初めて50万円を貯めたとき

日雇い生活の俺が50万円なんて大金を貯めれたのは人生で初めてだった。

それまでの俺の銀行口座には多くても30万円、それぐらい貯まったら仕事を辞めて大麻を吸って自慰行為に励んだ。金が尽きたらまた適当な仕事を探す。そんな生活を繰り返していた。もはやそれこそが仕事のように日々を送っていた。

明るく活発なバカなら可愛いもんだが、俺は明るい部屋が嫌いだ。

薄暗い部屋でマリファナを吸って、外国人のエロライブチャットで自分を慰めた後、カップラーメンを食って寝る。そういう時期の記憶はほとんど残らない。まるでサルだった。

その50万円以外に手にしたことがある大金というと21歳のとき母親が死んで、母がかけていた保険金の100万円をもらったぐらいだ。俺は3人兄弟の末っ子で、一番上に姉、真ん中に兄がいる。家族が死ぬとどこの家でも金の話は必ずする。それは上記の保険金だけでなく葬儀費用、墓、法事だとか一人の死で結構な大金が動く。

話はそれるが、日本の坊さんも普通に大麻を吸っている。たまにニュースになってるから知っている人もいると思う。地元で売人をしてるやつが坊さんが大麻を買いに来ると言ってた。その坊さんは2か月に1回、新幹線で九州から岡山まで大麻リキッドを2本ほど買いに来ると言ってた。まあ坊さんだろうと警官だろうと大麻ぐらい吸っている。だけど坊さんに関しては金持ってるという話は有名だよな。まあみんなじゃないけど。あの人たちの仕事を考えると貧乏にはならないだろ。

母親の保険金の100万円は自力で貯めた金ではなく、いわばあぶく銭なので一瞬にして消えさった。

俺がバカなのを家族は知っていたので、母の相続金は長女の姉が管理した。だから兄弟の中で俺は金の話には参加させてもらえなかった。

相続金を受け取る権利はある、姉はそう俺に伝えた。

生前の母は姉に、俺には相続金をまとめて渡さず少しづつ渡すべきだと言ったらしい。母の愛情だった。でも21歳の俺はサルだったので、相続金がいくらあるのかは知らないが俺の取り分は100万円でいいから今すぐ一括でよこせ、と姉を恫喝した。姉は説得したけど俺は蹴散らした。結局姉が折れて俺は100万円を手にしたが、案の定その大金はものの2か月ほどでなくなった。

まず1人暮らしには有り余る広い部屋を借りた。一通りの家具を買い、残りは見栄を張るために当時つるんでたやつに焼肉をおごったり、大麻を買いまくってたらすぐ無くなった。世間知らずのバカガキに大金を持たせるとこのようにろくでもない。母と姉は正しかった。

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