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快勝の裏にあるボールポゼッションの課題 第10節 讃岐対鹿児島

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは、仙太郎です。

https://youtu.be/7fcXdXvfQKk

2連勝で迎える四国遠征二連戦。
先発メンバーは前節と同じで、このあたりは予想通りです。

前節と同じスタメン

それでは得点シーンを中心に試合を振り返りましょう。

先制点は開始わずか4分で訪れます。左サイドでボールを受けた米澤選手が、すかさずアーリークロスを送ります。この時、ゴール前では有田選手1人に対して讃岐のCB2人の1対2の数的不利な状況でした。ところがこのアーリークロスに讃岐の選手が対応しますが空振り。有田選手が一度ゴールから離れるようにトラップして、振り向きざまにシュートして鹿児島が先制します。

米澤選手のクロスに対して、相手CBを振り切ってフリーになる有田選手

この時、讃岐の選手は確かに空振りしているのですが、走りながら中途半端なバウンドのボールを蹴るのは結構難しいです。そして有田選手のシュートは見事としか言えないですね。ボールを一度ゴールから遠い位置にトラップしています。マークしている讃岐のCBは当然、ゴール前を守るので、マークが外れます。それを振り向きざまのシュートです。

GKは普通、相手がシュートを打つタイミングを予測して準備しますから、あの位置からボールを止めないでシュート打つことは予想しにくいですから、反応も遅れます。もし有田選手がボールを止めて振り向いたら、その間にGKは準備できますし、CBも寄せる時間ができたでしょう。その隙を与えずにシュートした有田選手のプレーはCFWを感じさせる見事なプレーでした。でもあの体制から逆サイドのサイドネットへ突き刺すような強いシュートはなかなか打てません。有田選手の高い身体能力を見せられました。

この得点シーンで一番重要なのは、ここには書かれていません。この得点でキーとなったプレーは、その前の薩川選手のプレーになります。この得点は相手GKからのゴールキックから始まっているのですが、ロングキックが蹴られて競り合いながらボールはサイドラインを超えようとしていました。しかしそのボールに対して薩川選手が素早く反応して、ヘディングで米澤選手につないだところからゴールが生まれました。この時、ボールが出ると予測した選手もいたでしょうから、そこからボールをつなげられると反応も遅くなります。地味ですが、素晴らしい薩川選手のプレーだったと思います。アシスト0.5くらいは上げたいですよね。

二点目は先制点からすぐの前半10分、米澤選手が左45度からカーブして巻いたシュートからのゴールでした。これは米澤選手が得意なプレーですよね。この左45度は令衣ゾーンと名付けてもいいかもしれません。この時、相手のDFは2人米澤選手についていたのですが、前にいた選手が米澤選手が切り返したときに転んでしまい、一瞬マークが外れます。本来、その転んだ選手は中のスペースを守る選手なので、中のスペースが空いています。そこに米澤選手はボールを持ち込んで、GKの位置を確認して右のサイドネットに尽きました。もっとも米澤選手が得意とするシュートです。

讃岐のDFがサイドの米澤選手に2人マークしたので中のスペースが空き、米澤選手が狙いすましてシュート

この時、米澤選手のプレーも素晴らしかったのですが、この得点のキープレーもまた別のところにありました。この得点シーンは相手がファールした鹿児島のフリーキックから始まっているのですが、フリーキックになった瞬間に、木村選手が左サイドで待つ米澤選手にロングパスを出します。

フリーキックになったときに、短いパスですぐにプレーを始めるのはよく見かけますが、長いパスを出すのはなかなか見る事ができません。これは木村選手の視野の広さ、プレービジョン、そしてぴたっと米澤選手に合わせられるキックの技術、その全てが合わさって見られた見事なプレーでした。

これで前半早々に2点リードします。

渡邊選手を後ろから押す讃岐の23番吉井選手。ディフェンスが2対1で有利な状況なので、そこまで無理しなくてもよかったかもしれません

渡邊選手を後ろから押す讃岐の23番吉井選手。ディフェンスが2対1で有利な状況なので、そこまで無理しなくてもよかったかもしれません

前半36分には、渡邊選手がPKをもらいます。これ相手選手は肩でショルダーチャージに行っていますが、渡邊選手が一瞬前に入り結果的に後ろから押す形になりPKとなりました。ジャッジは正しかったと思いますが、なかなかJ3だとこのようなプレーだとPK取られないことが多いので、鹿児島に取っては良かったと思います。

そして後半開始早々12分、鹿児島が決定的な追加点を奪います。右サイドから渡邊選手がファーサイドをめがけてセンタリングします。左には米澤選手が詰めていて、それをダイレクトで中に折り返し、それをロメロ・フランク選手が胸トラップして、詰めてくる相手を浮き球でかわしてシュートします。

讃岐の10番 川崎選手が中に詰めすぎて、米澤選手をフリーにしている。中にいる有田選手、ロメロ・フランク選手もフリーの状態で待っている素晴らしいポジショニング

センタリングを相手の右サイドの川崎選手が中に詰めてしまい、ボールに触れなかったのと、相手GKがロメロ・フランク選手がシュートの時にきちんと準備ができていなかったことで生まれた追加点でした。

これで試合の勝敗はほぼ決まりました。あとは鹿児島がきっちりとポゼッションして、試合を終わらせるかが焦点でいた。それでいうとまだまだ道半ばという感じです。白坂選手がロングボールを蹴る場面も目立ちましたし、ビルドアップの局面でボールロストする場面もありました。4点リードしているのですから、もう少し落ち着いてプレーしたいですよね。

本来、リードした後半は鹿児島がボールを持つ時間を長くしたいのですが、後半はボール保持率が50%を割り込み、時間帯によっては30%台の時もありました。これはリードしているチームの理想的な展開とは言いづらいです。リードした後も失点を怖がるのではなく、勇気を持ってボールポゼッションをしていただきたいと思いますし、それができる選手が鹿児島には揃っていると思います。

ただ讃岐はコロナウィルス感染者が出た影響か、ベストメンバーが組めていなかったようですし、守備の強度もあまり強くなく、攻撃もボールをつなぐのか、ロングボールで攻めるのか統一されていなくて、攻撃も散発的だったので失点はありませんでした。

いつも4点も取れるわけではないので、やはりこのリードした後の攻撃については課題が残りました。リードした後の守りは、選手個人個人の頑張りに頼っている部分が多く、今後暑くなってくると厳しくなってくると思われます。

これで黒星のあとは3連勝で首位をキープしています。3試合で1失点という固い守備がこの連勝を支えているのは間違いありませんが、もう少し攻撃時のプレーの緩急ができれば、もっと良くなると思います。その意味では中原選手と木村選手の存在はとても大きいと思います。

それでは次の試合でお会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

PS
天皇杯は長崎に0-1で敗れました。試合は見られなかったのですが、いつもと違うメンバー同士でプレーするのは結構難しいです。試合をこなしながらコンビネーションを積み上げていく必要があるのですが、天皇杯だとなかなか難しいですよね。今のリーグ戦のメンバーも開幕当初はギクシャクしていましたが、試合を重ねるにつれコンビネーションが向上してきました。結果は残念でしたが、これでリーグ戦に集中して戦うことができます。まだまだ長いシーズンが続きますが、なんとか好調を維持して欲しいですね。

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