跳ねてスプリング

 春が来ている、ような気がする。

 季節の変わり目をいち早く察知するのは、目ではなく、肌でもなく、鼻であると私は思う。花などどこにも見当たらなくとも、道行く人がまだマフラーを巻いていようとも、玄関を開けてひとつ息を吸い込んだその瞬間、春の気配を感じるときがあるのだ。春が特別に好きなわけではない。しかし、この春の気配を嗅ぎ取ったときだけはどうしてか、嬉しさが込み上げてくるような、胸の中が小さく飛び跳ねているような、そんな気分に塗り替えられてしまう。春の魔法である。

 さて、せっかくだから、今日はエロの話でもしようか。他に話すこともないし、エロなら大体みんな好きだろう。話題界のカレーみたいなものだ。

 まぁ一口にエロと言っても範囲が広すぎるので、まずは切り口を絞っていこう。とりあえず今回のテーマは『飯田仲流 エロ小説の書き方』にする。

 前にも何度か話したことがあるが、私は趣味でエロ小説を書いたり売ったりしている。このブログの更新が滞っているときは、大体そっちを書くのに必死になっているときだ。

 おそらく世の中にいる大半の人は、エロ小説を書いたことはおろか、書こうと思ったことさえないだろうし、もしかすると読んだことすらないという人も多いかもしれない。そういう人たちからすると、わざわざ趣味でエロ小説を書いている私のような人間は、随分奇特な存在に思えることだろう。ならばまずは、この私が一体どういう経緯でエロ小説を書き始め、そして今までどういうモチベーションで書き続けてきたのかということをご説明しよう。

 エロコンテンツに対する人々の嗜好はざっくり2種類に分類できると思う。仮に一方を『相手重視型』、もう一方を『プレイ重視型』としよう。

 『相手重視型』とは、その名の通り、SKB(スケベ)をする相手、よくある男×女のコンテンツで言うならヒロインの情報を重視するタイプのことである。SKBの内容はともかく、 “美少女”、“巨乳”、“ツンデレ”、 “幼なじみ”等、自分の理想のステータスを持つヒロインが出てくるコンテンツを好むのが『相手重視型』だ。

 かたや『プレイ重視型』というのは、ヒロインのディティールにはあまりこだわらず、「ヒロインと(が)何をするか?」というところにこだわるタイプである。わかりやすいところで言えばSMプレイだとかがそうだし、“裸の女が四股を踏んでいるのを見たい”とか、“泥とかチョコとか金粉塗れの状態でSKBしたい”とかも『プレイ重視型』である。まぁ「“美少女”を“虐める”のが好き」とか「“幼なじみ”を“金粉塗れ”にしたい」とかみたいな『複合型』も多いので2種類と言い切ることはできないが、大体こんなもんだろう。

 それで、自分からエロ創作に手を出す奴というのは、これもざっくり2種類に分けることができる。『○○が異常に好きな奴』と『性癖が曲がっている奴』である。(この2つは≓なのでは?という意見が予測されるが、ここでは便宜上こう分けることにする。)

 『○○が異常に好きな奴』というのは、平たく言えば「好きすぎて、描かずにはいられない!」みたいな奴だ。“ツンデレ妹”とか“兄貴の嫁(義理の姉)”とか、もう巷に溢れすぎて赤潮みたくなっているジャンルで、わざわざ描いている奴である。こういう奴らの、そのジャンルに対する愛とか熱意はすごいのだ。ただ「好き」というだけだったら、好みに合った品はどこにでも転がっているのだから、自分で描く必要なんかない。ある意味、下手な変態よりヤベー奴らである。

 一方『性癖が曲がっている奴』というのは、さっき挙げた“裸四股(ラシコ)”フェチとか、“塗れ”フェチとか、とにかく少数派のフェティシズムを持っている奴のことである。こういう奴らの場合、困るのは、巷に自分の好みを満足させるコンテンツがほとんどないことだ。たとえばGoogleで「裸 女 四股」で検索をかけてみても、ヒット数118,000件中、使えそうなのは一番上の3件くらいしかない上に、いざサイトを開いたらいくつものリンクをたらい回しにされた挙げ句、肝心の動画は削除されていたりする。

 そう、このときだ。このとき、『性癖が曲がっている奴』は一つの岐路に立たされる。「とりあえずフツーので妥協する」か、「自分で創る」である。前者を選ぶ奴は言うまでもなく雑魚だ。まぁ弱いこと自体は罪ではないので責めたりはしないが、弱者に払う敬意はない。

 話が少し逸れたが、要は『性癖が曲がっている奴』は曲がっていない奴に比べて供給が少なく常に飢餓の状態にあるので、「ないなら創ろう」のDIY精神でエロ創作を始める奴が多いということである。

 さて、やっとこさ御託を並べ終わったので、ここからようやく私自身の話である。私は、上で説明した分類でいうと、『プレイ重視型』の『性癖が曲がっている奴』だ。小説創作まっしぐらのタイプである(相手重視型だと、大抵イラストの方に進む)。ちなみに一応言っておくが、『性癖が曲がっている』といっても“裸四股”や“塗れ”フェチではない。詳しくは言えないが、これらよりかは、もう少し仲間が多いジャンルにいる。

 これ以上話すと長くなってしまうので、一旦切ることにする。続きは我が家にiPadとapple pencilが届いてから話そう。

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