感想整理・アウトプットの時期第２弾。
先日 10/23-26 池袋 Mixaliveにて上演したミュージカル「THE SHOWTIME」の感想です。

読了までの所要時間：10分

マルチエンディング、ネタバレが入っています。
一部妄想で補完したものもあります。
解釈違いの部分があればぜひコメントにてご指摘ください。

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あらすじ

♪　叶えてなんて、わがまま言わない
　　だからOne more time One more chance、
　　届きますように
　　　ー 全員、劇中曲

これは、主人公の藤本日葵ふじもとひまりが、東京で夢への挫折を味わう日々の中、父が倒れたきっかけに田舎に戻り、周りの人に助けられながら、父が残した店 DINING BAR Time、思いに向き合い、やがて父と、そして自分と、和解する物語です。

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ここからは妄想全開で行きます。暴走しまくります。暖かい目でみてください。💨💨💨

一人ひとりの主人公 その２ - お調子者の元ヤン栞奈

[辻彩芽編]

♪　みんな注目　こっち向いて
　　時間無駄がさせない NO NO
　　可愛いスマイル癒しボイス
　　サービスもグッドだぜ栞奈
　　　ー 上田栞奈、劇中曲

上田栞奈うえだかんな、日葵の東京時代の同僚兼友人、お調子者の元ヤンです。職場でやらかしてしまってヤクザ・借金取りから逃げるために、東京から日葵に追いかけて、この物語に登場しました。

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栞奈について

栞奈は、いい意味でも悪い意味でも文字通りの「お調子者」です。

冒頭から「お客様をボトルで殴りたい」と言ったり、トラブルから逃げるために日葵の家に押し付けたり、面白がって人に連絡先を交換させたり、ステージをやろうと煽ったり、そのことを無断でSNSにアップしたり、彼女は終始嵐を呼んでた。賑やかで常に周りを振り回していて彼女がいれば、多分一日も退屈しないでしょう。

ただし、ムードメーカーの彼女にも、気配りで、悩みもので、繊細な一面があります。

最初、栞奈が店を見に行くかについてお母さんと喧嘩して、家から出た日葵を追いかけた時にはこう言った。

「あのお父さんとお母さんがいるから、今の日葵がいるんでしょう？羨ましいよ。」

栞奈の家庭事情は多分複雑だった。両親がいない彼女は、親戚や施設育ちまでもあり得ます。その環境での影響だったら、栞奈は他人に嫌われたくない、迷惑をかけたくない、周りの人に笑顔でいてもらいたいなどを常に思って行動するのもおかしくない。栞奈が元ヤンだったことも、やけに日葵と父との関係を直そうとした理由も納得できます。なんせ、両親に関して栞奈自身は仕方がないが、日葵にはまだ遅くないからです。

そのことも日葵の母であるすみれさんから見通されたからか、栞奈はすみれさんに「日葵をよろしく」と言われたほど信頼されていた。すみれさんの目線から、栞奈は礼儀が正しい、純粋に良い子かもしれません。

栞奈にとっての日葵は、多分親友だけではなく、光でもあったと思います。栞奈は、自分がやりたいことが今までなかった分、日葵が歌いたい理由に好奇心を持った。その場では回答がなかったけど、栞奈は日葵がお父さんの店で歌えるように働いた。純粋に親友を応援したい、支えたい気持ちもあるが、きっと、栞奈も日葵の夢を叶えたら、応援してる自分も何を発見できるかと、薄々期待しているのではないかと思った。

これらの前提で栞奈を言動を観察すると、全ての筋が通りました。いつも舞台袖で悩んでそうにいる彼女を知ったからこそ、表舞台で彼女の明るい振る舞いや頑張りも、より愛しくなった。

栞奈のノリは激しいです。日葵からはじめ、全員が知らぬ間に彼女のペースに巻き込まれることは少なくないかと思います。なんと言っても、連絡先交換を結婚指輪の交換みたいな雰囲気までに仕上げるなんて、栞奈しかできないと気がします。

