問題集

家庭教師歴28年のゆきりん先生がつくるのは、たったひとつの問題集。

おもいたって、問題集を買いにいってきた。
イオンモールの本屋さん。

平日の問題集コーナーは、ひとがまばらで
私以外にもう1人
70代のおばあちゃんと3歳の男の子

店員さんに、しきりに聞いている

私も同じコーナーだったので、行くと
「どれがいいんですか?全然わかりません。」と言っている。
「どれを買えばいいですか?」

店員さんがすごく困っているので、わたしが思わず声をかける。

「何を探してますか?」

聞けば、

・日高からわざわざバスで来た。
・3才のこの子(男の子)は保育園を休ませてきた。
・小1のこの子のお姉ちゃんが問題集が欲しいから、デパートに行って買ってきてといわれた。

「私の娘も小1ですが、わたしは塾の先生をしていますので専門家です。もしよろしければ、お勧めしますので。」
と言って、店員さんに「客同士でちょっと立ち話程度にお話ししておきます」といって、その場を預かった。

欲しいのは、
・算数
・英語のアルファベット
・国語

持っている問題集をみて、

「それと同じお値段なら、きっとこっちの方がいいと思いますよ。」と
いくつか勧める。

その間に

「この3歳の子が1歳半の時から、ばあちゃんがずっと子供たちを見てるんです。この子たちの母親がいなくなって、
息子はずっと働いてて家にいなくて、なんにもしてやれない。」
「1年生の算数って、こんなにあって・・・分からない。」
「70才を過ぎてて、こんなばあちゃんが買ってきた問題集でいいのか?不安で不安で」

大丈夫です。
わたしは専門家ですので、
小1の女の子に「これを頑張れば、学校で100点とれるよ。」と伝えてください。私の生徒にも、みんなにこれを勧めています。

もう何度もお礼を言って
買って帰っていった。

【1年生の算数って、1種類じゃないんですね。】

この言葉が、もうずしんと心に残ってしまって、
胸がつかえてしまって、
足が震えた。

今日、この本屋に来たのは、
実はそれを形にするための資料を買いに来ていたから。

1種類にしたい。
迷いなく、それをやらせたい。

たった1コーナーに、
小1の算数だけでも、
20種類以上あって、
そこからどれを選ぶか?で
その子の学力が変わるなんて。

これでいいのか?
これがいいのか?

そして、
あのおばあちゃんは、これから先、
田舎で、「こんな年寄りが教えて申し訳ない。」と思いながら
孫を育てるのか。

一緒に連れてきていた、けいちゃんの手を
ぎゅっとつかんだら、
思わずグッと来て、唇を噛んだ。

歴史はたった一人が変える

わたし、この言葉を信じています。
私が変えねば、誰が変える。

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