学生も声をあげていいんだ」って思えました。

中島:それはすごく嬉しいな。そういう風に思ってもらいたくて、制服を着て動画をあげていたので。

伊藤:中島さんの狙い通り!それもすごいです。ロールモデルや先例があるから声をあげやすくなるってありますよね。Voice Up Japanが目指しているのも、まさにそういう活動ですよね。

臼田:はい。Voice Up Japanは、性暴力や性的同意について発信することが多いですが、まだまだ性の問題に関して声をあげるのは難しいですよね。逆に声をあげたら批判されることも多いから、僕たちはそこを変えたいと思っています。

中島:私、高校生のときにこの活動を始めて、ある新聞に取り上げてもらったことがあるんです。そしたら、高校から電話がかかってきて「何で新聞に載ったんだ!今すぐ取り消してほしい」って言われたんですよ。

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伊藤:え!?褒められる、じゃなくて??

中島:そう。別に私は悪いことをして新聞に載ったわけじゃないんですけど…。中学校時代に付き合っていた彼に酷いことを言われた経験があるのですが、それを記事のなかで少しだけ話したんです。そうしたら、「そんなことを書いて向こうの親御さんが嫌な気持ちになるだろう!」って。

くもうさ:被害を受けたのは中島さんなのに、そんな酷いことを言われたんですか…。

臼田:なぜか声をあげた人がバッシングされるという風潮は、本当に深刻ですよね。

中島:くもうささんの中学校はどうですか?

くもうさ:私の場合は、すごく好意的にサポートしてもらえました。校長先生や保健室の先生に「保健室にコンドームの使い方のパンフレットを置かせてください」と頼んだときも受け入れてもらえました。

伊藤:それはすごくいいですね。周りの同級生はどう?茶化されたりしませんか?

くもうさ:最初は「お前、なんでコンドームとか持ってるんだよ、エロいな〜」って言われたこともありましたけどね(笑)。そういう時は、ここぞとばかりに「じゃあ、君はこれをどうやって付けるか正しくしっているの?」「先をつまんで空気を抜いて付けないとダメなんだよ」みたいに返してたら、いつの間にか「これはどうやって使うの?」「素材の違いってどういうこと?」って質問されるようになりました(笑)。

中島:すごい!学んでる!大学生になると、むしろ反応が悪かったりしますよ。ツイッターでも「コンドームを配る女はやばい女だ」とかね。

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くもうさ:あ、でも私もツイッターを始めた頃は"コンドーム"という単語に反応した男性から、突然性器の画像が送られてくることはありました。「"これ"に合うコンドームを教えてよ」とか言って。

伊藤:キモすぎる…許せない…。

くもうさ:Aiさんにも「そういうことはよくあるから気をつけてね」って言われていたけど、実際に自分に来るとは思っていなかったので、怖かったな。

中島:わかる。YouTubeの動画に付くコメントでも酷い内容のがあります。そういうのを見てしまうと、間違ったことはしていないとわかっていても、傷付きますよね。落ち込んで2〜3ヶ月動画をあげられなくなった時期もありました。友達や家族に励ましてもらったりして、なんとか続けられています。

くもうさ:私もお母さんのサポートはとても大きいです。性教育の分野では、結構お母さん世代の先輩や、少し年上の先輩がたくさんサポートしてくれるんですよ。それはすごく心強いです。

伊藤:うわ〜そういう空気すごくいいですね。去年アメリカで銃規制を求める高校生のデモがとても盛り上がりましたが、そのなかでも大人たちが高校生をサポートし、バッシングを代わりに受けるようにしたそうです。私たちも、そういう大人になりたいですよね。

臼田:ですね、特に若い女性が声をあげるとバッシングが多いから。Voice Up Japanにはいろんな支部があって、僕たち社会人チームは主にリサーチ・メディアの部分を担当していますが、大人として大学生や若い人たちを活動の内側からサポートしたいと思っています。

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伊藤:今は、就活生に対するハラスメントの問題に取り組んでいるんですよね。

臼田:はい。まだまだ可視化されていない問題でもあるので、今オンラインでアンケートを実施しています。

伊藤:くもうささんや中島さんの世代が就活をする頃には、就活ハラスメントもなくしておきたいですよね。下の世代が余計なことでエネルギーを削らずに、のびのびと発信ができる社会にしたいです。

中島性教育の界隈では、先輩だけじゃなくて同世代の間でも、すごくいい感じの和を作れていると感じますよ!この前も、SNSで繋がった中高生と代々木公園でピクニックをしながらイベントを開いたのですが、すごく楽しかったし勉強になりました。

くもうさ:同じテーマに問題意識を持っている人たちだから、SNSでもたくさん仲間が増えています。私は来年から高校に進学しますが、高校の同級生にももっと性教育の大切さを伝えていきたいな。

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中島:私は、性についてもっともっとオープンな社会にしたいと思っています。でもそれって、下ネタやプライベートな話をすることや、強制することじゃないですよね。そうじゃなくて、必要なときに性について安心して学べる、セクシュアル・ヘルスについて会話ができるということ。そういう環境を作るためにどう発信するかというのがこれからの課題です。

くもうさ「処女子会」をやりたい!

臼田伊藤:処女子会?

くもうさ:今って、処女というとマイナスに捉えられることが多いじゃないですか。「え、まだしたことないの?」とか。逆に処女であることで、性的に目をつけられやすかったりもしますよね。だから、「処女って別に恥ずかしがることじゃないよ、性行為をする前にいろんな選択肢があることを知るって大切だよ」ってことを同世代にもっともっと伝えるイベントを開催したいんです。

伊藤:うわ〜楽しそう。私たち少し年上の世代も、負けてられませんね!!

臼田:はい!


中学生や高校生だった頃の自分を振り返ると、彼女たちのエネルギーや志、行動力の高さに時折圧倒されそうになる、そんな座談会だった。絶望するような事件やニュースの多い社会だけど、彼女たちを見ていると、この社会の未来も案外暗くはないのではないか、と思うことができた。

自分より若い世代の活躍に、少し年上の1人として、これ以上なく刺激を受け、励まされてしまったのだ。

でも今、1人の大人として思うことは「ただ彼女たちを尊敬し、彼女たちに期待するだけではだめだ」ということ。なぜなら筆者の私も、多くの先輩のフェミニストたちに学び、助けられ、励まされてきたからだ。そしてそうした先輩たちは、決して一方的な期待を投げつけて去っていくのではなく、必ず「一緒に頑張っていこう」と声をかけてくれた。

時代は変わり、社会も文化も少しずつ変わっていく。その中で、世代を超えて連帯していくことの大切さは日々感じていたつもりだが、今回の座談会を経て、あらためて自分の世代の役割というものを考え直すことができた。

(撮影:有馬尚希

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