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鹿児島に岡本將成あり 2022年 第2節 鹿児島対八戸

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは、仙太郎です。

先発のメンバーは、右のSBが星選手に代わり渡邊選手のみが変更点で、他は先週と同じです。監督が概ねこれが現時点でのベストメンバーだと考えていることがわかります。

先週と一人以外は変更のないスタメン

今週も試合開始の早い時間(14分)に失点をします。コーナーキックからのこぼれ球をダイレクトシュートされてしまいます。このシュート自体はすごいシュートだったので致し方ないとは思います。

ただ下の図を見ていただければわかるように、今シーズンの鹿児島はCKの時にゾーンで守っています。それはいいのですが、ゴール前のスペースを消そうと人数(7人プラス3人、つまり11人全員がPA内にいる)を掛けて過ぎているので、結果的にゴール前以外のところに鹿児島の選手が足りなくなります。このシュートもひとりボールに行こうとはしているのですが、間に合わず決められてしまいました。ゴール前には5人もいれば十分だと思うんですけどね。そうすれば二人余るので、その選手をPAの線上におけば、こぼれ球に対処が可能になります。

PA内に全選手がいるのでPAの外のボールには対応が遅れて失点

この試合、鹿児島の戦術に変化が見られました。それはロングボールを多用したことです。先週のブログでも指摘したように先週はショートパスを使う鹿児島に対していわきは前からプレスを掛けてきました。当然、今週の八戸も前からプレスを掛けようとしたのですが、今週の鹿児島は早い段階でロングボールを蹴っていました。鹿児島の最初のプレーがロングボールだったので、これは明らかに監督の指示により戦術を変更したと考えられます。

ただ鹿児島のロングボールは鹿児島のCFと相手CBが競り合うようなボールだったので、私が意図したとのは少し違いました。私はどちらかというと自陣から、相手DFラインの裏を取るようなロングパスがあった方がいいのではと提案させていただきました。ただし、この日のロングボールは効果的だったと思います。

そのため八戸はその後、前からプレスを掛けられなくなり鹿児島はショートパスでボールを前進することができるようになりました。鹿児島のCB二人は相手FW一人のプレスをかわして安定的にボールを保持できていました。こうなると鹿児島のペースになります。

この距離からボール奪える米澤選手のスピードは半端ないです。ロメロ・フランク選手の方が近いんですけどねww

鹿児島の同点弾は米澤選手になります。この時、相手ボールでDFラインでボールを回してたんですけど、相手CBから出たパスが少し遅かったんですね。そこを見逃さなかった米澤選手は素早く寄せて、ボールを奪うとそのまま持ち込みシュートしてゴールします。ちなみに先週、白坂選手の失点場面でも指摘しましたが、このGKもセットしたときに脚を開きすぎる癖があり、股の間からゴールを決められてしまいました。

このシーン、相手のDFも驚いたと思います。上の写真を見ていただくとわかるのですが、相手CBがボールを出すときに米澤選手はこんなに離れています。そこからパスが遅いと判断すると米澤選手は急加速してボール奪ってしまってゴールします。

これボールを奪われた選手の体の向きが悪くてボールを奪われましたことも要因としてはあります。この選手が体を完全に前を向いた状態でバックステップしていれば、米澤選手が来るのを認知できて対処できたと思いますが。この選手は米澤選手に背を向いてボールを受けようとしたので、米澤選手が来ているのを認知したのはボールを取られる直前だったと思います。

それがあったとしても米澤選手のスピードはほんと半端ないです。J3でもトップクラスです。この時も追いすがる相手CBを振り切って決めました。決定力もありますから、ほんと頼もしい限りです。相手カウンターの場面でも全力で戻って防いでくれます。

後半は逆に八戸がボールを持つ時間が長くなったので、鹿児島のカウンターのシーンが多くあり、チャンスを作れたのですが、決められません。

そんな後半76分、決勝点が生まれます。まずは左SBの薩川選手がアーリークロスを送ります。この時、相手DF三人と鹿児島の選手三人がマンツーマンになっています。本来、薩川選手は相手DFとGKの間にクロスを入れたかったのだと思いますが、ボールはやや後ろに入ります。鹿児島の選手が裏を取る動きをしたことで、相手DFラインが下がり、その前にスペースが生まれました。そこでボールを受けたロメロ・フランク選手が一度キックフェイントを入れて、相手DFを動かしてシュートコースを作ってシュートしてゴールします。シュートの前に山本選手とスイッチするような動きが、相手DFを更に混乱させたこともあります。

