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11万の福袋を10分で完売させる!元AKBこじはるのブランド「Her lip to」のマーケティング戦略を分析してみた

こんにちは、りほ🥖です。

本日も中小企業診断士の受験勉強中です。
先日、講義で「市場細分化理論」について習いました。

一般的には、中小企業であればターゲットは絞るべき、と言われていますが

今回の市場細分化理論は、
「顧客を絞るのはわかったが、どのように絞るのか?」と思った時に使う、ターゲティングの理論です。

(▼顧客を絞ることによる、学習効果のメリットに関しては、以下記事にて書いています)
https://note.com/pankumariho/n/n1cff47c31b70

受験生にとってもマーケターにとってもおなじみの理論かとは思いますが、簡単に解説します。
市場細分化理論とは、以下の4つの基準に基づき顧客を細分化し、自社のターゲットとする顧客層を見極めることです。

①デモグラフィック基準(20代女性、など属性的な基準)

②ジオグラフィック基準(都内在住、など地理的な基準)

③サイコグラフィック基準(健康に拘りがあり食事に気を使っている、などの興味関心や価値観的な基準)

④行動変数基準(自社のホームページを訪れたことがある、など行動に関する基準)

この講義を聞いてる最中、私の中であるブランドが頭に浮かびました。

それが、タイトルにもある、元AKB48メンバーである小嶋陽菜さんの手掛けるアパレルブランド「Her lip to」です。

Her lip toとは

何を隠そう私も大好きなブランドで、小嶋さんの戦略にまんまとハマり毎期お金を落としております。

はいかわいい、死ぬ。

サイトをチラ見して頂くとわかるのですが、結構エッジの効いたデザインです。

背中が開いていたり肩のデザインが凝っていたりと、どの服にもこじはるエッセンスが散りばめられています。
誰にでも着られる服ではなく、小嶋陽菜を美しく見せられる服だなと感じます。

このHer lip toですが、表題の通り、2021年1月1日、ブランドとして初めて発売した11万円の福袋をものの10分で完売させました。
販売開始して秒で売り切れる服も多く、転売ヤーによってメルカリで高値で取引されていたりします。右肩上がりにファンが増えています。

しかしこのブランド、万人受けするタイプの服ではないので、知らない人も多く、買ったことある人はかなり少ないんじゃないかと思います。
(こんな感じで、ボディラインが出たり肩や背中が空いてるデザインが多い)

一方、Her lip toファンのブランドへの熱量はすさまじいです。

Her lip toへの熱を語る専用のinstagramやTwitterアカウントを持っている人も沢山おり、皆さん、小嶋さんのことを女神のように崇拝しています。(私も女神だと思っています)

その結果、小嶋さんが新商品の一部をインスタのストーリーなどで匂わせるたび、SNSでの投稿や拡散が大量発生します。

すると事前のSNSでの加熱っぷりに、
「この商品は発売時刻ぴったりに買わねば売り切れるかもしれん!」
という危機感をあおられ、ファンたちはまんまと発売と同時にWebサイトに集中し、新商品は販売を開始してから数秒で品切れになります。

さすがアイドル出身!エンターテイナーですね。
ファンは喜んで手の平で転がされています!

さて、前置きが長くなりました。

このHer lip to、マーケティング戦略がとても上手いからこそ、ここまでの人気を作ったと推察しています。
具体的には冒頭で述べた市場細分化(顧客のターゲティング)と4Pです。

モノが良いだけではなかなか売れません。
強みを活かせるターゲットに対して、
ターゲットに刺さる商品を
ターゲットにちょうど良い価格で
ふさわしいプラットフォームとチャネルで
効果的なプロモーションをする。
これができているからこそ、Her lip toは成長し続けています。

顧客のターゲティング

Her lip to のコアのターゲットは、端的に言うと小嶋さんに憧れている女子だと思います。

小嶋さんは、このブランドで「自分自身が今着たい服を作る」と言っていますので、小嶋さんみたいになりたいと思っている子がターゲットであることはおそらく間違い無いかと思います。

Herlipto aboutページ

では、
小嶋さんに憧れている女子
とはどんな人でしょうか?
もう少し解像度を上げて考えてみます。

ここで少し記憶を遡ると、小嶋さんはアイドル時代から他のメンバーとは異なる層から人気を集めていました。

それは、48グループ内の後輩メンバーからの、憧憬ともとれる人気です。
小嶋さんは、一般女子からすると高嶺の花すぎて憧れるのも恐れ多いのですが、グループ内での人気は圧倒的でした。
小嶋さんアドバイスに従ってメイクを決めたり、髪型を真似したりする子が多く
年下のアイドル美少女たちから「真似したい!小嶋さんみたいになりたい!」と言われるカリスマ的な支持を集めていました。

