HO1.HO2の混ざらない2人

煙に巻く

言わずもがな、ヒルガオのレシピ。

そもそもヒルガオについては散々話をしたので、人格云々って言うのは割と省略して書こうと思う。だってもう散々話したしいいでしょ……。

という訳で今回の香水の世界観の話。

今回ヒルガオを作るにあたって、着目したのは彼の体臭そのもの。舞台は日本のどこかにある場所で、その中で怪異として爆誕おぎゃぁしてしまった哀れな男こそこの男、ヒルガオなので、そもそも体臭って……ないんじゃね、って話なんですよね。体臭って言ってしまえば生きている者が持つ確かな生きている証みたいなもので……そういう意味では完全怪異由来のこの男には体臭なんぞあったもんじゃないと考えました。介君の方は元は人間ですからあります、ええ、ええ。

今回使ったのは甘いと苦いの半々。あと一つだけ香水に入れる事は殆どないであろう香料を仕込みました。

別に意図したわけではないのですが、どうしたってこうドブ色になるのはもうウケルでしかない。まあ今回ドブ色だったのもあってわざわざ仕込んだ遊びもあるんですがね。

さてそれは後での話なのでまずは香料の話から。

今回ベースで使ったのはいつもの煙の香りです、いつものやつですね、ええいつものやつ。

タバコ、ジンジャーこの二つの組み合わせはいつだって硝煙臭さを生み出してくれます……が今回は別のものを仕込む事でより煙り感出しました。

ケードです。ケードって近い香りだとバーチなのでよく「革」の香りとして使われるんですよ、あははははは、革~~~~~店主がどうしてテンション高いかは、まあ依頼者ならわかると思います。革の香り使ってやったぞおう。

という訳で本来革の香りとして使う事の多いバーチにすごく香りが似ていて、だけどバーチよりも軽やかなケードを他のものと組み合わせる事で、煙くっさっっに究極近づけました。ちなみにイメージはどちらかというと虚無ソファタバコです。

重ための香りに組み合わせたのはペニーロイヤル。なんとこいつ、虫よけスプレーの香りです!

絶対普通の神経してたら香水に混ぜようと思いません、虫よけスプレー作る時に使う香りですし成分です、あんまり肌にいい訳もない成分です。でもこいつには絶対必要です。虫よけの香りが。

どうしてかって聞かれると説明しにくいですが、虫よけってそもそも嫌なものを遠ざける香りですよね、そうなったら介君との関係性で生まれた「ヒルガオ」は虫よけそのものじゃないですかっていう解釈の元作ってるわけです。それもあるし、煙くっさを増長・拡散させるためにも必要でした。

その上で、苦味の強いホップを追加してるんですが、苦々しい雰囲気だけ出ました。

その奥にあるなんとなく甘いものとなんとなくフローラルのはコーヒーブロッサムとブラックカラント(カシス)です。

カシスの香りがほんのりとフレーバー付きの甘いたばこ感が、って話じゃなくてブラックカラント(カシス)使った理由はそこじゃないです。

甘くて優しい香りの反面でカシスには花言葉として「あなたの不機嫌が私を苦しめる」や「貴方に嫌われたら私は死にます」があるんです。

つまり甘い香りの中に存在する確かな執着心であり、確かな存在意義です。

介君をもってして生まれたヒルガオという存在だからこそ、嫌われたら(認められなくなったら)死にます(存在が失われます)という解釈にも取れるでしょう?

甘くて優しい香りはヒルガオの優柔不断さの表現でもありますが、一番は彼の存在そのものの根底を表しているから含まれているのです。

つまりはまあ店主のお遊びで入れました。

ちなみにレシピのメモです。

モリオン:ストレス安定、魔除け

ガーネット:積極性の石

ペニーロイヤルって虫よけの香りなんだよね

混ぜたらドブ色になってワロタ、でもドブじゃんね、っておもったので良し

赤いマイカパウダー(ラメ)を入れて粉が沈殿するようにした

綺麗じゃないしかわいくもない。

介君:遊び心

介君はヒルガオに比べると人間っぽくて優しいのにどこかピりつくような香りにしました。

夏のはじける炭酸水の様な香りと、爽やかな、でもシャボン感もある香り。

その奥に半ばピりつく香り、柔らかさに包まれて認識しずらいそれは、彼の本能的な人間嫌いのソレだと思います。

推茶の時にも書いてるんですが、彼という存在は言ってしまえば背伸びした子供、幼児でもないしかといって青年というには幼い、純粋といえば聞こえはいいが、ある意味で不完全であるという事。

ライラック、ハニーサックル、で優しく包むような甘い香りにして彼の柔らかな部分、つまりは幼少期特有の可愛げを表現し

ホワイトペッパーとマリーゴールドを使う事で苦々しさとツンとくる険しさをわずかに出します。

ですがそれらは全てアンブレットシードによって包まれ、お風呂の中の様な空間によって守られています。

このアンバランスさが彼の安定と不安定を紙一重で保っています。

最初に感じるサイダーとオレンジの香りは親しみやすさを表現する為に加えました。

表面上は人懐こくまた爽やかなような、甘いような感じに見える彼も時間と共にだんだんと苦味とピりつきを見せてくるのです。ですがそれらが見えない様に振舞う彼の瞳の奥に

急に青年としての、熟成された様子が時折映る。そのぞくっと感をボロニアを含む事で調節しました。

ボロニアの花言葉は「打てば響く」

使った天然石

ラリマー:愛と平和の石と言われる。怒りを抑える石。

ラピスラズリ:幸運と魔除けの石、幸せの象徴

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