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良い子から悪い子

僕は学級員長。クラスの模範となってみんなを引っ張っていきます。

先生は、よく遅刻して授業も聞かないあっさんを褒めます。どんな内容で褒めるのかと言うと学校に来ただけで褒めるのです。

僕なんか、無遅刻無欠勤無早退で、誰よりも早く来て先生と一緒に朝の挨拶で校門に立ちます。

でも誰も褒めてはくれません。それが当然なのだと思われているのでしょう。

悪い子はいいな。ゴミを拾ってゴミ箱に捨てるのを見られただけで噂になっている。本当は気の優しい良い人なんだって。

僕なんていつでもゴミはゴミ箱に入れている。投げて外した時は、学級員長がポイ捨てしてるって言われて言い訳も出来なかった。本当にポイ捨てしてる人は何も言われないのに、良い子で損したなぁ。

そうだ。一度悪い子になって良い事をしたら褒められるに違いない。

でも、悪い子ってどうしたらなれるんだろう?
お母さんに朝の挨拶はしない。と言ってもおはようは勝手に出ちゃうし。
顔を洗わない。歯を磨かない。トイレに行っても手を洗わない。みんな汚いから嫌だな。朝食を食べないのは元気が出ないし。ポチの散歩に行かないのはポチがかわいそうだし。

そうだ。遅刻してみよう。遅刻したら悪い子になれるぞ。それから遅刻しなかったら褒められるんだ。

でも、どうしたら遅刻できるんだろう?と考えながら歩いていたら学校にいつも通りついちゃった。遅刻もできない。

それなら次は「おはよう」は言わない悪い子になろう。

「おはよう」「おはよう」「おはよう」だめだ。どうしても元気に「おはよう」と言ってしまう。

「委員長、今日も元気で頑張ってるね」

褒められないけどいつも通りにするのが楽だな。悪い子になるのは大変だ。