(余談ですが、秋元康さんが命名した小嶋さんの写真集、タイトルは「女の子の神様」だったりします。)

普通の女性ではなく、
すでに綺麗でファッションに興味もあって、もっともっと綺麗になりたい!と思うような
美容ピラミッドの上層部にいるハイクラス女子からの人気が非常に厚いのです。
これが強みだと思います。
小嶋さんの独特のセンスと、そのセンスによるハイクラス女子人気。
ターゲットはここで決まりですね。

具体的に言うと

•デモグラフィック
 20代女性•金銭的余力あり
•ジオグラフィック
 都内在住
•サイコグラフィック
 美容やファッションに敏感で、自分を磨くことが好き
•行動変数
 小嶋さんのSNSをフォローしている

ペルソナ像としては、
48グループの後輩メンバーとか
SNSのフォロワーを数千人持ってるインフルエンサー女子大生とか
大企業や外資系で働く女性とかですかね。
自由に使えるお金がちょっと多くて、おしゃれが好きで、脱毛とか美容皮膚科とかもちゃんと行ってる感じの人たちですね。(背中ガッツリ開いてますから)

この層を狙うことで、
小嶋さんの年下ハイクラス女子からのモテ力
という強みを最大限に活用できます。

さて、ターゲットが決まったら次は4Pです。

4P戦略

Price

ポイント①高めの価格設定

単価は高めです。
ワンピースが2万数千円です。コートは5万しますし、タイトルにも記載の通り福袋は11万円です。
価格の設定も素晴らしいなと思います。
ちょっと高くて良いんです。

このターゲット層は安っぽい服は着ません。
ましてや憧れの小嶋さんが作る服です。背伸びするくらい高くてちょうど良いと思います。
でも、小嶋さんより年下のせいぜい32くらいまでの女の子が出せる金額ってたかがしれています。20万のワンピースとかはちょっと手が届かないですよね。
高いけどちょっと頑張れば買える、そんな今の価格帯が、ターゲット層に最適です。

Product

ポイント①SNS映えするデザイン

上述した通りデザイン的に凝っており、背中や二の腕ががつっと出る服なので、着るシーンや着る人を選びます。
しかし、ターゲット層はSNS世代です。デザイン性が高く写真映えする服は大歓迎ですね。

ポイント②生地やシルエットへの強い拘り

小嶋さんはYoutubeなどで
・素材や生地、ボタンなどに拘って作っていることと
・ボディラインを綺麗に見せるなどシルエットに拘っていること
この辺りをよく訴求しています。安物ではなく上質、カジュアルだけでなく大人でエレガント、こんなメッセージが伝わる品です。

実際に買ってみても、肌触りもスタイルも良く見える服が多いです。ファンの期待を裏切らない品質で提供してくれることもブランドへの信頼に繋がっています。

Promotion

ポイント①SNSと口コミメインのプロモーション

基本はSNS、たまに雑誌という形で顧客と接点を持っています。メディア的にはYoutubeinstagramTwitter がメインです。
いずれも、こじはるの知名度で獲得したユーザーを自然とHer lip toに流すというような感じの設計です。いずれもHer lip toのアカウントと小嶋陽菜のアカウントは別に立てられていますが、小嶋さんがHer lip toのことを呟いたりHer lip toを着てYoutube動画に出たりするので、小嶋さんのフォロワーであればブランドの認知はしているのではないでしょうか。

広告は調査ツールで調べたら出てこなかったので、多分ですがほとんどやっていないと思います。SNSと口コミの力恐るべしですね。

ポイント②有吉の夏休みに出演
年に1~2回だけ有吉の夏休みに着用して出演して宣伝してます笑

Place

ポイント①自社チャネルのみでの販売で特別感を出す

服はどこで売っているかというと、公式のECサイトか、たまにやる東京や大阪でのPopupのみです。
ブランディング観点からも、特別感が大事なので今後もZOZOとかには出さないんじゃないかと思っています。たぶん。

ポイント②ECプラットフォームBASEの利用で決済ハードルを下げる

ECサイトではECプラットフォームのBASEを使ってます。決済でPay IDを使えるので住所登録などが都度都度発生することもなく、お買い物のハードルが下がりますね。
中小事業のECサイトは使いにくいことが多いのですが、Her lip toは少なくとも買い物完了までにサイト上で迷うことはないですね。

