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パーソルさんとの「正しいものを正しくつくる」対話。

 「カイゼン・ジャーニー」で主人公の江島が石神さんを自分の会社に呼んで、集まってきた同じ会社の人たちの前で話をしてもらう場面がある。これは私自身がその昔、江島の立場で実際に経験したこと。こうした場作りが組織の中でのハンガーフライトになる一歩になる。昨夜はさしずめ私が石神さんで、パーソルの中の人が江島ということになる。

 パーソルの方に現場お招きの声をかけてもらったのは夏のデブサミでのことだった。そこで私はプロダクトオーナー2.0という短い話をした。これが縁で、「正しいものを正しくつくる」をテーマとした組織内勉強会の企画が立ち上がった次第だ。うかがってみると30-40名ほどの方々が集まっていた。こうした場には珍しくプロダクトオーナー陣が中心だったようだ。まずは私からこれをベースにしたお話を差し上げる。

 リアルな現場の息遣いを感じると、楽しくなってくる。つい1時間近くも話し続けた。その後は、パーソルPO陣営からのライトニングトークス...というにはトークの部分があまりに少ない、実質相談会の時間。さすがにプロダクトづくりの最前線で切った張ったしているPOの皆さん。どの質問、相談も、リアリティたっぷりで(それはそうだ)、答え甲斐がある。

 チームとPOのミッション違いをどう整えていくべきか?複数のチームの間でどうやってこぼれ球を拾う雰囲気をつくっていくか?仮説検証はいつどこまでやるべきか?数百まで滞留してしまったプロダクトバックログをどうするか?などなど。サッポロの後押しも手伝って、ここでもかなりの時間を使って対話した。

 その後も、開発チームを含めた全体からの質問、さらにその場で延長戦的な座談会。たっぷり3時間以上、実に楽しいひとときを過ごさせてもらった。サイバーエージェントとの対話もそうだったが、自分の書籍や私のメインテーマの一つである「仮説検証型アジャイル開発」で対話するのは実に心地よい。皆さんに感謝される一方で、むしろ私のほうが皆さんに感謝したい思いなのだ

 現場で苦闘するプロダクトオーナーのイマココの状況はよく分かる。援軍の来ないことが分かっている前線で、「それも私が答えないといけないの?」ようなことも受け止めて、それでもプロダクトづくりを通じてユーザーと向き合う。そういう状況で、誰かが少しでも力になってくれたら、分かってくれたら、どれほど気持ちが支えられることか。

 だから、私はプロダクトづくりや組織の中の境界で佇む人たちを後押ししたいとも思うし、時に勇気を奮い起こし時におっかなびっくり越境しようとしている人たちのことが好きなのだ。こういう人たちの越境が、少しずつ日本のプロダクトづくりを変えていく。

 こうした場作りは打ち上げ花火のように終わらせるのは勿体無い。お互いの問題意識と次に臨んでいくことも分かった。次に取り組むことは必ずしも上手くいくとは限らない。ただ、今までとは異なる学びを得ることにはなる。その学びを繋がった現場で互いに分かち合い、それぞれの次にまた繋げていく。その繰り返しがハンガーフライトという希望なのだ。

 23時回ろうとしているのに、まだプロダクトオーナーたちの議論は終わりそうにない。その様子を眺めながら、私は首謀者に言った。

「次の場作りするのは、もう一人ではありませんね。」


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