赤い点線が多分薩川選手が意図したボールの軌道。赤の実線が実際のボールの軌道。鹿児島の三人が縦に走るので、必然的に相手のDFも下がらざるを得ない

ロメロ・フランク選手は体も大ききいので、CFとして起用してもおもしろいと思います。彼ならば下がって来てビルドアップに絡むことも可能でしょうし、ヘディングも強そうです。実際に鹿児島が相手ゴールに近づくとロメロ・フランク選手がCFの位置まで上がりツートップのようになり、空いたスペースに中原選手が入ってくる場面が何回もありました。

鹿児島が裏を狙って空いたスペース(赤い丸線)を利用して、ロメロ・フランク選手が反転してシュート

逆転勝ちしたとは言え、2得点はふたりの個人技の部分が多いので素直には喜べないです。ただ新加入選手が11人中7人もいれば、戦術理解やコンビネーション面で時間がかかるのは仕方ありません。そこは監督と時間が解決してくれると信じたいですね。

▽鹿児島補強の最大の発見 岡本 將成

先週もお話ししましたが、岡本 將成選手はとてもいいですね。ここからいかに地味なCBの岡本選手が素晴らしいか熱く語らせていただきますww。

CBがドリブルで持ち上がるスキルは、鹿児島のようにショートパスを多用してボールを前進させるチームには必要不可欠です。これは一見すると簡単にドリブルしているようにしか見えないのですが、実は顔を上げて周りを見ながらドリブルしているので、結構難しいです。ほんの少しでもドリブルが大きくなれば、ボールを失います。

なのでもう一人のCBである藤原選手は時々しか、ボールを持ち上がらないのがわかると思います(これは広瀬選手がダメだと行っているわけではありません。あくまでも個性が違うと言いたいわけです)。当然、CBがドリブルしてボールを失えば、即決定的なピンチなので失敗すればリスクの大きいプレーになります。それを苦もなくプレーする岡本選手のスキルの高さと戦術的な判断の確かさは素晴らしいと思います。CBのプレーは、普段それほどクローズアップされないのですが、鹿児島のようにボールをつないでゲームを組み立てていくチームにはボールを持てるCBは必要不可欠な存在です。

あと岡本選手の守備時の判断や戦術理解力も高いですね。それを垣間見えたのが得点にCKにつながる前のシーンになります。八戸が後ろに落としたボールをダイレクトで鹿児島DFラインのラインに浮き球でパスを出されて完全に裏を取られたシーンになります。最初、岡本選手は相手FWの右側からアプローチしています(写真①)。これは彼が左のCBだからです。相手FWは鹿児島の二人のCBの間から裏に抜けています。ただ右からアプローチしていた岡本選手はペナルティエリアの手前では相手FWの左側にいます(写真②)。

写真① 相手の右側から追いかけてる岡本選手
写真② 左側に移動し、相手選手と並んだ岡本選手
写真③ そしてボールをクリアする岡本選手

この理由は守備の大原則のひとつにディフェンスに行くときは必ず自分のゴール側からアプローチすべしと言うものがあります。つまり岡本選手はその守備の大原則を理解して実行していることになります。これ書くと当たり前じゃんと思われるかもしれませんが、通常こういう場合、ほとんどのCBは相手FWの右側からアプローチに行きます(それか後ろから追ってしまいますが後ろから追う限り永遠にボールには触れません)。

理由はその方がボールへの距離が近いからです。岡本選手みたいに、右側にいたのに左側にいくとそれだけ走る距離が長くなりますから、追いつけなくなる可能性が高くなります。だから右側からボールにアプローチに行くのですが、岡本選手は相手選手に前に入られると素早く方向を変えて相手とゴールに間に入りクリアしています。長い距離を走っても追いつけると言うことは岡本選手にはスピードがあると言うことにもなります。恐らくウェズレー選手だったら間に合っていないと思います。

ボールを保持して前進する鹿児島のようなプレースタイルだと、必然的にDFラインの裏に大きなスペースが生まれます。この時のように、その裏のスペースにボールを出されると決定的なピンチになるのですが、それを防ぐにはCBのスピードが必要になります。ただ攻撃の選手にスピードのある選手は多いですが、スピードのあるCBとなると世界的に見ても数は少ないですよね。富安選手はその数少ないCBの一人ですけども。

あと技術があるので相手FWからプレスを掛けられても、簡単に前にボールを蹴らないのもいいですね。うまく体を入れてボールを奪われない技術も素晴らしいです。自陣ゴール前でCBがボールをキープするのは勇気がいります。なぜならボール取られたら即失点ですし、CBが間抜けに見えます。

この岡本選手の獲得(レンタル移籍ですが)は今年の鹿児島の補強の中で最高の選択だと思います。それくらいいい選手だと思います。今後の活躍が楽しみでしかありません。恐らく彼がアシストすることは、ほとんどないと思いますし、(セットプレーを除いては)得点を決める機会も少ないと思いますが、彼のプレーに注目して欲しいと思います。

それではまた来週お会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」


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