ちなみにサイトの中身的には、商品の仕様とかよりはブランドの世界観を大事にしています。小嶋さん以外のモデルは出てきませんし、口コミとかも掲載していません。
ターゲット層は美しい小嶋さんを見て購買意欲を駆り立てられるので個人的にはこれも正解と思っています。素人着用画像や口コミはほっといてもSNSにたくさん上がりますからね。


どうでしょうか?改めて分析してみると、4Pすべて、ターゲットでる小嶋陽菜に憧れる女子に物を売るには最適な戦略が取られているなと感じます。

通常服を売ろう!と思ったら、ZOZOTOWNに出店したり、Web広告を出したり、サイトに服の仕様を細かく記載したり、口コミを導入したりすると思います。

しかしHer lip toはそういった施策をしません。小嶋さんの知名度があるからこそできることだとも思いますが、ブランドイメージを何より大事にしている姿勢を感じ取りました。

こういった強気な姿勢を取り続けられるのは、小嶋さんが、自分の商売の客になりうる人は誰か、自分のどういったスタイルが憧れを集めるのか、これを客観的につかめているからこそだなと思います。

エンターテイナー小嶋陽菜が好きな服を作り、世間に迎合せずに個性を貫いてくれることを続けてくれれば、きっと人気はまだまだ右肩上がりなんではないかと思います。

今後の事業の展開を予測


ついでに診断士の勉強っぽく、今後もし事業を大きくしていくのであればどうするべきかを考えてみました。
予測というよりは希望も入っています!!

①製品のカテゴリの拡大
確実に成功出来るのはブランド拡張(Her lip toで今まで販売していないカテゴリの製品を作っていくこと)です。
コスメ(リップやアイシャドウ)とか。あとは布繋がりでタオルとか、ベッドリネンとか、あるいはカーテンとか…??なんでも売れそうな気がする🤣

または小嶋さんが常々やりたい言っているサブスクですかね。
私はmy little boxみたいなものをやったら売れると思います。小嶋さんの好きな海外コスメとか美容アイテム、Her lip toのグッズを4〜5点入れたボックスを季節に一度届けるサービス。強みである小嶋さんの最新のセンスに触れられるサービスなので、ターゲット層に刺さるんじゃないかと思います。私が欲しい🐻

②マルチブランド(Her lip to以外のブランドを立ち上げる)

服作りやマーケティングのノウハウを活かしつつ、小嶋陽菜のカラーを抑えた新たなブランドを立ち上げる、なんていうのも良いかもしれません。

Her lip toに小嶋さん色が強すぎるのは最大の強みでありつつ、見方を変えると弱みでもあります。
もし小嶋さんや周辺の人になにか悪いイメージを持たれたら多分一緒にherliptoのイメージも落ちる可能性があります。(コントロールが難しいテレビにほとんど出ないのも、そのあたりのリスク管理なのかもしれないですね。)
小嶋さん以外の人をモデルに立てるようなセカンドラインがあると、リスクヘッジになって良いかもしれません。(失敗リスクも高いのでもう少し先かな…??)

個人的にはサブスクをやってほしいな!絶対買っちゃう👼❤️

途中、キーボードを叩く手が止まらなくてただのオタクになってしまいましたが
結論、小嶋さんはすごいという話です。
正直それがすこしでも多くの人に伝わればという思いもあり書きました。
わたしはハイクラス女子枠ではなく48オタクからのスタートなので小嶋さんのターゲットとは異なると思いますが。追いかけてるのとても楽しいしワクワクします。

最近は小嶋さんだけでなくゆうこすやアカリンと、元アイドルのメンバー達がビジネスの世界で羽ばたいているのを見て、なんだかとても嬉しい気持ちです。
若く輝かしい時期に一生懸命アイドルやったのに、社会に出たら活かせるスキルがなくて仕事がない、なんてなってしまったらほんとに悲しくてしょうがないもの。
そういう意味でも、小嶋さんとHer lip toにはこれからも頑張って欲しいし応援しています。

今後のHer lip toの展開が楽しみです!

おまけ

なにを隠そう私も発売と同時にサイトに入って11万円の福袋を買いました。かわいいです。似合うかなんて知りません。かわいい推しが出すかわいいものはいくらだろうと買う。それがオタクです。

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