みんなが使いやすい、理想のトイレデザインを考えよう!

トイレって、ほとんどの人が1日にみんなが何度も行くもの。家だけではなく、学校・職場・駅・デパートなどとにかく日常のどんなシチュエーションにも必須の空間だ。

しかし、排泄とその空間は、誰にとっても大事なものなのに、何となく汚いからと敬遠されがちのテーマでもある。そんな状況のなか、実は多くの人が今あるトイレに対して不満を抱えているのではないか。男性用トイレに個室を増やすことを求める署名活動を始めた飯塚大雅さんも、そんな不満を抱える1人だ。

飯塚さんは、都内の大学に通うトランスジェンダー男性。実は私、編集部の伊藤と飯塚さんは共に大学で哲学を学んだ友人でもある。署名文を読むとわかるが、哲学徒らしい緻密で穴のないロジックの展開が、彼らしいなと感じた。

彼が「男性用トイレに個室を増やそう」という署名を始めたことを知って、日頃からトイレの話が大好きな私は、トイレについての不満や理想のトイレについて語り合いたくなった。そこで私たちは飯塚さんを迎え、昼日中からオフィスの一角でトイレ談義に花を咲かせたのだった。

(文章:伊藤まり

伊藤:本日はお集まりいただきありがとうございます!オフィスで堂々とトイレの話ができるということで、とても嬉しいです。今日はみなさんの日頃溜まったトイレへの不満をぶつけ合って、理想のトイレのあり方を考えられたらいいな、と思っています。

飯塚:よろしくお願いします!

(↑今回「男性用トイレに個室を増やそう!」の署名を始めた飯塚さん)

伊藤:さっそくなんですが、私がお腹を下しやすい子から聞いたのは「音姫の時間が短い!」という話。音姫って、基本的に25秒間流れるところが多いらしくて、それはおしっこの時間の平均らしいんです。でもお腹を下しているときは「25秒では全然足りない!」って言ってました。音姫が切れる前に延長する癖がついて、気づいたら彼女は25秒間を正確に数えられるようになってしまったらしいです(笑)。

一同:爆笑。

飯塚あ、それで言うと、音姫って女性用トイレにしかついてないんですよ。

金澤:え!そうなんだ!でも、確かに。なにしろ音"姫"ですもんね…(苦笑)。

シロ:「男なら恥ずかしくないでしょ」っていうバイアスだよね。自分はいつも、男性用トイレにも音姫はほしいって思ってる。

伊藤:私は逆にトイレに入ったとき、先に入ってた人が急いで音姫をつけるっていうことがよくあって、すごく申し訳ない気持ちになっちゃうんですよ。だから私は大音量で放尿することにしています。「みんな音出るよ、恥ずかしくないよ」って。私が音姫になってるの(笑)。

合田:え、なんか一緒にトイレ行くのいやになってきたかも…(笑)。でも、女の子は恥じらいがあるけど、男の子なら恥ずかしくない、っていう決めつけはおかしいよね。音姫だけじゃなくて、"音のさま"とかどう?

一同:音のさま!!!(爆笑)

シロ:音についてだけではなくて、「男は人前で用を足すのも恥ずかしくない」っていう決めつけもあるよね。だから男性用トイレは基本が立ちション便器の割合が基本的に高い。自分は男だけど、それにはすごく抵抗あるんだ。

金澤:たしかに、「恥ずかしがるなんて男らしくない」みたいな価値観はありますよね。

シロ:それに「男だったらササっと済ませるものでしょ?」みたいな風潮もあるけど、「え、男もゆっくり用を足させてよ」って思う。だから俺は大小関わらず個室に行くタイプなんだ。そういう意味で立場は違うかもしれないけど、飯塚さんの署名にすごく共感したんだよね。

飯塚トランスジェンダー、特に自分みたいなFtMは、そもそも身体の構造的に立ちション便器では用を足せなくて困るからっていう理由で署名を始めたけど、そういう「男性ならこうあるべき」って言うのも変えていきたいって思いました。

合田:あとさ、今のままだと個室を選んだ時点で、「大きい方をします!」っていう意思表示になっちゃうじゃん。小学校とかでいじめに繋がってしまっているという話を聞いたことがある。

