Don't Look Back In Angerを聴きながらルックバックを読んだ話

【ネタバレあり】

ジャンプ+というアプリがあるんですけどね

まぁ毎日毎日何本もの漫画が更新されるのですよ


私は金曜更新の怪獣8号を楽しみにしていて

毎日読みに行くことはないのですが

JR京都線に揺られながら

Twitterのタイムラインをクルクルと回していると

多くの方が言及しておる漫画がありました

チェンソーマンの作者である藤本タツキ先生の

読み切り『ルックバック』です


読みました?

無料、かつ、アプリのダウンロードもなく読めます

読みましたね


最高でしたね


見開きでの雨の中の踊り、

そのまま濡れながら漫画を描き始めるシーン、

本当にかっこいい


まさにローレシアの王子のような「こうげき」しかできないけども

その「こうげき」が他の追随を許さない圧倒的なパワー


そんなエネルギーを藤野から感じました


私はここ数年読んだ漫画の中で最も感動しました


この収まりつかん感情に従い、

数ヶ月ぶりに筆をとる次第であります



突然ですが、みなさん

ヒトをヒト足らしめているモノって

一体何だと思いますか?



私は『認知』だと思っています


似たような物事の中から"違い"を認知したり、

全く無関係に見える物事の中から"共通項"を認知したり、


ホモ・サピエンスはその能力が、他の動物よりも傑出しているため

これほど大きな文明や社会を築けたと思うのです


ただしその能力は個人差が大きくて、


例えばドレミファソラシド一つとっても

生まれて数年で違いを認知出来る子もいれば

私のように三十をゆうに超えても認知できない

オッサンもおるわけです


この漫画についてはニュースサイトでも書かれているように


京アニ放火事件や京都精華大生通り魔事件を

少なからず意識していると思われるのですが


作者の藤本タツキ先生は業界の方々や我々が感じた

好きなことに対し真っ直ぐに努力してきた人が

『理不尽な暴力』によって命を落とす

悲しみ、やるせなさ、憎悪


そういった感情の輪郭を、

クリアに、立体的に、精密に『認知』して

一コマ一コマに表しているように感じました


私は芸術って他人には認知できない、しにくいものを

自分の中で消化し、別の形に昇華させ、

多くの人に届ける行為なのかなと思う時があります


物語終盤の、暴漢をカラテキックでやっつけるシーンは

漫画の中でしかできない、漫画だからこそできる表現で

『理不尽な暴力』へ抵抗してくれているようでした



クエンティン・タランティーノ監督のOnce Upon a Time in Hollywoodでも

映画でしかできない表現で『理不尽な暴力』への抵抗を描いている

最高に爽快なシーンがありましたが、まさにそれを彷彿とさせてくれました



それでも、最初とラストのコマで


『Don't Look Back In Anger』(怒って振り返るな)


と締めるわけです


私の推察に過ぎませんが、先生は

同業の方が受けた『理不尽な暴力』に対し

きっと我々他業種の人間が感じるものと

比較できないほど辛い想いをされたと思います


それでも怒りに転嫁すべきでない、

と(恐らくですが)主張するわけです



怒ること自体が悪いこととは思いません

しかし、怒りは人を幸せにするものでもないと思います


辛い想いを受け入れ、建設的な行動に転嫁させようとする、

その強さに私は感動が止まりませんでした


ラストシーンで藤野がまた

シャークキックを描き始めます


その姿が先生がこの読み切りで読者に伝えたかったことであり、

ご自身に対しての決意表明でもあるのかな、と感じました


ご興味ある方は是非こちらのブログもご覧いただき、

是非oasisのDon't Look Back In Angerを

聴きながらもう一度読み直してみて下さい

ご存知の方も多いと思いますが本当に美しい曲です

私は涙と鼻水が1デシリットルほど出ました



余談

こんな美しい曲をライティングするノエルギャラガーさん、

↓のようなお茶目な一面もあります


今日はとても素敵な漫画に出会えて良かった


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