ですが栞奈の出発点は、いつだて日葵だった。方法や方向性はどうであれ、栞奈はいつも日葵の背中を推そうとした。日葵に父の店を見に行かせるのに、すみれさんに日葵の秘密をバラすまで脅迫した。日葵が人前に出るようにSNSで発信した（栞奈は発信する前にアイディアを取り消そうとした彩芽立ちを見てたから、知らなかったなんて信じません）。日葵が蘭さんに悪く言われた時真っ先に日葵のことを守ろうとした。日葵が落ち込んだ時には多少オーバーな言葉や行動でも日葵を励まそうとした。雑で不器用な部分もあったが、彼女は常に「どう日葵の背中を押して、前に進めれるか」を考えて行動した。「もしかしたら栞奈は、自分より、日葵の方が大切なのでは？」とまで思ってしまった。側から見ても、栞奈と日葵との関係性は羨ましいくらい素敵なものです。

日葵以外、栞奈も何気に美桜のことを気にかけていた。最初美桜を見かけた時に、日葵がなぜか美桜に好かられたと聞いた栞奈は、「やっぱりー」と言いました。これは「日葵をよく知ってる」という反応でもあったが、もしかしたら栞奈も美桜と同じく、日葵の明るくて真っ直ぐなところが好きで、日葵に近づけたかと。似たもの同士で勝手に親近感を湧いた栞奈だからこそ、従業員の候補に美桜をあげたり、美桜を採用されるように日葵と彩芽に圧（物理的のw）をかけたり、舞台袖でも美桜と絡んでいた。そして、そんな栞奈がいるから、美桜もよりチームに溶け込みやすかったでしょう。

さてそんな栞奈にとって、「DINING BAR Time」はなんでしょう。

栞奈は、東京で働いた店に悪い影響をしたことに罪悪感がなかった。きっとその店は栞奈にとってはただの職場だったと思います。その一方、栞奈は「DINING BAR Time」で仲間と笑いあったり、日葵からはじめみんなの目標に向けて頑張った。栞奈エンディングでは、彼女は「DINING BAR Time」でやりたいことを見つけたまで言いました。「DINING BAR Time」は彼女にとって、意義がある毎日を送るための、彼女の「居場所」だったかと考えられます。

だから店を守ろうとした彼女は、自分の関係で店を壊されないように、ステージに上がらなかった。彩芽に「クビ」と宣言された時も甘んじて受け入れて、自分を守ろうとした日葵を止めようとした。自分が大切な居場所をめちゃくちゃにしたから、罰を受けるのも当然だと考えたし、日葵に庇ってもらう理由などもなかったからです。なのに、彼女は日葵が彼女たちを弁解するための告白を止めれず、彩芽に激怒され、チーム解散の羽目になった。

その後、栞奈は東京に戻って、慰謝料を支払うという、むずかしい選択肢にした。今まで逃げてきたくらい怖かった相手に、立ち向いました。きっと彼女は過去の自分を責めて、過ちをなんとかしようと決意したでしょう。プライドを抑えてヤクザにひたすら謝る彼女の姿は、いつものお調子者の欠片ですらなかった。多分それを目撃した彩芽もまた、この「らしくない」栞奈を見て、彼女のことを許したでしょう。（栞奈と彩芽の関係性はまた別途で書きます）

最初は自由奔放だった栞奈が、この舞台を通して、大切なものができ、頑張る理由が見つかって、他人のために動いた。この頑張りっぷりこそ、栞奈を見る時の醍醐味なのでは？と思います。

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役者について

さほさんが演じる栞奈は、とにかく可愛くて人間味があった。数公演を渡って試行錯誤をした結果、お調子者の「栞奈」の考えや感情は、さほさんなりの処理仕方で自然に観客に伝わった。大・小舞台での見え方の違いで必要な調整も段々上手くになったと思います。

栞奈は、普段のさほさんとかけ離れているが、普通の女子だった。さほさんにあるアイドルらしい言動や無自覚の仕草は、絶対この栞奈にはありえない。役を貫通するのに、その無意識の仕草や話す語尾などを制御するのは必要ですが、なかなか難しいと思います。一回だけ小指を隠すことを見かけたような気がしますが、基本的に「栞奈」はちゃんと舞台の上に居た。彼女普段（？）の姿を知ってるからこそ、すごいなーと思っていました。（語彙力）

