発熱を繰り返すとき②(IgGサブクラス欠乏)
こないだ治ったばっかりなのに、また熱出て保育園から呼び出し。。
今月に入ってから1回も保育園行けてない。。
「先生、こんなにしょっちゅう発熱してこの子大丈夫なんですか!?」
保護者から出る悩ましい質問の一つです。
乳児はとくにしょっちゅう熱を出す。
それは、そもそもの免疫機能が未熟であることや
保育所に行っていたり、きょうだいがいて感染の機会が多いなどの理由があり
たいていはそれだけでも説明がつく範囲なのですが
中には免疫機能に問題のある病気が隠れていることもあるので少し紹介したいと思います。
今日紹介する病気はIgG2サブクラス欠乏症です
!?
あまり聞いたことない病名と思いますし、なんだか難しそうですね。
でも小児科では時々見かける病気です。
まずIgGというのは体の中の免疫蛋白である免疫グロブリンの一種です。
IgG抗体とも言いますね。
胎盤を通過するので、新生児期には赤ちゃんの体の中には母体由来のIgG抗体があるため
新生児期は比較的感染症から守られた状態です
「ママからの免疫で守られている」とよく言うアレです。
しかしママからの免疫は徐々に低下して6ヶ月くらいにはきれてしまい
その先は自分自身の体の中で免疫蛋白をつくっていくのですが、
そもそも6ヶ月~2歳くらいはIgGが低く、免疫機能が未熟で風邪を引きやすい
ということになります
図のように年齢別免疫グロブリン正常値を見ますと
成人ではIgGは1000くらいあるのに対して、6ヶ月未満ですと500以下くらいで、およそ半分くらいです。
そして、IgGはさらに細分化されてサブクラスというのに分類され
IgG1 IgG2 IgG3 IgG4に分かれます。
これらは役割が少しづつ異なり、
IgG2は小児の感染の原因として多い肺炎球菌やインフルエンザ桿菌(インフルエンザウイルスとは異なる)などの防御に関わっています。
IgG2も同様に6ヶ月~2歳が低いうえに、個人差が大きく、
中にはとてもとても低い子がいます。
それがIgG2サブクラス欠乏症で、
中耳炎や肺炎を反復し、治りにくい傾向にあります。
あまりにも感染を反復する子で、IgG2が低い患者さんについては
IgG2を含む免疫蛋白を補充する治療もあります。
補充によりしばらく免疫蛋白が満たされた状態になるので、
感染の反復がなくなることが期待されます。
補充の適応については検査の数値と、どのくらい感染を反復するかで
担当医と相談が必要となります。
感染を反復する理由としてこの病気の場合もあるのですが、
血液検査しないとわからないので、
感染を反復する人については一度調べてみる価値はあるかと思いますし、
(保険の範囲内で測定できます)
免疫グロブリンが低ければ、補充により感染を少なくすることができる可能性はあるかと思います。
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