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終わらせるための「マネジメント」は、2回ある。

 「ある時期までに、アウトプットを一定のところまで仕上げたい」という期待のもと、チームで仕事をしているとする。チームメンバーはそれぞれの役割を果たして、アウトプットを協力しながら形づくっていく。

 そのアウトプットが、何らかのプロダクトとなれば、複雑な協同が必要になる。「ある時期までに」「一定」に達するために、必要な情報のやりとりを行い、問題の発生を予測したり、立ちふさがる障害を乗り越え、着実に必要なアウトプットを重ねる。同時並行でやるべきことが発生したり、倒されたり。

 こうした共同作業で、「マネジメント」という機能に求められるのは、状況の俯瞰と詳細への踏み込みを行きつ戻りつしつつ、情報の流れと、問題の予測と、障害の始末を継続的に追いかけることだ。それをアウトプットが仕上がるまで繰り返し、繰り返す。

 マネジメントという機能が必要になるのは、詳細と俯瞰の間で偏りが生まれやすく、そこが境界になりやすいからだ。詳細と俯瞰、この「視点の分担」をチームのフォーメーションで乗り越えようというのは、一つの作戦だ。

 フォーメーション的にマネジメントを役割として担う、あるいは時期的に担うのであれば、一つ心に留めておきたい指針がある。それは、タスクに向き合うための指針で、2段階ある。

 まず第一に、自分の目の前から、自分がやらなければならないタスクを一旦無くすこと。おそらく、誰も担い手が居ないがやらなければいけないタスクが目の前にゴロゴロしているはずだ。「ある時期までに」「一定の」の期待に真摯に応えようと思う人ほど、そんなタスクを自分の手許に引き寄せているだろう。

 これを一旦、ゼロにするところから始める。ゼロにするために、やらないことに寄せたり、メンバーの余力を借りたり、チームの外の力を招き入れたりと、あらゆる手段を取る。

 マネジメント機能とは、チームが気づけていないことに先まわりすることが本分だ。その機能が自分の手許で手一杯で、チームの先を捉えられていないとしたら、機能を果たせていないことになる。だから、まず、本来の機能を成り立たせること。

 そして、その次にやることは、もちろん、チームの目の前からやらなければならないタスクを片付けていくことだ。間違っても、チームの目の前にタスクを積み続けることではない。こうした動きを取るために、まず自分が動けるようにならないといけないというわけだ。順番を間違えるとカオスから抜け出せない。

 「ある時期までに」「一定の」の期待に応えるためには「終わらせる力」が不可欠だ。その本体は、チームのアウトプットする力だ。一方、マネジメント機能は、そのアウトプット力が存分に奮うように寄り添う、もう一つの「終わらせる力」と言える。

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