子どもの便秘

ある日の夜間救急外来に

下痢がないのに、夕食後から急に何度も嘔吐している男の子がきました叫び

顔色不良で、うずくまり

お腹をさわると痛がり、下腹部に便のかたまりらしきものを触れました

レントゲンを撮影すると、お腹の中にはガスや便がたくさん

「便秘ですね。下から出ないので、上にあがってきましたね」

浣腸をして大量に排便し、吐き気腹痛もなくなり

元気に飛び跳ねて帰って行きましたニコニコ

男の子をつれてきたお母さんは

「便秘くらいで、すいません。。。」

なんだかバツが悪そうなご様子でした

子供の便秘は小児科ではとてもポピュラーな症状です。

でも上に示した1例のように、

「便秘くらいで。。。」という人もいて

「疾患」と考えられていない傾向にあるように思います。

普段の外来でも便秘がメインの相談は実は少なくて、

風邪などの受診のついでに質問されることのほうが多いかもしれません

でも、例のように救急受診の原因となることもあるし、

本人にとってとてもつらい症状ですので、

コントロールしてあげる必要があると思います。

では、子どもたちはどうして便秘になるのでしょうか?

便秘は大きく分けて器質的便秘と、機能性便秘があります

器質性便秘は何らかの病気をベースにした便秘で、比較的まれです

機能性便秘が95%で、何らかの病気をベースにしないものです

今回はこちら、機能性便秘をテーマに記事を書きます

機能性便秘はつまり、排便機能の問題で

・乳児は肛門から便を出す機能が未熟である

・年齢があがると排便を意識的に我慢してしまう

・食事の影響で便が硬くなり排便しにくくなる

といったことが挙げられます。

慢性的に便秘が続く場合

便がたまることで、より排便しにくくなり、(年長児であれば)排便を我慢して

さらに便がたまり・・・という悪循環、便秘スパイラルに陥ります(注:正式な用語ではありません)

便秘のために腹痛を起こしている場合などはまず、この悪循環を断つことから始めます

つまり浣腸をして排便することで一旦リセットするのです

でも

浣腸は便秘スパイラルから抜け出す手段であって、一時的な意味合いしかありません

本当の便秘治療は実はこれからです

今後便秘スパイラルに陥ることのないよう対策を立てるのです

つまりは

乳児で排便機能が未熟であれば、排便しやすいように

便を柔らかくして排便しやすくするとか

年長児で排便を意識的に我慢しているなら、その原因を考え取り除くことです

よく、浣腸はくせになるといいますが、ちょっと違います

問題は、浣腸をして一時的に排便しても便秘スパイラルに陥る原因に対する対策をしなければ

浣腸でしか排便できない状況が続くということです

つまり、浣腸がくせになるのではなく、便秘スパイラルがくせになっているのです

ですので浣腸をして排便をしたあとは

食事療法や生活習慣、薬物療法で便秘スパイラルに陥らない対策をしなければいけません

まずは食事療法ですが一般的に言われるように>食物繊維の摂取が重要です

便秘の患者さんを調べると、明らかに食物繊維の摂取が少ないですが

食物繊維摂取基準以上を摂取することは難しく

できている子供は1/4ほどしかいません

ですので、食物繊維は割と意識しないととれないものだと思います

一般的に野菜には食物繊維が多く含まれますが

キャベツ、レタス、トマトは食物繊維は少ないです

野菜でしたらほうれん草、かぼちゃ、モロヘイヤなどが多いです。

ごぼう、きのこ類にも多く

あずきを使ったあんや

バナナ、りんごなどの果物も有用です。

生活習慣としてはまず3食規則正しく食べることが重要です

食事をすると胃-結腸反射というものが起こります

つまり胃に食物が入ってくると、結腸が動いて便排出されやすくなる反射です

朝食を欠食するなどの食習慣がある児は便秘になりやすいです

運動したり入浴で温まることは腸蠕動を促進するので効果があります

次に薬物療法ですが、

①浸透圧性下剤:酸化マグネシウムやマルツエキス

②大腸刺激性下剤:ラキソベロンなど

まず第一選択となるのは

①の浸透圧性下剤、つまり便を柔らかくするお薬です。

水分を吸収して膨張させて腸蠕動を促進して、便を柔らかくすることで排便しやすくします

例えば乳児では離乳食開始により、便の固形化がすすみ排便しにくくなるため便秘になりやすいです

排便機能を身につけるまで、便を出しやすくするために浸透圧下剤を使用することは有効です

②の大腸刺激性下剤は基本的には①で効果が乏しい場合のお薬です

年長児では

トイレトレーニングで怒られたりとか

環境の変化でのストレスや、先生にトイレを言い出せないとかで

排便の我慢習慣によって便秘スパイラルに陥ることがありますが

自宅ですっきり排便させるために

大腸刺激性下剤でコントロールすることがあります

原則的には食事療法と、便を柔らかくするお薬でのコントロールを目指し

最終的には1週間に4~5回は排便して、排便困難感や腹痛が出ない状態を目指します

まとめますとグッド!

まず便秘スパイラルに陥っている場合は、浣腸などでそこを抜け出し

食物繊維の摂取を増やして、浸透圧性下剤で便の硬さをコントロールして

自力で排便できる習慣を身に着けていくことが便秘治療となります

最後に便秘についてよくある質問をQ&Aでまとめました

Q1:水分をとることで便秘対策になりますか?

→△ 

脱水で便秘は悪化しますが、逆は成り立ちません。

水分をたくさんとっても尿として排出され、便秘改善効果は乏しいです。

Q2:整腸剤は効果がありますか?(プロバイオティクス)

→△ 

結腸運動を改善させる効果があるかも?といわれています

飲んで悪くはないですが、便秘に効果があるかはまだ結論が出ていません。

Q3:牛乳で便秘になりますか?

→△

牛乳アレルギーが関連している場合があり、牛乳をやめるだけで治ることもあります。

しかし、牛乳をやめても便秘が続けば意味のない制限となります。

※便秘はなかなかに奥が深く、書ききれていないこともありますので、また別の記事で補足したいと思います。では、今日はこのへんで。

<追記>

離乳食開始前の便秘についてです

この時期の便秘は頻度ではなく、便性が重要です。

2-3日に1回の排便では軟便であれば便秘ではありません

しかし便が硬く排便困難がある場合は便秘として対応が必要です

排便が毎日でない赤ちゃんは

母乳の子で2.6% 人工乳の子で6.9%ほどで

排便のペースは個人差があります

便が硬くて排便困難感がある場合は綿棒刺激や浣腸でアシストします

アシストすることで排便機能も徐々に身についてきますが

アシストなしには出ない場合は何らかの疾患を考慮したほうがいいかもしれません

基本的には母乳/人工乳を飲むことで便はつくられ、腸も動きますので

母乳分泌不全とか、出ていてもうまく飲めていないといったことは

便秘の原因としてありえます

よく飲めているかということと、何か病気が隠れていないかといったことが

重要になるかと思います。

参考文献
①小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン
②小児科臨床ピクシス 下痢・便秘
③小児内科 小児の便通異常
④小林弘幸「おかあさんと一緒になおす こどもの便秘」

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