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「正しさ」とは、何か?

 大阪で劇場のような場所をお借りして「正しいものを正しくつくる」を上映してきた。100%人力による、映像のお届け。ちなみに大阪は私の故郷にあたり、「カイゼン・ジャーニー」に続き、この地にこうして凱旋できたのは嬉しい限り。

 この1ヶ月、話してきた青い本にまつわる内容をリミックスしたもの。いつも時間がなくて追い立てられるように話をしてしまうのだが、今回は十分に時間があった。1時間、話したいことを話させてもらった。

 必ずといっていい確率で質問にあがるのが「正しさとは何ですか」というもの。聞いてみたいという気持ちはわかるものの、この問いを他者に投げかけることや他者から(その人にとっての)回答をもらうことに、何の意味もないというのが青い本の主旨である。自分、またはチームで、自分たちの思考や行動に誤りがないか立ち返るために問う。

 つまり、「正しくある」とは、自分たちの物事への向き合い方を見つめ直し、より良くなるための切り口を考え、そうあろうとする姿勢のことだ。取っている思考や行動に誤りがあるかもしれない、もっとより良い方法があるかもしれない、そうしたことに自分たち自身で気づくための問いになる。ゆえに、この問いに向き合うためにあたっては、複数の視点(視座)があるほど捉えられてなかった領域が見えるようになる確度が高まる。

 実際には、自身の文脈でこの言葉に向き合う。プロダクト開発であれば、「正しいものを正しくつくる」とは、プロダクトを利用する人にとっての必要なものを効率的にまたは効果的につくれているのか、という問いになる。プロダクトづくりに正解はない、そう、だからこそ、それを踏まえて自分たちは何をするのか?「正解はない」その言葉の後に続く思考と行動こそ、つくり手に期待される専門性といえる。

 そう捉えると、その問いを他者に向けるものではないということもわかる。それについて考え、答えるのは自分たち自身だ。

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