オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの違い

とある朝。小学3年生の男の子とパパはテニスの試合にのぞんでいた。この日のためにキツいトレーニングと調整を続けてきた。試合前の両選手の仕上がりはバッチリ。ベストコンディションだ。テーブルを挟み闘志をぶつけ合う二人。

パパは蒼天の空に向かってボールを放り投げ、強烈なサーブを打った。男の子からはパパの予想を超える強烈なバックハンドショットが放たれる。男の子の得意技だ。パパは1歩も動けない。まさに電光石火、見事にリターンエースを取られてしまった。

別の日の試合。

ゲームは一進一退。互いに譲らず、白熱したゲームが展開される。パパがドロップショットを放つと男の子はロブで返す。すかさずネットプレーに移行する男の子。緩急を付けた激しいボレーそしてスマッシュの応酬。1ゲームでのラリーは実に11回にも及んだ。試合後、健闘を称えあい熱い握手を交わす二人。そこにはもう会話は必要なかった。

とある朝の会話(パターンA)

パパ「今日は学校で何があるの?」

男の子「えー、わかんない。」

パパ「…」

別の日の朝の会話(パターンB)

パパ「今日の1時間目は何の授業があるの?」

男の子「プールだよ。でもね、今日はきっと中止だよ。」

パパ「どうして?」

男の子「天気予報で20度って言ってたから。」

パパ「気温が低いとプール中止になるの?」

男の子「そうだよ。水温24度以下だと中止だよ。」

パパ「水温24度だとプール冷たいよね。」

男の子「そうだよ。地獄のシャワーもあるし。」

パパ「なにそれ?」

男の子「寒い日の(プールに入る前に浴びる)シャワーは冷たいってこと。」

パパ「プールが中止になったら何があるの?」

男の子「授業だよ。」

パパ「国語とか?」

男の子「そう。体育のときもあるけどね。体育だとうれしいな。」

パパ「体育好きなの?」

男の子「うん。でも、一番好きなのは図工かな。次に休み時間。」

パパ「給食は?」

男の子「嫌いなのでるときあるし…ゴーヤチャンプルとか。」

パパ「ゴーヤ苦いもんね。」

男の子「そう。でも苦いのが好きな子もいるよ。」

パパ「そうなんだ。苦いのは体にいいからね。残さず食べるんだよ。」

男の子「はーい。」

考察

とある朝、パターンAではいったい何が起きたのか?なぜ男の子は強烈なリターンエースを放ったのか?

オープンクエスチョンとは、会話術の一つです。 二者択一で解答できる質問を避け、自由に発言できる聞き方をします。 反対に、AかB のどちらかを選択させるような回答範囲を限定する聞き方は、クローズドクエスチョンと呼ばれます。

https://biz-shinri.com/dictionary/open-question

パターンAはオープンクエスチョン。男の子の気持ちを代弁してみよう。

パパ「今日は学校で何があるの?」

男の子「えー、」

え?なに?今日?学校?

今日ってまるまる1日?まさか!?

1時間目は体育でプールだし、2時間目は算数だったかな?いや、国語だったかもしれない。もぉ、そんなのいちいち覚えてないよ。

そのあとは中休みだし。あ、そうだ。今日はドッヂボールしようねって昨日お友達と約束したんだった。楽しみだな。

あ、そういえば、朝ラジオで今日は寒くなるって言ってたなぁ。気温はたしか20度だっけ?あれ?そしたらプールは中止になっちゃうな。水着どうしよっかな?今日は持って行かなくていいや。

放課後は学童でみんなと遊べるから楽しみだな。今日はおやつも出るし、読書の時間は大好きなコナン君のマンガの続きを読もうっと。

あれ?なんだっけ?お父さんがぼくに何か聞いてきたような?えーーーーーと、

男の子「わかんない。」

パパ「…」

パパも男の子も不機嫌になって最悪な1日のスタートだ。

パターンBはクローズドクエスチョン。男の子は会話の糸口がつかめると堰を切ったように話し出した。

パパも男の子も晴れ晴れとした気持ちで会社へ、そして学校へと出かけていく。なんて素晴らしい1日のスタートだ。

まとめ

男の子にはオープンクエスチョンは控えよう。最悪な1日のスタートだ。

クローズドクエスチョンにはこんなにいいことが待っている。

・男の子と朝から喧嘩にならないので気持ちのいい1日をスタートできる

・男の子の学校の様子がわかる

・男の子が好きな教科がわかる

・男の子が好きな(嫌いな)食べものがわかる

・男の子が朝からラジオを聞いていることに感心する

・男の子が体育のことを「たいいく」としっかり発音することがわかる(パパは「たいく」と言っていた)

・男の子がプールのシャワーのことを地獄のシャワーと呼んでいることがわかる

男の子との朝の会話はクローズドクエスチョンから始めよう。

(男の子にテニスの経験はありません。)



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