見出し画像

えんとつ町のプペル

西野亮廣エンタメ研究所の会員になって約1年。西野亮廣を語れるほど、熟知しているわけではないし、彼のファンだと言ったら本物のファンに怒られるのではという程度なのだが、この映画は万人に進めたい。特に彼のことを気嫌う人たちに程みてほしい作品だ。

42歳今日まで、どれだけ折り合いをつけてきただろう。無理だとあきらめたことがどれだけあっただろう。空気を読んだことが何度あっただろう。「そうやって大人になっていくんだ。」と、何度自分に言い聞かせてきたか。去年舞台を観に行った時の衝撃とはまた違う、刺さる言葉がいくつもあって、自然と涙があふれてくる。この涙は後悔であり懺悔であり希望だ。

えんとつ町はまさに今の日本。教育やメディアで狭い世界に閉じ込めている。ここが世界だと、日本が素晴らしいと。世界はもっと広くて、知らないことなんて腐るほどあって、危険で悲しくて怖いことも終わらなくて。何が正義で何が正しいのかもあやふやだけど、知らなくていいことなんて一つもなくて、ここだけが平和で幸せならそれでいいわけではない。正しい情報(すでに整理された)はあふれていて、調べて知った気になっている。こどもたちもいつも正しいことを言う。少し変わったことを言えば、それは違うと正される。なんて退屈な世の中だろう。手の中でいつも大量の情報(すでに整理された)とつながっていて、瞬時に正解(とされる答え)にたどり着ける。地図だってどこでも広げられるから、冒険なんて早々できない。これが人類が求めていることだったっけ?便利で正確で無駄のない生活が理想だったかな…。

物心ついた時からアニソンが大好きで、大声で良く歌っていた。アニメは知らなくても歌だけはテープを聞いて知っていたから、よく知らずに歌だけ覚えているものが多い。よくよく調べると生まれる前のアニメだったりして、年齢をごまかしているのではと疑われることもしばしば。中学生のころ、美女と野獣をみて声優になりたいと思った。耳をすませばの主人公に嫉妬した。大学生のころまではオーディションを受けたりして、アフレコ試験に参加したこともあったけど、いつしかその夢もあきらめてしまった。私には無理だって。たいして挑戦する前から、敵の多さに現実の厳しさに、やっぱりなって。ジブリファン&ディズニーファンの私にとって、ディズニーを倒すと声高らかに言う彼を心のどこかで、馬鹿にしている節があるかもしれない。今回のプペルも1回目はラピュタに見えてしかたがなかった。こんなに近くで彼の挑戦を観ていても、ラピュタじゃんって思ってしまって、一緒に連れて行った家族の反応ばかりが気になった。思いのほか反応は良くて、なんだかホッとしたが、私はなんだか全然集中できなかったから、2回目は一人で見ようと決めていた。

画像1

シーンのところどころにラピュタがあることと、挿入歌ですっと気持ちが現実に戻ってしまう点は、2回目見てもだめだったけど、このチャレンジを応援することは自分への戒め。刺さる言葉は確かにあって、エンドロールは本当に泣けた。何といっても絵が美しくて感動したし、キャラクターも好き。ごみ=夢、命=星が間違いないし、ガラス玉のくだりもすごく好き。ロザリーナさんの声もホントまっすぐで曇っている心にぐっとくる。日本ではどうしたって敵が多いから、やっぱりこれは海外で勝負すべきだと思う。

日本はほんとつまんない世界になってしまった。そうしてきたのは私たち世代なのかもしれないとふと思う。就職活動は超氷河期、教職員試験の倍率も高く、それでも公務員がベストといわれた。団塊の世代が父親世代で、バブル崩壊後もしつこく会社に居座り続け、なかなか席は空かないし、空いたとしても雑務ばかり。生産性のない仕事に時間ばかりが奪われて、システムエラーに足を引っ張られ、システム変更に時間を取られ、何をやってるんだって社会ってこういうもんなんだって、そう思って働いてきた。でも、実際そうして無駄な時間を過ごしているうちに世界はどんどん先に行っていて、どうやら海外はすごいらしい、世界の価値観は日本の教育で習ってきたこととどうやら違うらしいとか、疑問を持ちながら不満を言いながら過ごしている。日本はすごいんだって刷り込まれて育ってきたから、40過ぎた今、ヤバいってバトン渡されてもさぁっ…てね。

画像2

でも、この映画を見て思ったのは、やっぱりチャレンジしたいってこと。命を懸けた挑戦を自分の為でなく、残される子どもたちのためにしたいと思った。もっと夢のある、楽しい世界であってほしい。ドキドキする毎日をワクワクする明日を。私にできる事があるのだとしたら、それを全力でやろうじゃないかって、そういう気持ちにさせてくれる作品って、なかなかないんじゃないかな。逆にその感じが宗教映画と揶揄される所以なのかもしれませんね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?