モテる護身術

 まさか前回のAV談義からもう2週間が経っているだなんて、まったく信じられない。まだ5日くらいだと本気で思っていた。光陰矢の如しとはまさにこのことである。まぁつまるところ、この2週間はそう感じるほど一生懸命に、エロ小説を書いていたということだ。

 「人生で一番頑張ったことは何ですか?」

 就職活動をしていた頃、面接官によく訊かれた。当時は研究活動とか答えていた気がするが、もし今もう一度同じことを訊かれたなら、間髪入れず「リクエストのエロ小説をたくさん書くことです」と答えることだろう。

 もう、書いた。めちゃくちゃ書いた。具体的な字数や本数は伏せるが、量で言えば人生で一番多く書いた。おかげでやる気のない塾講バイト一ヶ月分くらいの金はできたため、このまま頑張ればなんとか、iPad Pro購入による財政難は乗り越えられそうである。

 さて、私だってまさか3記事にも渡ってエロ小説の話をするつもりはない。とはいえ、これと言って話すことがあるわけでもない。今回は徒然なるままにひとときWordに向かい、思いついたことを適当に話そうと思う。

 まず、昨年11月に行った初回申請以来、死闘に次ぐ死闘を繰り広げてきたGoogle AdSenseの提携審査の件だが、先日、とうとうこれに合格することができた。少し難儀したものの設置も無事に済み、現在このブログの至るところにGoogle AdSenseの広告が表示されている。非常に喜ばしいことである。おかげさまで今のところ、17円の広告収入を得ることができた。このブログの維持自体に1800円/月くらいかかっているので、焼け石に水とか、そうでなくても雀の涙、とか思うかもしれないが、やはり『お金になっている』という実感はそれなりのパワーを与えてくれるものである。黒字収支にはまだまだ遠いが、これからもしっかりもっさり頑張っていこう─────────と思っていたのだが、ついさっきウェブ通帳を確認したところ、驚いたことに、Google AdSenseでないアフィリエイトサービスから約4500円の振り込みがあった。これはつまり、誰かが私の記事に貼ってあった広告から、なにがしかを購入してくれたということである。

 マジ感謝、以外の言葉が見つからない。正直言ってこのブログから利益を得ることは大分諦めムードだったのだが、再度やる気がほんのり蘇ってきたような心地である。初の黒字収支、この喜びを胸にこれからもばっちりまったり頑張っていこう──────────と思いかけたところで気が付いたのだが、先月末に購入したiPad Pro(アクセサリ含め15万)はこのブログに載せる漫画を描くために買ったようなものなので、このブログにかかっている経費は現在1800円/月+15万である。こんなのもう、血尿どころの騒ぎではない。脱肛である。ガチの方の『身』が完全に出てしまっている。どうやら私にはもはや一刻の猶予も残されていないらしい。ゴチャゴチャ御託を並べていないで、これからはガッツリミッチリ頑張っていこう。

 ところで最近、視力が少し落ちてきたように感じる。私はもともと目が良い方で、去年あたりに測ったときは両目とも1.5はあったはずなのだが、どうにも近頃、以前は見えていた距離にあるポスターやカレンダーが見づらくなっている気がするのだ。

 眼鏡、コンタクト、レーシック等、視力矯正の手段に事欠かない現代においては、多少の視力低下でガタガタ言うな、と思われるかもしれない。しかし私は生まれてこの方25年、『花粉症じゃない』と『目が良い』の二本槍でもって、この荒涼としたマウンティング社会を乗り切ってきたのである。『花粉症じゃない』に比べて威力は劣るものの、季節を選ばない安定感を持つ『目が良い』は非常に頼りになる存在であった。これを欠いてしまったのでは、今後はまさに飛車角落ち、相手すら気付かぬ間にマウントを取らせ、「お前はもう乗っている!」と苦言を呈したのち勝手に爆発四散する、“ひとり北斗の拳”みたいな人生になってしまうこと請け合いである。可及的速やかに、ブルーベリーを食べる、遠くを見るなど、具体的な対策を取らなければならないだろう。

 あとは……なんだろうな。ついさっき、AAA(トリプルエー)のリーダーが逮捕されたニュースが入ってきた。テレビを持たず新聞も取っていない私のところにまで届くくらいだから、世間では結構話題になっているんじゃないだろうか。詳細を検索したところ、酒に酔って女性に「俺はAAAだ」と声をかけたら、「知らない」と返されたのでビンタしたらしい。金も痴情も絡まない、近年稀に見るシンプルな暴行事件だ。4コマ漫画でも尺が余る。

 こういう、「自分は○○だorだった」構文で他人の気を惹こうとする人は多い。というか、新学期や合コンなど、初対面の場におけるコミュニケーションの常套手段とも言える。

 この構文自体は、まったく悪くない。問題は○○の中身である。珍しさやすごさがわかりやすい肩書きであればリアクションも取りやすいが、ここが「ホスト」とか「元社長(現飲み屋の店主」とかになると、「だからなんじゃい」以外の感想が持てなくなる。「AAA」だと……ちょっと人を選ぶだろう(少なくとも私は初め「5人くらいのお笑いグループだっけ」と思った)。酒場でバイトしていた頃、この構文を使ってくるお客は男女問わず大勢いたが、私が「だからなんじゃい」以外のリアクションを返したのは半分くらいだった。いま思えば、私があのバイトで一度も殴られなかったのはちょっとした奇跡だったのかもしれない。

 この事件を踏まえて考えると、『合コンさしすせそ』には単なるモテテクだけではなく、こういった要らぬ火の粉を避けるための護身術的な側面もあることがわかる。自己防衛の一環として身に付けておいても損はないかもしれない。しかし「素人の護身術は相手を激高させる危険がある」と聞くし、もし私が突如見知らぬ男に「俺はAAAだ」と言われて、付け焼き刃の『合コンさしすせそ』を使ったとしても、「すごい!なだぎ武がいたとこですよね!?」と返して、ビンタどころか一発目から顔面にヒジをくらう可能性が高い。

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