シロ:たしかに小学校だと個室から出たら「お前うんこしただろう」って言われて、行けなくなるみたいなことはあったよね。

合田:おしっこもうんちも、肩身が狭すぎるんだ。でもこれって健康問題に繋がってしまうから深刻だね。

伊藤:だからこそおしっこやうんちをタブーにしないで、地位を向上させることも必要だと思います。「お前うんこしただろ」って言われたときに「そうだよ!!すごく調子いいのが出たよ!」って返せるようになったら、それはそれでハッピー。でもそれと同時に、恥ずかしいという気持ちも尊重しなくてはいけないなと思います。

金澤:トイレって、誰にとってもほっと一息つけるところであって欲しいですよね。

飯塚現状では、音姫や個室の数だけじゃなくて、サニタリーボックスやおむつ台など、いろんな性別の決めつけにもとづいて男女のトイレですごく差があるんですよ。だからいろいろ困る人が出てくるのだと思います。

シロ:トイレに行くことが精神的にストレスを感じてしまうようになってて、問題だよね。

飯塚:そんな自分の理想は、ストックホルムで見たオールジェンダートイレの構造ですね。

(↑飯塚さんによる、ストックホルムのオールジェンダートイレの見取り図)

飯塚:入り口を入るとすぐにおむつ台があって、全て個室で、セキュリティのために鏡の位置も工夫されてるんです。性別で区別されていないし、まさに誰もが使いやすいトイレでした。

一同:すごい!

合田:たしかに雑に男女で分けた今の日本のトイレだと、たとえば生理のあるトランス男性はサニタリーボックスがなくて苦労したり、赤ちゃんをつれたお父さんはおむつを替えられなかったり、設備として困る人がたくさんいるよね。

飯塚:自分はトランス男性で、男性用トイレを使う場合に個室しか使えないという事情が体の構造としてありました。だから、男女で分けられた今のトイレだとすごく不便を感じます。このオールジェンダートイレみたいなのが増えたら、トランスジェンダーの人だけでじゃなく、いろんな人も使いやすいトイレになるだろうなと思いました。

合田:でもいきなり全部のトイレをオールジェンダーにしていくのは難しいかもね。改修工事の規模の問題もそうだけど、いきなり一緒ってなったら不安に感じる女性も多いと思う。

飯塚:そうですね、今あるものをすぐに全部改修するのは現実的に難しい。だからまずは、今ある男女のトイレを差を無くしていくっていうのが現実的だと思います。新しく作るトイレからどんどん差を無くしていけばいい。そのファーストステップが、男性用トイレに個室を増やすってことなんですよね。

金澤:まずは男性用トイレに個室が増えて、立ちション便器も半個室になり、"音のさま"も付いて、おむつ台もあって、設備として男女どっちも同じになることを目指すってことですね。

飯塚:はい。もしそれが実現したら次は男性用トイレをオールジェンダートイレにして、オールジェンダートイレと女性用トイレがある状態にするのがいいかなと自分は思ってます。

合田:そして最終的には、全体をオールジェンダーにしていく、と。だとしたら、どんな身体・セクシュアリティの人でも使いやすい便器が開発されるといいね!大便も小便も、立っても座っても、車椅子の人も、みんな用を足しやすくて、とにかくいろんな人が使うことが想定された便器が並んでいるトイレが理想かも。

伊藤:しかもそのエネルギーはうんちのガスエネルギーで再生されたらエコですね。今日はトイレにまつわる夢がむくむくと広がりました。ありがとうございました!

多くの人が使う公共のスペースでありながら排泄というとてもプライベートな行為を支える、トイレ。プライベートでデリケートなものだからこそ、トイレでの経験を人と共有する機会はあまりないのかもしれない。しかしこうやって話してみると、1人ひとりのトイレ観やトイレとの付き合い方はかなり多様だということをあらためて知ることができた。

そんな多様な経験が生まれるはずの空間が、今は雑な「男女」という区分けだけではなく、それぞれのジェンダーバイアスによって、勝手に決めつけられている。

私たちが毎日使う大切な場所だからこそ、「男性用トイレに個室を増やす」というアクションをきっかけに、誰もが安心して行くことのできるトイレデザインを広げていかなくてはいけないと感じた。

署名はこちらのサイトから。



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