また、お調子者の栞奈を演じることは、ある程度のハードルはあるかと思います。本人は「家ではお調子者です」と言ったが、その部分をどうやって、どれくらい「栞奈」に応用するか、舞台上でどう見せるかなど、全部課題だったと思いますが、さほさんはそれを違和感なく栞奈に当てはめた。個人的には、「だから匿って！」から「神様仏様ひまり様！」までのやり取りが、その良く取ったバランスの証拠だと思います。「一生のお願いーーー！」ってウソ泣きまでして、日葵からオッケーを貰った瞬間のリカバリーはやっ www と思いながらニヤニヤで見ていました。

栞奈は、舞台袖で観察する時間が多く、「こう思ったからこう行動した」と、セリフの説明は少なかった。ですが、彼女の行動はほぼ全部、物語を推進した行動だった。なので、観客がストーリーの進行に違和感を感じないためにも、彼女の行動には彼女なりの理由があると、観客が腑に落ちる必要があった。つきまして、栞奈の感情、考えをどう表現するのかは非常に重要になります。

さほさんは、舞台袖にいる栞奈の思考や感情表現を毎公演で段階的に精進した。バーチェアでの座り方、まずい雰囲気にいる時居心地がない仕草、会話の内容に合わせたリアクション、表情など、毎公演での細かい調整で、栞奈がどう考えているかを段々鮮明に伝わってきました。

日葵の両親がまだ健在なことに羨ましいと言った栞菜は、日葵に逆問された時、質問を明らかに逸した。きっと、両親の話題を深堀される、「自分らしくない」部分を知られるのが怖かったでしょう。

道端で倒れている日葵を見て、一回ため息をついてから、「あんた、道端のセミ!?」と言った栞奈は、「またかよ」「しょうがないな」とも思ったでしょう。

日葵が歌をやりたい理由を答えなかった時、「、、、そっか、じゃ帰ろうっか！」と言った栞奈は、多少「あっ、質問を間違った、、、と、とりあえず家に連れ戻そう、、、」と思ったでしょう。

最初蘭さんに対してお世辞くらいだった挨拶が、最後らへんに腰を90度まで曲がってお辞儀したのも、「すげぇなこいつ、尊敬するわ」って思ったでしょう。ヤンキーっぽくて（？）ちょっと笑ってしまった。

彩芽に助けられた時、涙を堪えながら「しょうがないな」と言った栞奈は、まるで「ありがとう」を言ったように見えた。

他にも、色んなシーンで言ってないセリフが聞こえた。そこまで想像を膨らませたのも、さほさんの表情や仕草への配慮だったと思います。

細かい話ですが、栞奈がちょいちょい舌打ちしたり、日によって「ダルっ」「えぇー」とリアクションしたのも面白がった。普段の本人とあまりにも違うから「あっ、栞奈、、、」っとニヤニヤした。そういう少し口の悪さ？も栞奈っぽくていいなと思いました。

総合的にさほさんが演じた栞奈は、最初から最後まで騒がしかったが、ただのお調子者ではなく、仲間思いで諸々見た、聞いたことを自分の中で消化した上で行動するような人だったことが分かりました。

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終わりに

物販のパンフレットでは、「他にやってみたい役？」の質問に、さほさんは彩芽の名前を上げました。ここでも「栞奈・彩芽」マッチング成立かよ！と思ったが、果たしてさほさんが演じる彩芽はどういう感じでしょう。正直あんまりイメージ湧かないが、それはそれで楽しいかと思います。

次回は、すでに多少触れた、従業員の３人目、みんなが大好き死神について書いてみたいと思います。

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追伸１

前にも言ったけど、今回舞台のパンフレットやブロマイド、写真のクオリティが基本的に高い。私のお気に入り栞奈ショットは、なんと、パンフレットの役者紹介写真だったー　ページ一面のかっこいいさほさん、もうどっかに飾りたい。

追伸２

栞奈のお調子者っぷりは、ドラタイムでも何話くらいチラ見できます。個人的には「ケンカ」と「タクシー」が大のおススメです。