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亜無亜危異

アナーキーがデビューし、新宿ロフトで大暴れしていた時代を経たある日、ベースの寺岡が腕を骨折したという話が飛び込んできた。
先の毛帽子ではないが、相手の迷惑も顧みず、すぐに行動に移してしまうこの性格。なんとかしたいものだとわかっているのだが、その時も、ベーシスト出身の血が騒ぎ、よし、オレが寺岡の代わりにベースを弾くと親切の押し売りのような勢い。
もはやアナーキーも断れず、自分はといえば、パンクのベースを弾くのならと、ブライアン・セッツァーばりにロカビリーにハマっていた息子のバリバリにトゲの生えたリストバンドをつけ、意気揚々と「ノット・サティスファイド」他をこなしステージ袖へ戻ると、茂から、
「PANTA、そのトゲの生えたリストバンドはメタルのスタイルで、パンクは丸い鋲なんだけど」
と苦言を呈された。
サイコビリーやスラッシュメタル、いやいやなかなかにジャンルの壁は難しい(笑)。

写真/森下友加利

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